204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[何年ぐらいで慣れたかとフィリップが問うを聞き 考える間にフランシスの応えがある。]
――…何年だったかなぁ。 最初こそびっくりしたけど、 俺も、ラルフも其処まで人見知り無かったから、 フランシスのこと見てるうちにいつの間にか慣れてたかな。
まあ仕事の方はなかなか難しくてまだ手伝い止まりだけど。
[衝動に関しての言を改めて聞けば少しだけ眉を寄せ考える風。 衝動が落ち着くまで、まだ数年あろう事に長さを感じ つ、とフランシスを見詰めて、また視線を床へとおとした。]
(226) helmut 2014/11/28(Fri) 14時半頃
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[ふと、視線を感じ目を向ければフランシスの声が耳にとまる。 フィリップを説得する際のことを言われれば、瞬きして]
声が届くなら遠吠えでなくてもいいし、 それに、俺がフランシスの立場なら、 同じように寂しいと思うだろうから。
[鎖された眸が何を思うかまでは考えられぬまま そのときを振り返りぽつりぽつりと言葉にして*]
(227) helmut 2014/11/28(Fri) 14時半頃
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ドナルドとラルフが 人見知りしない子だったのは、 ほんとに助かったなぁ……
……おれも、結構がっちがちだったんだよ
[ふふ、と小さく、笑って。>>226]
……――大丈夫、上達してきてるもの。
[衝動が、落ち着いて。――落ち着いたら。 ドナルドの方を、見て。そ、と目を伏せる]
……落ち着いてるほうだと思うけどね。 “先祖返り”は――おれも、はじめて、だから。……手探りだ。
[フィリップは衝動を持て余しているようだった。ゆっくり、飼いならすのには時間がかかるかもしれない。 途中で目覚めたドナルドはどうだろう。ドナルドの情が、彼自身を傷つけることがないよう祈る。もし向けられるなら――自分へがいい、などと思うは、罪深いか]
(228) azuma 2014/11/28(Fri) 15時頃
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がっちがちのフランシスってのが想像つかねぇけど それはそれで、ちょっと……
[みてみたかった、と年齢差あることを残念に思う。 フランシスに上達を認められれば嬉しそうに笑い]
だといいな。 俺もさ、フランシスの助けになりてぇから。
[今はまだ力及ばずともいずれは、と。 フィリップ同様衝動覚えるものの自制慣れする分読み取り難く、 必要な栄養はひとの血肉でなく食事で賄えるという知識もまた それを理性で押し込める役にたっていた。 大人のようにしかと飼いならせるのはまだ先ではあるのだけど。 緑の双眸が伏せられるに気付けば不思議そうに首傾げて]
フランシス?
[と、名を呼びかける。]
(229) helmut 2014/11/28(Fri) 16時頃
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[しあわせ、について、 フィリップとフランシスの二人が言葉交わすに耳を傾ける。]
……衝動とうまくつきあえるようになれば、か。
[ぽつ、と呟き、何か考える風にまた口を噤んだ。*]
(230) helmut 2014/11/28(Fri) 16時頃
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……ちょ、ちょっと、 ……なんだい。 見たって何の得にもならないからな。
[拙い姿を想像されるのは恥ずかしいか、首を横に振る。]
――うん。 一人だとね、限界もあるから。 フィリップは手先は器用そうだけど、どうかな
[力になってくれると謂うのは、心強い。 ラルフも一緒に、と思っていたことは、胸に棘を刺したまま。――山小屋は惨劇を生み訪問者は散り散りになった。旅の一族は集まってはならないと、口伝は強く伝わっていくだろう。]
……っ、 な、なんでもないよ
[名前を呼ばれ、願望と恋慕混じりの思考を振り払うように、そう謂った。>>229]
(231) azuma 2014/11/28(Fri) 17時頃
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……――、?
