276 ─五月、薔薇の木の下で。
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……ごめん、びっくりして。
[ 笑って居た表情(かお)は青ざめて見えるだろう。]
酔いもしていない癖に、美しいなんてよく言える。 ……いや、僕なんかを花に例えるあたり酔っていても可笑しくはないか。
[ 揺らいだ正しさから溢れた笑みは、 嘲笑にも見えるかもしれない。 荒れた手に今度は自分から触れて指を絡める。 立てた爪で、肌を抉った。]
(190) 2018/05/20(Sun) 02時頃
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狂った花に態々触れ無い方がいい。 自傷が趣味というわけでも無いだろう?
[ 薄っすらと目を細めて、黒い眼を覗き込む。]*
(191) 2018/05/20(Sun) 02時頃
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[ そんなキラキラした記憶を思い返しながら。
平気で他者に口付けようとする、俺こそ。 ]
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[ 汚泥から綺麗な花は咲かない。
正しく優等生ではない自分を花だというのなら、 真っ黒な眼はきっと何も見えていないのだろう。 その癖に、棘には怯まず手を伸ばす>>194。]
驚くよ。驚くし、涙だって出る。 花には涙も笑顔も無いだろうけど。
(209) 2018/05/20(Sun) 04時頃
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[ 今だって爪の隙間に充溢した血の匂い。 こびり付いた赤色が、血色の良い相手の手の甲を汚していく。
引くと思っていた。タチの悪い冗談かとも。 絡み合う視線、覗いていたつもりの射干玉>>195に覗き込まれていた。 ゆっくりと近づく顔に距離感が麻痺して 鼻先が擦れた。 ゆっくりと、唇が触れる。]
(210) 2018/05/20(Sun) 04時頃
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[ 掌で触れたあの感触>>1:248とは違う、 薄い肉付きと人の温度。
顔に触れられた時よりも心は凪いでいる。 少し頭を引いて唇を離したのなら まだ息が触れ合う距離、暗い赤色の眼で見つめる。]
訳がわからない。
[ 見た事しかなかった感触を残す口元を血がこびり付いた指で隠した。 これ以上、触れさせる気は無かった。]
(211) 2018/05/20(Sun) 04時頃
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キスをするなら、 澄んだ心で愛くらい囁いてみろ。
[ 相手の胸元に手を添える。 押し返すように力を込めれば、相手は下がってくれるだろうか。]**
(212) 2018/05/20(Sun) 04時頃
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オスカーは、何事もなくハーブティを啜る様に息を吐く。**
2018/05/20(Sun) 04時頃
[ 薔薇と、紫陽花とは違う。
雨に濡れながらも、寄り添い咲くのが紫陽花とすれば
蔓を絡ませ棘で傷付けながら、一人咲くのが薔薇。
中庭にあるただの花(おれ)に
誰が愛を囁くというのか。
棘で傷付くだけの薔薇(おれ)に
誰が寄りそうというのか。
咲こうとしていた蕾をもぎ取り
迷いも無く握り潰した。
溺れるような花の中――― ]
オスカーは、ユージンを見上げている。
2018/05/20(Sun) 21時頃
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[ ロマンチスト。 出来ない、と当たり前のように笑う顔>>248を もし唇が触れる前に聞いていたのなら、 握った拳を振り上げていたかもしれない。
身体が離れれば俯いて、肩を揺らした。 何も無かったかのようにハーブティの香りが鼻腔を擽る。]
……月が動かない訳ないじゃないか。勘違いだろう。
[ 口ではそう言いつつ、此処に来るまで月の位置なんて確認していなかったものだから 事実がどうなのかは分からない。 冗談のような事実>>249に、空箱を叩いた時の感覚。]
(285) 2018/05/20(Sun) 22時頃
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[ 俯き加減のまま口元だけは正しく笑っている。]
こんな夜に出る狼なら、きっと可愛らしい子を食べに行くさ。 ………、悪かったな。不感症で。
[ 歪む顔が見たかったという>>249。 下品とも取れる冗句を去り行く背中>>250に投げかけただろう。]
(286) 2018/05/20(Sun) 22時頃
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[ 自分と彼の間に繋がっている物など何も無い。 何も無いのに、触れてしまった事実だけはある。
此の行為は特別なもの。 自分に手の届かない其れを許してしまった事が悔しくて、 幼稚な幻想を抱いていた自分を恥じた。
部屋に残されたハーブティを捨てる。 ソファに座って口元を拭う顔が赤らんでいるなど、誰も見ていない。*]
(287) 2018/05/20(Sun) 22時頃
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オスカーは、フェルゼとベネットはあの後どうなっただろうか。
2018/05/20(Sun) 22時半頃
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[ 月は相変わらず、薔薇の匂いが充満した此の場所を見下ろしている。
窓の外をぼんやり眺め遣り、此処で見た夢のことを思い出す。 深い深い眠りの中に一人でいる>>0:#4長髪の彼は、寮でも見た事があるような気がした。
ついでのように、まだ着替えていない汗ばんだ服を思い出す。 煙草の匂いもするかもしれない。 シャワー室に向かおうと、談話室の扉に手を掛けた。]
(301) 2018/05/20(Sun) 23時頃
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[ 上背のある顔を見上げる。 二つ結いの長い髪>>276。 中庭で見つけてしまった逢瀬>>1:234>>1:235を思い出して、心臓が跳ねるのは自分一人。]
──……こんな夜にどうしたのかな。 悪い狼がいたら食べられてしまうかもよ。
[ 悟られまいと隠した理由は自分でも分からない。 口元は正しく笑っていた。 見上げた眼が揺れるのを隠すように細める。 其れはきっと相手が想像したままの優等生>>0:129の顔。]
(303) 2018/05/20(Sun) 23時頃
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[ 先生から褒められる時、特に嬉しくも無い引き合いに出さていたのは彼の名前。 遠くから少女にも見える姿を眺めていた。 少女から、大人の身体になっていくのも、 冬を迎えて少女の姿を脱ぎ捨てたのも。
全て知っている。 自分の望む姿を諦めた彼を。]
(304) 2018/05/20(Sun) 23時頃
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[ 自分に足りない"あと少し"を持っているのに。 先程の遣り取り>>196でささくれ立ったまま、 図るように言葉が吐かれる。]
あぁそういえば少し前、「中庭」で──
[ 言葉を切って、探るような眼が相手を見つめる。]*
(305) 2018/05/20(Sun) 23時頃
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