1 とある結社の手記:6
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[また独りぼっちになってしまった銀狼。
冬の空めがけて、*高く一つ遠吠えた*]
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―開票前・自室―
[どれだけの刻、”わがまま”は叶っただろうか。 膝の下に手を入れられれば、瞳の高さは少し低い位置に。 微かに頬を染めて、青緑の瞳を見上げる。]
心臓の音、発作の度に感じてきたけど、 人の音感じるのは初めてだよ。
[右の胸に頭を寄せるように腕を回し、暫し心の動きを感じる。 その音は、どのように鼓動していただろう。 そのまま優しくベッドに横たえられて]
そうだね。もう遅いし……休むよ。
[そう言った後、手を伸ばす先は親友が叩いた頬。]
お父さんのよりは痛くなかったでしょ…?
(0) 2010/02/25(Thu) 05時半頃
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[彼は何と答えただろうか。 どんな答えが返ってきても、笑みを向けるだろう。 柔らかく包むように撫でながら。]
―――フィリップ!
[彼が部屋を出て行く前、身体を起こし名を呼んで。]
此処から出られた時、また走ってくれる…? 今度はもっと早く。
[自宅から逃げるように雪道を走ったことだと、分かるだろうか。 あの時感じた風は心地よく、香染の髪は嬉しげに靡いていた。]
じゃぁ、おやすみ。
[そう言って、彼の背を見送った。 これが生きた彼を見る最後になることなど、思いもせずに。 再び雪道を走ることを夢みるように、眠りと。*]
(1) 2010/02/25(Thu) 05時半頃
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[――――…また、明日。そう言って別れて]
メリクリウスさん。誰を襲うか、決めましたか?
[もう随分と夜も更けてから、声を掛ける]
[投票結果は怖くて見にいけなかったから、知らなかった。
けれど、まさか、そんなこと。
…………彼からの声は、返って来ない]
メリクリウスさん……?
あの、悪い冗談や悪戯は、止めてください。
僕、怖がりなんですから。知っているでしょう?はは…。
[冗談めかして笑って見せるも、その声は消え入るほどに小さい。
いやな汗が背中を流れる。うそだ。うそだうそだ。そんな]
[気づけば音も無く、彼の部屋の前へ。
扉を開け放つ。ひゅうと頬を撫でる生温い風は、
少し前まで彼が其処にいたことを示すのだろうか]
あぁ。なんで。 …うそつき。うそつきっ!!
[だけど、今はもう、―――…いない。
揺らぐ視界。滲む涙を堪える。泣いては駄目だ。
助けてくれる人なんて、もう何処にもいない]
…………………っっっ。
さようなら。
[声が震えそうになるのを堪えて、彼に別れの挨拶を]
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―自室―
[病室で、淋しげに窓の外を眺める少女。 本を支える腕には点滴の針が刺さっている。 窓から吹き込む夏風は、瞳に浮かぶ光を斜線に走らせた。
と、その時。 大きな向日葵の花が窓の外に咲く。 黒檀を瞬かせていると、その花の横から顔を覗かせる小さな顔。 涙は止まり、親友と笑い合う。……そして。
親友とは逆の位置に顔を覗かせる少年。 肩には色鮮やかな鸚鵡。 少女には四つの向日葵に思えた。
生死を彷徨った後の、幻想―――夢。 その夢から覚めたのは、悲鳴の叫び>>11が聞こえた時だった。]
(15) 2010/02/25(Thu) 13時半頃
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―自室→―
[慌てて起き上がり、車椅子へ移る。 自分の身に何も起きていない事、感じる余裕があったかどうか。 聞こえてきた悲鳴はそう遠くない。一抹の不安が過ぎる。
自室の扉を開けると、二日前と同じ鉄が錆びたような臭い。 広間か、客室か。頭を左右振って。 臭いが濃い方へ、ゆっくりとハンドリムを回した。]
……ううん、 私が生きてるんだから、大丈夫。
[悲鳴と臭いが何を物語っているのか、考えずとも分かる。 だから、それは無いと。絶対に無いと。けれど……]
(16) 2010/02/25(Thu) 13時半頃
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―フィリップの部屋―
[車椅子は、扉が開いたままの彼の部屋の前。 離れた位置から”何か”を抱える姿、黒檀は理解した。 けれど、それ以外のことは理解できなくて]
…………、
――――――、 [フットプレートから脚を下ろし、震えるそれで腰を浮かせる。 刹那、すぐさま床に崩れ落ち、それでもまた立ち上がろうと。 吹き抜ける風の音も、咳き込む音も聞こえない。 異常なまでの静寂。床を這う身体の感覚も分からないまま。 ベネットの傍まで辿り着けば、その腕の中にある”もの”が何か、黒檀だけは理解して―――音が甦った。]
(17) 2010/02/25(Thu) 14時頃
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キャサリン、お前こんなトコで何して――。 …また、俺は俺を希望するのかもなあ。
[想いを知る前の声。]
(18) 2010/02/25(Thu) 14時頃
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俺にとって、あいつらは家族だ。 本当の事を言ってくれてありがとう。 [想いがすれ違った時の声。]
(19) 2010/02/25(Thu) 14時頃
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俺は…死にたかったわけじゃない。 お前だけは、絶対にここから生かして出してやろうと思った。 お前が人狼に襲われる姿しか想像できなかったんだ。だから…。 [想いが交じ合った時の声。]
(20) 2010/02/25(Thu) 14時頃
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いやあああああぁぁぁぁ――――!
