人狼議事


112 燐火硝子に人狼の影.

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 これから、か。


[ぽつ、と呟き、柳眉を寄せる。
逡巡するような躊躇うような間があいて]


 サリス。
 お前はこれからもそのまま在れば良い。
 逃げる事を望んでも、逃がしてはやらぬ。

 命尽きるその日まで私の傍に在れ。


[命尽きるその日まで。
たとえ壊れてしまおうとも。
傍らにあることを望むと答える聲は酷く傲慢で**]


[水音を立てる舌先。その主が血だまりの中に横たえた少女の身体。その様を見ることも、向けられる瞳のいろも見ることもなく、男は俯いたまま――。
 返ってきた答えに、頷くでもなく微かな息を吐いてから。]


興味、っつか。
一緒の、家族、なのに、何も知らねェんだ、って。
あんた に、似て、賢そう、なのに……。

[詰りそれ程にまで隠し通そうという意思なのだろう、と。
 譬え「家族」であっても、と――。男はそう思う。
 そしてそれにも関わらず、此処には「見逃された」人間がただひとり居る。]


[その気紛れが、意識に触れた時
 その時に漸く、サリスはゆっくりと面を上げた。]


馬鹿か。
ンな顔見て、酷ェ声聞いといて、特別、とか。
……趣味悪ぃ、わ。やっぱ。

[憔悴したままの瞳が、じっと見据えるその瞳と合う。
 その翡翠に愚鈍のいろは無いと感じた上で、力無い悪態を。
 ――けれどその翡翠は何処か、薄らと濡れてさえいるよう。]


[返答には、確かな間があった。
 力ない瞳は、それでも確と、リヒトを見ていた。]


は、ざまァねェ、わ、

[「そのまま在れば良い」。その言葉の裏に有るスタンスはサリスには覚れない。
 ただ、死するまで彼に囚われること。それは察した。
 人狼に与して人々を死なせた身には、まるでお似合いの末路。
 その中でまた、このうつくしい男は苦痛を与えてくるのだろう。
 ……そう、思いつつも。]


好きにしろ。
―――…さいごまで、居てやる、よ。

[この傲慢な男の――ひとりに慣れたと言っていた筈の男の。
 その傍に在り続けること。それを、受け入れた。]




悪ぃ。
首に傷、付けちまって。


……屋台の約束も、できねェかも、な。

[彼女と対峙する意味を失ってしまったが故の。
 そして再び出会うこともないかもしれない故の、小さな謝罪。]


 嗚呼。


[終わりを示す言葉に短い応え。
ミドルの考えを聞けば頷きを返す。
メアリーの願いを彼女も聞いていただろう。
再度、それを口にするのは無粋と飲み込み]


 生き延びて――…
 二度とこのような事がないよう祈るよ。


[同胞の無事を願う聲をエントランスに向かう背に投げた]


[双子の妹に関しては何か思い出したように、笑った]


 賢い子だからこそ、言えはしない。
 兄とはいえ人狼を野放しにすればどうなるか知れるから
 思い悩んだ末に人狼を退治しようとするだろう。
 家族を守るためにそうする、と、
 幼かった妹がそう言っていたからな。


[家族なのに、とサリスは言う。
家族だから、とリヒトは思う。
人である家族の前では獣である己を隠し人である振りをして
同じであるよう偽らなければその形を保てないのだ、と]


 趣味が悪いとは失礼だな。


[言葉とは裏腹に気分を害した風ではなく]


 恐怖に引き攣る、顔。
 なきながら死にたくない助けてと懇願する声。
 ――…何よりも魅力的だろう?


[微かに意地の悪い響きをのせて、わらう]


[聞こえた謝罪の律儀さに、笑みを零した。
爪痕はしばらく残るかもしれないが、
それもやがて消えるだろう。]



そんな約束もしていましたね……

もし、再び縁があれば。
その時は、特製を食べさせていただきます。


[あの街の広場へ行っても、虹色の看板を見る事はないだろう。
そして己もまた、街へ足を踏み入れるつもりはなく、
二度と見える事はないかもしれないが。


確かではない再会の時があるならば。
少しだけ希望を含めた声を残した。]


さようなら。

死ぬまでどうぞお元気で。



[同胞達への別れの言葉。
それは遠く、やがて消えゆく。]


[兄を人狼と知らぬ妹であるならば。
 その言葉もまた、兄を護りたい意思から来ているのだろう。]


そ、っか。

…………退治されちゃ、敵わねェ、もんな。

[そして、妹がそうすると思うからこそ隠す兄ならば。
 こえに出してはこのように言ったが――。
 敢えて報せぬは優しい兄だと。取り留めなく、淡く思う。が――。]



――――…あァ。

[もうその少女にも届かぬ程、遠い距離からの声ながら。
 一度、その別れの言葉に、頷いていた。**]


[退治される未来は願わない。
その未来こそが特別な者の為と知りながら
獣は生きることを選ぶ。

 “さいごまで、居てやる、よ。”

人間の言葉など信じる気になどなれぬが
今だけはサリスの言葉を信じたいと心の片隅で思う]


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