[ふと黙る、ドナルドを見た――伝えたい相手。会話の合間**>>230]
(232) azuma 2014/11/28(Fri) 17時頃
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緊張してるとことかあんま想像つかねぇから 気になるし見てみたかったな、と。
[フランシスが首振る>>231のを見れば あまりみられたくないのだろうと想像できる。]
狩りは得意らしぃけど、 そうだな、調律もフランシスから学べば。 手先もだけど、感覚とか、飲み込みもはやそうだし。
[コクと頷き向けてフィリップの方をみる。 なんでもないとフランシスが言うのには 疑問符浮かべながら、また首を傾げ。 思考に耽ってだんまりする間に不思議そうな眼差し>>232感じる。]
五年って、長ぇな、と思ってさ。
[ぽつ、と考える一端を零して苦く笑った。*]
(233) helmut 2014/11/28(Fri) 17時半頃
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[置いていかないで。傍にいて。 繰り返される言葉と>>210、頬に触れる雪の冷たさが渦巻いて、意識は何度も呑まれかけていく。
自分が今どこにいるのか分からないまま、風雪の冷たさと痛みに時折意識がふわと浮上する。
そんなことを何度も繰り返し、]
(234) 唐花 2014/11/28(Fri) 18時頃
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[次に目覚めたのは簡素な寝台の上だった。]
(235) 唐花 2014/11/28(Fri) 18時頃
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[背中の痛みに呻きながら、どうにか身を起こす。
すぐに、椅子に座ったまま眠るプリシラが見えた。 目元が赤いから、眠る直前まで泣いていたのかもしれない。 手を伸ばそうとしても痛みでなかなか思うように動かず、もどかしい思いをしているうちに扉を叩く音がした。]
…誰だ?
[誰何の声に、ノックの穏やかさとは打って変わった勢いで扉が開けられる。
呆けたように目を見開く幼馴染の顔は、男の姿を見て、それから泣き出しそうに笑ったろうか。
二人に泣かれて、怒られて。 そうして、ようやく喜びを噛みしめた。]
(236) 唐花 2014/11/28(Fri) 18時頃
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[プリシラの手をしっかりと握りしめる。
一度は命を手放しかけることをよしとした男が、生かされた今更に、気付かされたことがある。
血の匂いと肉への餓えに、怯えるよりも。 きっとこの手を失う方が辛く、苦しい。**]
(237) 唐花 2014/11/28(Fri) 18時頃
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……未熟な時期だから……
[失敗も多く、歌の否定や喪失もあり 苦い記憶も一緒によみがえる。 が、彼らのように初々しい時期もあったのだと、懐かしくも、ある]
そうだね。もっと得意そうなことがあれば そっちに移行しても、いいけども
[フィリップが、決められるように道を示すにとどめるつもりで。 首を傾げられるに、複雑そうな想いもあれど、苦い笑いに感じるのは―――]
……そうだね、長い な でも……少なくともその間は 側に、
[居られる――と 不安を抱くゆえの、小さな呟き一つ**]
(238) azuma 2014/11/28(Fri) 18時頃
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―少し、未来の― [――5年は長い、とドナルドは謂った。
そう、長い。 側にいてくれると謂ったけれど不安は過り、生活の中で嫉妬も浮かぶ。 ずっと自分の方が年上なのに、情けないことだとフランシスは思う。
――衝動が、そっと囁くのは夢の中。 山小屋で聞いたニコラの笑いが呪いのように、 壊れたオルゴールのように悪夢の中で繰り返される。 重なる あかいいろ。 たべて。たべられて。甘く――]
違……っ、―――ぁ、あ
[―― 引き攣れるような声と共に目が覚める。
呆然と眼を見開いたまま 頬に触れると、濡れていた。]
(239) azuma 2014/11/28(Fri) 19時頃
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―少し、未来の― [――ああ、よもや、まさか。
不安に駆られて、隣のベッドに駆け寄った。 ドナルドの、寝ているところ。
寝息が聞こえるか。 そ、と頬に触れる。 脈もある、血にも汚れていない。]
……は、……
[あぁ、 よかった、と。 そう思いながらこみ上げるは、紛れもないいとしさで。 眠っているなら、――今だけ、と そっと、唇に唇を寄せる*]
(240) azuma 2014/11/28(Fri) 19時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
azuma 2014/11/28(Fri) 19時頃
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[体が少しずつ動く様になって、ぎこちなかった腕も本職の細工物をどうにかまともに仕上げられる程度に回復した頃。
プリシラを呼んで、その目の前で少なくなった荷物を開く。 道具や装飾品に紛れて、手のひらには少し余るくらいの小箱の包みを取り出した。]
見た時にお前の髪色みたいだって思ったんだよな。
[特徴的な赤色を帯びた樹木。それで作られたスプーンは、二つ揃い。]
ノックスに貰ったんだ。 二つ、あるんだよ。 お前だけ残して、俺がいなくなっても多分使えないだろうし。 俺だけで持ってても、意味がねえからな。
[だから。]
(241) 唐花 2014/11/28(Fri) 20時頃
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壊れるまで、ずっと二人でいようか。 壊れたら、ノックスにまた作ってもらって。
[ずっとその繰り返しで。]
スプーンを贈り物にする意味、知ってるか?
