94 眠る村
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フィリップ、壊れたんだ?
それほど、大事だったんだね。
[シメオンという存在そのものが、彼にとって光だったと――
そんなことも知らず、軽く軽く、奪い続ける命。]
使えなくても、じゃまさえしなきゃまぁいいよ――……。
手持ちの"駒"に期待だね。
[ブローリンは、敵。
ケヴィンとティモシーは果たして。]
シメオンの死体から離れたくなさそうだったからねェ
なんだったら、見て来たらァ?
[扉の前で佇むゼロへそう伝えて]
じゃまかァ。
あーいった人間が、何仕出かすかが
一番読めないからァ… ね。
危なっかしいっちゃあ、危なっかしいよねェ。
[幼馴染の、従兄弟はこれから一体どうするのだろうと]
ふふ、
[状況は、こちら側が有利]
[そういう風に動いてきたのだから]
[所詮 加護 なんて]
[人の心次第で、どうにでも操れる]
―― 残念だったねェ、ご先祖様ァ。
――加護で、人も殺せてしまう時点で、
酷い片手落ちだと想わない?
["ご先祖様"のしかけた術は、
疑心暗鬼と罪悪感――狂気を呼ぶ最高のショーだった。]
所詮其の程度だったってことさ。
今よりうんと力を持っていたその昔でさえ、ね。
無駄だったんだよ、何もかも。
加減ができない魔術だったのか
それとも、ご先祖さまは子孫を信頼してたのか
くくくっ
[信頼][そう言えばどこか可笑しくて嗤う]
所詮は ボクらの前では意味のない存在ってことさ
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―― 朝 ――
…?
[寝起きの口内が乾いていた。 未だほのぬくいシーツよりも熱いおんなの体が押し当てられる]
…そんな、ことは―― ン
[言葉ごと、唇を塞がれた。 止めた息のせいだろうか、男の眉根が悩ましげに寄る]
…、…。
[離れ行く唇のふくらとしたかたちから目を逸らせず。 喉仏がこくりと、ちいさく鳴った]
ローズ…
[いつもと同じ、恋人の頬を包む手のひら]
(64) 2012/06/18(Mon) 21時半頃
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[こんな時に、だとか。 あのひとたちとちがうから、 そういう事は、結婚をしてからでないと。だとか。 しばらくからだを拭いていないから、 ひどく、臭うのではないかとか。
頭の片隅でそんな事を考えながら、 じりじりと燻る熱を持て余し、親指の腹が女の唇をなぞり擽る]
(65) 2012/06/18(Mon) 21時半頃
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…。
[上唇のりんかくをなぞった指先は微かに震え。 彼女の瞳から逸らされたままの眼差しは熱を孕む。 そうして、 一度触れてしまえば。離れ難く。 吐息も熱も柔らかな肉も、隙間なく埋めたがる欲求に抗えない。
いつか、その薬指に輪を嵌めるまではと。 そんな、ありふれておだやかなしあわせのかたちなど。
――こないのだろうと。
差し入れた鎖骨のくぼみ。 男の手が、果実の皮を剥くように、女の乳房を露にした*]
(66) 2012/06/18(Mon) 21時半頃
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――信頼が仇になるなんて、
滑稽なことじゃないか。
[エイトに寄せる信頼
知らず、寄せている絶大な信頼――。
おとぎ話はその宿主に夢を見せるのだろうか。]
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[再び目を覚ました時、恋人の姿は部屋に無かった。
床に脱ぎ捨てた上着が絵に描いて異臭を放っているようで。 男はしばしうらめしげにそれを見ていたが、結局は袖を通す。
閉ざされた扉の向こうから、人々の話し声が聞こえる。 長く、瞑目の間を置いて、部屋を後にした]
――…、
[男が姿を現した時、クラリッサとブローリンがそこに居て。 ティモシーの姿を少しの間遠くから眺め、居ない者を視線が探す]
(73) 2012/06/18(Mon) 22時頃
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[ゼロがすること]
[それは、クラリッサを、演じきること。
エイトが――かしこいエイトがうまくやると。]
[粉々に砕いた心はただただ空虚。]
[ゼロが宿主を壊す理由――
成り代わりに感応しすぎて、
意志を奪わねば感情のコントロールが、効かない。]
[エイトに語らぬ、秘密。
これまでそれで、うまくやってきた――今度もきっと。]
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[ " ごめんなさい " ]
[そう、かたどった唇が、こんな時でもあたたかな茶を手に戻り。 何も言わずそのうちの一つを手に取ると、 口も付けず人狼と告げられたクラリッサを見る]
(78) 2012/06/18(Mon) 22時頃
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[――――朝]
[恋人と触れ合う、女を演じる間]
[一寸だけ意識が途切れた瞬間があった]
[それはほんの一瞬]
[刺青に触れ、触れられたときの]
[エイトはまだ、それが 何かは解っていない]
[顔を背けたブローリン。]
おや?
