175 Arco Mondo -初夏の訪れ-
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[見上げた先には慌てる姿があった。(>>102) 高すぎるのだろうか。 きらきらした紐の方が、よほど高価なものに思えて。]
……もら ……っ、て
[本当は「貰ってくれないのか?」と云いたかったのに。 聞くに耐えない声に言葉が止まり、まるで押し付けるようになった。]
(ほら。) (ぼくは、優しくなんかない。)
[少し顔を俯けて、こくりと頷く。 メモでもいいなんて、言われたことなんてなくて。 ジェレミーの優しさと、それから。 云おうとした言葉が、先に聞こえたから。
ぱっと顔をあげれば、唇が動く。]
(105) 2014/05/14(Wed) 01時頃
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ま、た。
[約束だと思っていいだろうか。 ほんの微か、少しだけ。]
また。
[ジェレミーだけが知る、鮮やかな黒が細まった。]
(107) 2014/05/14(Wed) 01時頃
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[ジェレミーは不思議な表情だった。 その心の内までは分からないけれど。(>>101>>108) きっとこんな自分でも、不快にはさせていないんだろうと思う。]
(思ってないかな。) (思ってないよな。)
(「きもちわるい」って。)
[じわと視界が滲んで。 慌てて、隠すように頷いた。 迷ったなら見つけ出すし、迎えにだって行ってもいい。 こく、こくと、黒髪を揺らして。]
また、来 ……て。
[紡げたのは、たったそれだけだった**]
(112) 2014/05/14(Wed) 01時半頃
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……ん、迷ったの?
僕も森に居るから、迎えに行く。
[ふと声が聞こえて。そう返すものの、大方彼も眠ってばかりで有る為に道に詳しいとは言えないのだが。]
……森の、何処?
大事なこと、聞き忘れてたや。
[遅れて、肝心な問い掛けを。それを忘れては元も子も無いのだが。いつもと変わらない様子で、問い掛ける]
目印か、そうだな…。
……さくらんぼの木がある。
[肝心なことを忘れていた、と辺りを見回し。緑の木々が生い茂る中、唯一の目印になりそうな物を見つけ。これで伝わるのだろうかと]
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-- 森の奥、ミイユの住処 --
(また。)
[ジェレミーが出ていく時、家の中から見送った。(>>115) 優しいと云った言葉には、結局なにも返せなかったけれど。 うさぎを撫でる姿も見つめて、森に消えていくまで金色を見詰めていた。]
(……変なの。)
[消えてしまって、いなくなってしまって。 どこかにぽかりと穴がいたような感覚。 少し長い間息を吐いて、食べ終わった食器を片付けた。]
(不味くなくて、よかった。)
[唇が微かに弧を描いたとき、目の端に映り込む金色。 転がった綿毛のクッションの隙間に、紐がひとつ。 慌ててポケットを確かめれば、そこには自分のものがあって。 忘れ物だろうと手に取り、そのままうさぎの背に乗って追いかけた。]
(139) 2014/05/14(Wed) 15時半頃
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-- 森 --
[街の中は迷路のように感じるが、森はそこまで難しくない。 樹の幹についた独特な傷、光るキノコの生える場所。 鮮やかな苔の絨毯を抜けて、さくらんぼの収穫場に来れば。(>>134)]
(さっきの……?)
[森の入り口近くで出会った足音。 この辺りは結構奥深く危険なところもあるのに、何やら用事でもあるのだろうか。
ふわふわの茶色いうさぎが、星の妖精の前に現れる。 背には小柄なミイユの姿。 警戒するように、しかしどこか心配そうに見つめている。]
(140) 2014/05/14(Wed) 15時半頃
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さくらんぼ、かあ。
……あそこかなあ。
うん、わかった。…ちょっと、遅くなるかも?
[目の前のロビンの姿を捉えながら、その言葉尻は疑問形。]
そろそろチヴェッタに乗せる妖精を決めなければならないな。
[傷の手当をしながら話す。]
噴水広場でぎゃあぎゃあ喚いていた五月蝿いのがいたな。サイモン。俺はああいう甘ったれたのが大っ嫌いだ。ああいう奴は一度律さなければならない。
とりあえず1人目はサイモンとかいうやつにしようと思う。トレイル、お前はそれで異論はないな?
