3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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(――お人よしから、血を吸うのは)
(辛いだろうと)
[ああまったく、その通りだ]
[わからない、わからない]
[――分からない。]
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―南棟1階廊下―
物好きなのかも、知れません。 でもそれは、私だけではないかもしれませんよ。
[近づくのを、止めることはしない。そうしなさいと言ったのは、自分であったから]
じゃあ、条件をつけましょうか。 私の血をあげる代わりに、ここから抜け出した後、貴方はピアノを弾いて下さい。
私のために。
[鋭い犬歯が肌に当たれば、一度だけ眉を寄せた]
(972) 2010/02/28(Sun) 20時半頃
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文化棟にも、でたんだ。
……お疲れ。
[それでも笑う声に、言葉が出ず
保健室の扉が開くのはこの少し後の事か]
なに
[目を見開く。]
[探して、といわれた退職届を思い出した。]
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[見上げてくる薄紫を眼鏡の奥から黒色が見下ろす。 首筋に感じる痛みを、目を伏せてやりすごす。
スーツの中で、携帯のバイブが震えた。幾度か鳴って、やがて留守電に繋がる。
啜るセシルの背を、2度軽く叩いた。 失われる感覚はない。ただ、耳に響くノイズが、少しだけ大きくなった]
(990) 2010/02/28(Sun) 21時頃
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[複雑な空気、探した方がいいのか。
そうした所で―― 何も出来ないだろうに。]
|
[足音が聞こえた。セシルが離れたころ、声も届く]
フィリッパ・マクレーン、ですか。 血は与えましたが、それが何か。 鬼と、血は無関係ですよ。
鬼を見つけなければならないのに、そんなわかりやすいことをするはずないでしょう。 彼が、血を欲した。 どうやら、ケイトに好かれてしまった者の特徴のようです。 バーナバスや、マーゴも。
貴女は、無事でしたか?
[セシルが離れようとすれば腕をに手を伸ばす]
(1007) 2010/02/28(Sun) 21時頃
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…… な
[何があったのか、と、尋ねる のは――]
いやだよ、 こわ れ ないでよ。
[出来なくて。 生徒 はそう言った。
それは 少し 寂しそうな、響き。]
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[伏せたセシルの表情は見えなかった]
フィリッパ・マクレーン、やりたくない気持ちはバーナバスや、セシルや、マーゴを見ていれば充分です。 では、暴走してだれかれ構わず血を奪われるのが良いですか。 それとも、一人にして追い込むのが良いですか。 化け物? 何故化け物なのです。
貴女も、セシルも。 化け物ではないでしょう。 まだ生きている、人間です。
[ピッパが近づいてくると、手で制す]
……それは、できません。
(1024) 2010/02/28(Sun) 21時半頃
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ばかじゃ ないの。
[呟いて聞こえた、低い声に。脳裡に過ぎるのは その人の顔。]
……かっこ つけて。
似合わないよ。
――……、
……壊れて欲しくなんか あるもんか
……なんで。
[莫迦じゃないの。――これも、聞いたことのある響きが
染む。ひどく、沁みた。]
[ばかみたい、 似合わない。]
[そういわれて、もっともだと、]
そうだなぁ。かっこわりぃな
[女が走り去った方向を少し未練たらしくみてから]
かっこわりぃ な
[繰り返した]
|
……今来て、血を飲ませている。その事実だけしか知らない貴女に、簡単には言われたくはありませんが。 ――……そうですね、自己満足なのでしょう。
我慢できる範囲であれば、私もやりません。 「化け物」だから、一人になろうとする方が、危険だといいました。 ですが、……飲ませたことで血への渇望が強まるのなら、そこまで考えるべきでした。
貴女は、自分たちだけが苦しいのだと、思っていませんか。 苦しいのは、皆同じです。 一緒に地獄に行くつもりがない、といいましたが。
生徒を行かせる位なら、私が行きますよ。 それだけは言っておきます。
(1031) 2010/02/28(Sun) 21時半頃
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……――
[かっこ わるい か]
[声にはならず気配だけが震える]
――……、… どうしようも、…
……ない、な。
[恐らくそれは、己にも向けて。]
壊れてほしくは ないな
[だけど、もう、自分には何もできない]
せめて、鬼をがんばるか。
[そしたら、彼女は、この世界から出れるかもしれないから]
そうだよ、壊れて ほしく ない。
[同意する 声を返して。
聴こえた繰り返す、低い声。]
―― …… ばか。
[でも。きっと、――と。思う。]
壊さないで ね。
[それは、誰を だろう か。]
[どうしようもない そんな響き]
なんだか
どうしようもねぇ
みたいだなぁ?はは
はは
はは
[渇いた笑い]
[女が逃げた。ただ、それだけのことなのに]
[自分の中の何かがぼろぼろ砕けた。]
[それは、何かが、少し、壊れたのだろうか。]
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あなたは、我慢できているのでしょう。 ならばそれでいい。
いつ、同じ様な目にあうかわからない。 次の瞬間には、他の人がそうなっているのかもしれない。 その打開策を考えるのには、一人で考えていても駄目でしょう。
それとも、あなたの言う「化け物」になってしまった人たちは、除いて考えますか? 全員が、そうなってしまったら? 一時凌ぎでも、休まるのなら。
そう思いましたが。――私が浅慮だったのでしょう。
(1036) 2010/02/28(Sun) 22時頃
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