案外、泣き落としでいけるのかな。
[ここまできても、なおも楽観的な声。]
フィリップは――クラリッサを救いたいんだって、さ。
[落とす余地はあるかとめぐらせる思考。]
[ゼロの語らぬ秘密は、知らずのまま]
[エイトは宿主の魂の欠片を残し弄んだまま]
[その宿主を演じきって魂の叫びを聞くを愉しむ]
――― ゼロ、…
ボクはきみを呪いたくなんて ない。
[同時に、仲間を失うことを忌み嫌う]
―――――――――。
[死にたくない、と 言ったはず。
けれど、クラリッサの叫びが、 いやに近く 聴こえた。]
僕、今―― 変なこと言った?
[呪いたくないと、聴こえた声のタイミングがよすぎて
はたと、考えるけれど]
―――― … 、いや?
[聞こえていないと、返す言葉]
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[隣に立つローズの言葉に男の視線は一度、恋人へ>>82]
…。
[クラリッサは、ただの儚げな女性に見える。 空気を震わす音は、その音のままに耳に届き。
わかっていると。 固く握られた恋人の手、 ゆるやかに目を閉じるのはほんの一時。彼女の手に手を添える]
(91) 2012/06/18(Mon) 22時半頃
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…ち。
フィルはいい駒には ならなさそうだな。
[エイトは獲物を見極める]
[本物様は憎い、けれど――いい聲で 啼く]
ケヴィンは、ブローリンが、聴こえた声と真逆を言うのに、彼を見て。
2012/06/18(Mon) 22時半頃
邪魔、になっちゃったね。
じいさんも、何だか使い物になりそうにないな。
[そう漏らす、裡の裏側。
魔女がもらす声は、暗くて くらくて。]
[ なにか、][嫌な予感がする]
[ 護れないのではないのかと、いう 思いが ]
[ 『重なる』 ]
悪いけどさ…、年寄りは美味しくない。
[だから殺すとしても最期くらいに思考する]
[食べる気もあまりないといった口調]
ローズなら、まだ、
あのお爺ちゃんはァ つかえるかもしれないしねェ
五月蝿い――――
[ぼそり、つぶやく 声]
壊れたくせに、
壊れたくせに、
[おそらくは初めて聞かせる、イライラとした声――
乱されているのは、魔女に引きずられる前兆。]
エイト、 どうしよう。
[困り声で助けを求めたまま、ゼロの感情が乱される]
――― …ゼロ、?
[緊張の糸を張ったような聲]
おい、 クラリスはもう いないんだろ?
|
[ブローリンが自分の名を挙げても、男は反応を示さない。
ただ、恋人が違うと断言した時か クラリッサが微かな声を漏らした時か。 男の双眸が歪に細められた]
(104) 2012/06/18(Mon) 23時頃
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ゼロ、どういう ことだ ッ。
[護りきれない状況だと冷静に判断するエイト]
[このままでは ゼロを救えないと]
だめだ、諦めるな。…、ゼロ。
壊せ、クラリスの魂を完璧に 喰らえ。
[――――引きずられる。]
[魔女の 暗い 感情に。]
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