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(やっぱり。)
[深くうさぎに頭を下げる姿は迷い込んだと告げた。(>>146) 動物に対する敬意のお陰か、ミイユが何か云わずともうさぎ自身は警戒を解いたようだ。
見下ろしているが、こちらには気づいていない様子。 二本目の金の紐を咄嗟にぎゅうと握った。]
(喋っても、平気。) (ジェレミーみたく、聞いてくれる。)
──迷子、なら あん…ない…
[する、まで声は出せなかったが。 困った顔で笑う相手にうさぎの上から告げる。 もしも声をたどり。 視線がミイユをとらえたなら、ただひたすら真っ直ぐに 黒い瞳が向いていることだろう。]
(148) 2014/05/14(Wed) 17時半頃
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[ミイユを見上げる髪は不思議な色彩だ。(>>149) 宵闇の色であろうか。 夜のような色に、夜のような黒を滑らせる。]
(屈んで、あげて。) (もう一人乗るから重いかもだけど、ゆっくりでいいから。)
[うさぎに伝えれば、ふこふこと髭を揺らして 茶色のかたまりは頭を少し屈ませた。]
(ヴェスパタイン。)
[名前を繰り返し、こくりと頷く。 黒い髪が揺れて、白い素肌を擦った。 道案内をするから乗れと、瞳の動きで指し示し。]
どこ… ?
[行きたい場所はどこなのだろうか。 短く訊いて、口を真一文字に引き結んだ。]
(150) 2014/05/14(Wed) 18時半頃
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[あまり喋らぬまま、視線と動きだけの会話。 受け取ってくれているらしきことに、はふと少し息を吐いた。(>>154) 兎の背に乗りこめば必然と距離は近くなるが 背後にそわそわとしながらも、動いてもらうよううさぎへと頼んだ。]
(入り口まで。) (見つけてなかったら、危なかったかも。)
[森は危険な場所も多い。 棘道、鷹の巣のある樹、底無し沼。 迷子なら見つけてよかったと胸の内に落とし ゆっくりと歩いてくれているうさぎの背に掴まってすすむ。 なるべく振動がないように気を付けてくれているが、跳ねる生き物。 上下の振動は初めて乗るのなら、不安定かもしれない。]
(…工房?)
[工房、というのなら何かもの作りの妖精だろうか。 村の入り口までという声に小さく頷きながら、後ろの彼を振り返った。]
(155) 2014/05/14(Wed) 19時半頃
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すまない。案内人を見つけることが出来た。
無事に帰ることが出来そう、だっ……ははっ
[兎の上に乗りながら伝えようとするも、笑い声までがもれてしまい]
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───! [笑い声が後ろから聞こえて。(>>156) 一瞬体を強張らせたが、悪意のある笑いではないようだった。 くすぐったい、のだろうか。 なにやら楽しそうなので、特に咎めることはなく。]
(静かそうなのに。) (うるさい。)
[けれど嫌悪はなく。 しかしミイユ自身の表情が変わらない為に、何を思わせてしまうかは分からない。 笑うヴェスパタインを時折ちらちらと振り返りながら。 うさぎタクシーは街の入り口まであと少し。]
(157) 2014/05/14(Wed) 20時半頃
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(楽しそう、だな。)
[傾げられる首に返すのは、変わらない無表情。(>>161) けれど、ふるふると頭をふったから。 不快なわけじゃないことと伝わったなら、いい。]
───、─。
[こくり。 止まった振動に揺れる薄闇と。 頷いて揺れる闇色。 もう大丈夫だろうかと、微かに首を傾げてみせる。 大丈夫であれば、茶色のかたまりは妖精をのせて また森の中へ消えていくのだけれど**]
(164) 2014/05/14(Wed) 21時半頃
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そうだね
どうやって選べばいいんだろう?サイラスは誰か見つけたの
[問い掛けるまでの空白の時間、していたのは夏の使者の話
どうやらサイラスは怠惰の彼を選ぶつもりらしい]
そっかぁ……サイモン嫌がるだろうなあ
ふふ、帰ってきたら怠惰の妖精じゃなくなってるかも
[そんな風に笑うのは、嫌な子かな?そう思うけれど悪戯妖精の血が騒いでるのかもしれない
それにきっとサイモンにとって嫌なことばかりじゃない筈だ。広い世界に出て、色んな妖精や生き物と出会うことは
……なんて言葉は大人の受け売りで、自分は夏の使者から選ばれたことなどないのだけど]
残りの二人にも知らせないといけないのかな
えっと……ミユと、ロビンだっけ?
