……落ちつけ。

……落ちつけ、落ちつけ、私。

私は南野詩絵流。
私が南野詩絵流。

人生の勝者はいつも私。
そう、私はいつも勝つんだ。

ちーちゃんの腕輪には、ついてない……。

なんで？　私だけ？
どうして？　何のため？

ねえ、私……、

ひとりごと

　　　　何を言ってきた……？

おち、落ちつこう。

本当に集音マイクだったとしても、聞いてるのが、この中の誰かとは限らない。
実行委員かもしれない。
そう……そうだ。私の助けを聞き逃さないためかもしれない。

それに、もし、この中の誰かに、私の腕輪から、私の独り言が漏れてるとしても……。
聞いてるとは限らない、し。
他の会話に夢中で、聞き逃したりしてるかもしれないし。

大丈夫、……大丈夫。

でも……。
　……聞いてるのだとしたら。

　ねえ。
答えなさいよ。
　　　ねえ。
　　　　　　　　　　　ねえ。

聞いてるんでしょ。
　　　聞いたんでしょ。

言いなさいよ。
私が、表は品行方正な委員長。
でも、裏では誰を殺してでも生き残ろうと思ってるって。

言えないよね？
盗み聞きなんて、恥知らずなことをしておいて。
プライドがあれば言えないよね？

それに、誰でも思ってることを、私も思ってるだけだよ。
誰だって自分が一番可愛い。
そうでしょ？

締め切りがあるって分かってて宿題をしてこない。
頭が悪いって分かってて改善しようとしない。
部屋にこもって勉強は出来ても、外での運動はからっきし。
……ねえ、皆どこかどうしようもないね。

この中で、生きる価値のある人間は、私ひとりだよ。

　私以外に誰がいるっていうんだ！！！！！！！

これで軽部くんが片付くんだね。
いい気味だ。
フフッ。

後はこれを繰り返して……、、、、

あ、れ……？

１人以上、死ぬこともありえる？
……軽部くんを殺しても、まだ安全じゃない可能性が……ある？

軽部くんでも、堀井さんでもどっちでもいい。
私じゃなければ、どっちでもいい。
……ううん、早くたくさん殺すためには、軽部くんの方がいいな。
やっぱり投票は軽部くんのままでいい……。

ただ……気になるのは……。
堀井さんが投票以外で死ぬことを義務づけられていたように。
投票以外で死ぬ人が出るように、そんなギミックがしかけられてるのかもしれない。

……私……だったらどうしよう。
いや、そんなはずない。私が死ぬはずがない。
でも、私、私……。
生き残るべき人間だから、殺されるかもしれない。
誰かが生き残るためには、私を殺さなければいけないから、殺されるかもしれない。

いやだ……死にたくない、死にたくない！！

好都合すぎて
笑っ　ちゃ　い　そ　う。

あはっ。
　あはははっ！

……！！！

堀井ィィ！！
余計なことを……！！

こういう風に聞くってことは、私の腕輪が本当にマイクだとしても、聞いてるのはちーちゃんじゃないね……。
利用できるものは、利用しなきゃね。