224 Cнег дьявол〜凍ったケツ村〜
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[宿の主人パルックと話してる間にも風はどんどん強くなっているようで。 外を見れば雪が視界を白く染めた。 それでもまだランタンの灯りは煌めいて幻想的な光景を作っている。]
猟師達の間では雪鬼が出ると嵐になるって、そう言われてるんですよね。 そういう時に使えるおまじないもあって。 その、おまじない使うと雪鬼に襲われないって。
……笑わないでくださいよ、別に怯えてるわけじゃないんだから。 でもこんな突然、こんな天気の荒れ方って珍しいから。 ちょっと、うん…ちょっとだけ不安です。
[雪鬼から身を護るおまじない。 それをパルックに教えようと思ったのに笑われてしまった。 雪鬼なんか出るわけないと。]
(140) 2015/05/26(Tue) 22時半頃
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まあいいけど。 あ、そうだ何か一つ温かい飲み物を。
[ホットワインを注いでもらい。 それを持って食堂へと戻り、適当に空いた席に腰を下ろした。]
(141) 2015/05/26(Tue) 22時半頃
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…さっき振り。 お別れって、別にそんなんじゃないし。
[頬を赤く染めつつもごもごと言い返す。 誤魔化すようにシメオンの視線を追えば自然とメルヤの姿も目に入り。 更に彼女の視線を追えば丸々と太った男の姿が目に飛び込んで来た。]
あの二人って僕もあの男の人は知らないよ。 なんだろうね、なんか感じ悪い。
女の子はメルヤっていうんだ。 なんでこの村に来たのかは聞いてないけど、今は教会にお世話になってるって言ってた。
[ふう、とホットワインに息を吹きかけつつちびちびと口に含む。 身体の芯から温まっていくのを感じた。]
(153) 2015/05/26(Tue) 23時頃
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上手くもなにも、ほんとそんなんじゃなくて。 …て、嫌な予感? それは僕もしてる、森も変に静かで動物達がなんか怯えてる感じだった。 嵐が来るからだったのかもしれないけど…。
[護れとの言葉に頷きつつもそう返す。 一人だけなら護れるだろう、それくらいの力はあるつもりだ。 これでも一応男なのだから。]
シメオンは護りたい相手はいないの? ケイトさんとかジリヤさんとかさ。
[こちらだけ一方的に言われるのは癪で適当に思いついた名前を言ってみるが反応はどうだったか。 席を立つ彼を止める事はせずその背中を見送った。]
(165) 2015/05/26(Tue) 23時半頃
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『 さて。「キミ」が行かないなら「僕」が行ってこようか。 』
[ 外は吹雪いてきている。
檻の中に閉じ込める準備は整いつつあるのだ。
だが、同時にここには人が多い。
見つからないように人を欺き、狡猾に操るにはどうすれば良いだろうと。
人間にも人間で時たま獣らに惹かれてしまうような者はいたけれど。
宴の始まりは自分達の手というのも一興。]
『 さて。どうする。 いい案はあるかな。 』
[侵食は進みつつある。
こうして媒体の意識が覚醒しているのに、囁ける程度には。]
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大切な先生……?
[シメオンが二人の名前に反応した事も。 護る相手の名前があれだった事も。 どちらも理由も分からなければ察する事も出来なかった。 それだけ子供という証でもあった。]
わ、うわぁ……。
[ヒステリックな太った男の声に眉を顰めていたら。 それに水をぶっ掛けるヴィスパタイン。 確かにあの男は不愉快ではあったがそこまでやるとは。 すごい、とぱちぱちと控えめな拍手を送るのだった**]
(181) 2015/05/27(Wed) 00時頃
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─???─
『 料理は得意? 』
(ああ、そうだ、ごはんを作らなきゃ。……どうして、だっけ)
『 「キミ」の作った料理が食べたいな。 』
(そうだ。そう。あのひとが望んだから。私の作った、料理…私の…わたし、の。)
[知っている誰かの知らない声が、麻薬のように脳の芯を犯している。
甘ったるい倒錯感が少女の意識を曖昧にする。頭の中の誰かと自分が、じわり、と、混じり合う感覚。
彼の問いに、答えなくちゃ、ならない。]
『 「あなた」は誰がいい?
大切な先生かしら。久しぶりに会ったお友達?──ああ、それとも 』
『 あの、雪の妖精みたいな、幼馴染? 』
[赤い紅い微睡みの中、唐突に少女の意識が浮上する。
ここは?
一体なにをしてるの、私。
今の声は、だれ。
溢れるように割り込んだ思考に、脳は勝手に混乱する。足がガクガクと震え、制御の利かない少女の身体はその場に膝をついた。
咄嗟に視線を巡らす。
知っているはずの叔父の家なのに、そこが何処なのか認識出来ない。
ただ、一つだけはっきりしている事実がある。目の前に、その叔父が居て。────伸びたその両手が、指が、自分の頸を締め上げている、という事だ。]
────っ、お、じ、…さ…
[ひゅう、と喉が鳴る。息が出来ない。
力の抜けた手から、からん、と何かが落ちた。つられるように視線が床に落ちると、転がっているのは肉切り包丁だ。どうして。どうして、こんなもの。]
『すまない…ケイト、兄さん、すまない…!』
[泣きながら叔父が両手に力を込める。
ぐ、と喉笛が押し潰される。声なんて出る筈無い。次第に細くなる意識に、パルックの泣き声だけがいやにはっきりと届く。
殺さなきゃいけないんだ。
雪鬼《スニェク・ディアボル》は、殺さなきゃ、いけないんだ。そう。]
(ちがう。わたし、雪鬼なんかじゃ。)
[じゃあ、何故?
肉切り包丁で何をする気だった?ぐるぐると回る視界に、歯車の音。
どんどん遠くなる意識の中、ふいに脳裏を過ぎった何か。陽光を跳ね返す、金の、柔らかな──]
────……す、けて、
…シ………オン……
[ぶつん。]**
[ いつだって、何にだって。
自分は、一番には、なれない。
足を突き動かす衝動の名前は分からない。
ただ、何かに誘われるようにしたつま先を差し出していた。
唇は閉ざしている。
運が良かったのか、周囲に人影は無い。
けれど、鼓膜を揺らす囁きは聞こえる。]
たいせつな、せんせい。
ひさしぶりにあった、おともだち。
[ 幼い子供のように囁きに倣って繰り返す。
誰だ。それは。何だ。それは。
俺は、「 あの、雪の妖精みたいな、幼馴染? 」]
──────ぁ。
[ ぐらり。
逆流する世界に落ちていく。
背筋を這うのは爛れた掌。
氷のように冷えた指先が思考を凍てつかせていく。
まるで硝子のように。
破片のような鋭さを持った眼差しは思考を停止させる。]
パルックさん…何して…ッ!
[絞り出したような声を放つと同時に地を蹴る。
捨て身の攻撃で身体ごとぶつかれば二人で縺れ合うように倒れ込んだ。
肉切り包丁は自分の後ろ手にある。
動揺したパルックを宥めるように声色は穏やかだ。]
ケイトが雪鬼《スニェク・ディアボル》な訳ないじゃないか…!
落ち着いてよ、パルックさん!
[何かの間違いだ。
そう訴える。
男の表情はきっと見えない。
ただ、温度の無い双眸が、見下ろす先にあるのは二つの双丘。
パルックが何か喚いている。
だから貴方を落ち着かせてあげる為に、囁く。]
『 「よく見て。誰が────雪鬼《スニェク・ディアボル》か。 」』
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