[告げる表情は、ただ穏やか。 血族の呪いも、己の飢えも何もかも受け入れて。
それでも、選んだたった一人に向ける顔は安らいでいた。]
(242) 唐花 2014/11/28(Fri) 20時半頃
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――昔話―― 「バーニィ!お隣にね、赤ちゃんが生まれたんだよ! とっても可愛くってね、ほっぺが真ん丸でぷくぷくしてて、お花の蕾みたいなんだ」
[きらきらと髪と瞳と表情を輝かせて、少女と見紛う甘ったるさで少年を覗き込む幼馴染。 ふうん、と気のない返事をした少年などお構いなしに、尽きることのない興味をぶつけてにこにこ笑う。]
「おめでとう、ってスプーンを渡してたけど何だったのかなぁ? バーニィは知ってる?」
ばーっか。お前そんなのも知らねえのかよ。
[少し前に大人から聞きかじったばかりの知識をそれはもう偉そうに、年下の幼馴染に言い聞かせた。]
祝いにスプーンなんて当たり前だろ。赤ん坊がこの先、食いっぱぐれないようにとか。
(243) 唐花 2014/11/28(Fri) 20時半頃
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あとは…、スプーンでするみたいに 「幸福をすくいあげるように」 って願ったり、とか。
[――それは、思い出と呼ぶにも細やかな、ある日の会話。*]
(244) 唐花 2014/11/28(Fri) 20時半頃
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お前が、幸せであるように。
[遠い記憶の向こう。 会話の断片すら思い出せないまま、重ねる願いはたしかにそこにある。*]
(245) 唐花 2014/11/28(Fri) 20時半頃
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―― 少し、未来の ――
[衝動を制御できる大人になるまでは長く感じられた。 フランシスが言ったように大人になるまでの間は傍に居られる。 けれど想いある事を自覚した身には 先祖返りという衝動の強さも相俟ってきついと感じる瞬間もある。
そんな衝動を熱として開放させる。 それは保護者から学んだことのひとつ。 それまで通りひとりで慰めることもあった。 堪えきれぬと思う衝動を遣り過ごすために ひと多き街にいる間は酒場でそれなりの相手を探す。 保護者に頼むことが出来ないドナルドにとって それが紛らわせる為の術のひとつとなり 時折、酒と香水を纏い夜更けに宿に戻る事があるようになった。 それが嫉妬に繋がる、と気付かぬのは 当人は思い重ねるわけでなく 熱の解放の為と割り切っていたからに外ならず。]
(246) helmut 2014/11/28(Fri) 20時半頃
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―― 少し、未来の ――
[その日は何事もなく仕事を終え寝台で眠っていた。 深い眠りの中、初恋だった少女の夢をみることも少なくなり 何も過らぬ深く静かな眠りが訪れる。 その夜も、そうだった。
眠るドナルドのくちびるに触れる温度。 あたたかな感触が落ちる。
誰のものか考える前に無意識に伸びる手は くちびる重ねる誰かの首筋へとまわる。]
――――……。
[フランシス、と口腔で転がすように呼ぶ名。 眠るままだと知らせるは、閉じられたままの瞼だった。*]
(247) helmut 2014/11/28(Fri) 20時半頃
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―少し、未来の― ……っ、――!