[なんとか思い出したけれど、あまり自信はなかったり]
[あと、と付け足される言葉にはびっくり。いっぱい大人な彼が言うぐらいだからそれは気になるものなのだろうか。]
……サイラスのほうがかっこいいよ?
[相変わらず、考えるより先に思ったままを口にしてにっこり笑いかけるのだった
ああでもこれは二人だけの秘密かな、駄目だって言われた唇のキスをしたのも、サイラスとだけの手の繋ぎ方も秘密
みんなのことが大好きなのにサイラスとだけの秘密が増えていく……けれど、何だか嬉しい]
ミユとロビン…そうだな。
[自分もその二人とはあまり縁が深いわけではない。朧げながらに二人の顔を思い浮かべた。]
今日はもう遅いし、二人に連絡は難しいかな。
ともかく鳩で報せを政府に送れば、明日の朝にはサイモンはチヴェッタに乗せられているだろう。
確かそういう手筈だったはずだ。
報せは俺がしたためておくから、お前はあまり難しいことは考えなくていい。
な、いきなり何を言い出すんだ…!
[かっこいいよという真っ直ぐな声に照れる。]
まったく…お前はずけずけと言葉をストレートに放ってくるから心臓に悪い。
けど、そこが好きだ。
[と、トレイルの額にキスを落とす。]
分かった、ありがとう
[夏の使者とは中々大変なようだだから自分はお手伝いー実際は補佐役というが、トレイルに分かりやすいようそう伝えたようだーなのかもしれない]
……ご、ごめんね
そう思ったから言ったんだ
[好きと言われることは嬉しいことで、気持ちが明るくなる。みんなにもそうなってほしくていっぱい言っていた
けれどサイラスに言われるのは何か違う……それが違う好きの意味らしいからなのだろうか?
赤くなって、視線を逸らす。ジェレミーによくするようにキスを返すことは出来なかった]
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-- ミイユの住処 --
(ありがと、往復させてごめんな。) (変な人だったね。)
[ヴェスパタインと別れて、住処に辿り着く。(>>180) 礼儀正しい、それこそすぐ女性に話しかけたりしなさそうな。 年もきっと、とても上なんだろう。 落ち着いていて、…いやとても笑ってはいたが。]
(ミイユ、って。)
[ちゃんと呼んでくれたことが、少し嬉しかった。 それに、また、『また』と云われた。]
(また。)
[会えたら、ランタンを頼もう。 夜の森の中は暗いから、彼が持っていたくらいの灯りが丁度いい。]
(189) 2014/05/15(Thu) 00時半頃
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[街には時折、森に住む者の噂が流れる。(>>180) それは注意しなければ聞き逃してしまう、些細な噂。]
『黒い髪の魔女がいる。』 『白銀の肌の聖霊がいる。』 『動物を操る悪魔がいる。』
[噂は噂だ、根も葉もないものもあれば。 火のないところに煙はたたないとも、いう。]
『気持ち悪い声の男がいる。』
[噂は名前をそっと囁く。]
『みいゆ・ま・あるじぇんと』
『だから森の奥へは行っちゃいけないよ。』
(190) 2014/05/15(Thu) 00時半頃
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『わるいこは、たべられてしまうから。』
(191) 2014/05/15(Thu) 00時半頃
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[辺りはもうすっかり夜で、ミイユは部屋の中へ向かう。 綿毛とマトリカリアを布でくるんだ布団に、ゆっくりと体を沈めていく。 柔らかな匂いはリンゴのような香。 ハーブティーと同じ匂い。]
(また。) (会えるかな。)
[動物たちも寝床に帰って、いつものように一人きり。 夜の見張り番がホゥホゥと、夜を知らせて鳴いている。]
(来て、くれるかな。)
[ポケットから取り出した二本目の飾り紐。 一本目のよりは細くて。 使い方なんてわからなかったけれど、くるりと腕に巻き付けた。 なくさないようにだ、これは、返すものだから。]
(192) 2014/05/15(Thu) 00時半頃
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[そっと願いを込めて、腕に留める。 本来の使い方だなんて知りもしない。
おかしなものだ。 今日初めて会ったのに、考えるのは彼のことばかり。 ちゃんと名前を呼んでほしいとか、ちゃんと話したいとか。 髪が綺麗だったとか、優しかったとか、そんなこと。
ああ、まだ今日は仕事をしていない。 しなくちゃいけないことがあるのに。 喋り疲れたのか、気を張りすぎたのか。 瞼はとろり、夢に落ちる**]
(193) 2014/05/15(Thu) 00時半頃
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