[ 首に腕が回って、情けない程に心臓が跳ねた。 ――起きてる? 横目で窺い見る、と。其処にはまだ閉じたままの眼があった。 まだ、眠っている。なのに、口の中で転がすように呼ばれた名前に、眼を瞠る ]
……ずる、い
[ 苦しそうに、絞りだすような囁き。 ずるいのはこんな事をしている自分なのに、だ。 もう少し、と欲が背を押す。ゆめの、せいかもしれない。 夜更けまで帰らないことも、香水のにおいも、行為の名残も、ぜんふ、胸を掻き乱して苦しい。 ――触れたくて、仕方が無いのに。
そろりと舌先で唇を舐めて、角度をつけて 柔らかく食んで、 恐る恐る、でも、確かに深くした。]
(248) azuma 2014/11/28(Fri) 21時頃
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―― 少し、未来の ――
[眠るドナルドの鼓膜を震わすは微かな囁き。 切なき音色を夢のものかと思う。 現実と夢が連動する。 フランシスの声とそのぬくもりが 想う相手との口付けの夢を重ねさせる。
項に触れた手はその後頭部を撫でて もう片方の手が背から腰を繋ぎとめる。
薄いくちびるを濡らしてゆく舌先にくすぐったさに 微かわらうような吐息がこぼれた。 柔く食む気配を感じれば噛みつくような深い口付けへと変わる。]
――… シス。
[求める者の名をバリトンが切なげに紡ぎ。]
(249) helmut 2014/11/28(Fri) 21時頃
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フィリップは、(*・ω・)
うに 2014/11/28(Fri) 21時頃
フィリップは、ふー間違えるラルフかわいい(*・ω・)
うに 2014/11/28(Fri) 21時頃
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―少し、未来の― [焦がれる手が触れて――本当に、嬉しくて、 それだけで痺れるように、感じる。]
…… ん、 ぅ
[深い口付けに息を奪われて 鼻にかかったような声が零れる。甘くて、眩暈がした]
……、っ、 ……
[切なげな、声に名前を呼ばれては 身体の力も抜けようもの。溢れる想いのまま、頭を抱きこむようにして]
ドナルド、…… 、 …
[もっと、呼んで欲しいと――望む。夢、だと想っているだろうか。滲む目を隠すように眼を閉じて、頬を寄せて 囁く]
ごめん、 ドナルド―― すき、…… なんだ
(250) azuma 2014/11/28(Fri) 21時半頃
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[くちづけの甘さに更にと求める舌があたたかな口腔を探る。 零れる音色>>250は欲を掻き立てるように耳朶を擽る。 頭に触れるぬくもりと呼ぶ声に意識が揺さぶられた。]
――――……、
[名を呼ぼうと淡く開く口。 その動きが止まるは、囁きが伝うから。]
……ン、
[眠りからさめる前兆は一瞬寄る柳眉と短き音。 伏せた睫が小さく震え、瞼がゆると持ち上がる。 焦点あわぬ隻眼がぼんやりと頬寄せる人影を映し出す。 ゆっくりと形結び暗闇にあるフランシスの姿を見せる。]
フランシス、なんで……
[繋ぎとめるように彼の身体を抱くまま呆然と呟いた。]
(251) helmut 2014/11/28(Fri) 21時半頃
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―少し未来の―
……、―――
[ぎくり、と目覚めの予兆に身を震わすも 離れがたくて、離れられなくて 呆然と呟く様を、泣きそうな顔で見下ろす。]
…… ごめん…… おれ、
[緑の眼は、揺れて――]
……、…… ゆめ、 だと 思って
今夜、だけで、いいから 触れさせて
[懇願めいて声を落とし ドナルドの頬を撫でて、また、自ら唇を重ねた。舌先をそろり、差し入れて、熱を引き出すように。肩に手を置いて、手を這わそうとして]
(252) azuma 2014/11/28(Fri) 22時頃
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――いつか、未来―― [背中の矢傷はとうに無い。 代わりになったのは、触れる歯の感触。 皮膚へ突き立てられる歯は薄皮を裂いて僅かに肉片を削ぎ取っていく。
儀式のように、何度も繰り返される営み。 いつか衝動に負けてプリシラが心臓を食いちぎってしまうかもしれない。 けれど、きっとそんな日は訪れない。
相反する二つの願望と期待で血潮は熱くなる。 血の匂いに苛まれるプリシラへ、牙を抑制し、歯を立てることを許したのは男自身。]
(253) 唐花 2014/11/28(Fri) 22時頃
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おいで。
[呼んで、口づけたその唇の端にわずかに血の色が残るのを見て舐めあげる。
本能を満たし、致命傷にならぬ程度の僅かな食事。 けれど日々積もるそれがいつしかプリシラの中を埋め尽くし。
他への愛など忘れてしまえばいい。 他に何も求められなくなるほどに。]
(254) 唐花 2014/11/28(Fri) 22時頃
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[工房を構えた職人へ、数年ごとに頼むスプーンの新調と。 それとは別の幸福を分け与えることを。
繰り返し、積もらせて。 いつか、その中で命絶えるまで。寄り添う。**]
(255) 唐花 2014/11/28(Fri) 22時頃
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