[喉が裂けんばかりの声。溢れる大粒の涙。 抱えられる、愛しい存在に触れようと手を伸ばし、崩れ落ちた。]
(21) 2010/02/25(Thu) 14時半頃
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―深夜・フィリップの部屋前―
[やってきたのは、鳥飼いの青年の部屋の前。
相棒が処刑されたら、郵便屋を襲えといわれていた。けれど]
…せめて、貴方に彼の死を捧げましょう。
ウェーズリーさんと心中は、嫌なんでしょう?
[くすくすと悲しく笑う。届く筈のない声。
或いは彼が未だ生きていれば、聞く位はできたのか。
いずれにせよ、返事はかえってこない]
…………………。
[勿論、理由はそれだけでは無いけれど。
彼が大切に思っている人の顔。彼を大切に思っている人の顔。
頭の中で浮かんでは、消えていく。
別に悲しませたいわけではない。嘆かせたいだけではない。
ただ。
こわい。
彼らの無条件な絆は、とてもとても恐ろしかったから。
それだけ]
―深夜・フィリップの部屋―
[ゆらりと小さな影は、青年の元へ]
………フィリップさん。
キャサリンさんとの仲直り、出来ましたか?
[フィリップは、起きていただろうか。眠っていただろうか。
いずれにせよ、此方の真意に気づくほどの時間は、
与えられなかっただろう]
さようなら。
[ただ、にこりと微笑み、彼の命の焔を奪う]
[ばさばさと、部屋を舞う一羽の鸚鵡。
その鳥に心はあったのか。何か喋ったのか。
血だまりの中ぽつりと立ち尽くす銀狼には、
分らないけれど]
……アーチ。
[鍵の開いた窓から、大空へと飛び立つ極彩色。
白の中に溶け込むことなく、
月明かりを受けて鮮やかに映える]
ごめんね。
[くすくすと肩を揺らす。
足元には、頭を撫でてくれた青年の屍が]
[嬉しいのか。悲しいのか。
美味しかったのか。美味しくなかったのか。
――――……*もう、僕には、分らない*]
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―→広間―
[僅か、指先に触れたフィリップの髪。 昨夜抱き上げられ、首に腕を回した時に頬で感じたもの。 腕に、手に、全身に、彼の感触はまだ残っている。 けれど、それを再び感じることはできなかった。]
…………、
[止まらない涙、黒檀はどこを向いていただろう。 ドナルドの問い>>24は、まるで聞こえていないように。 抱き上げられても抵抗せず、否、その感覚なかったように思う。 されるがままに、車椅子に座り、広間へと場所が変わった。]
――――、
[暖炉の傍、やはりドナルドの問い>>25には答えられず。 身に当たる暖も感じられず。 全ての涙を出し尽くした頃、黒檀は一点をみつめるように。 そして、ローズマリーの姿>>@14を形として捉えた。]
(41) 2010/02/25(Thu) 16時頃
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病人 キャサリンは、本屋 ベネットの服が血で染まっていたことに気付いていたかどうか―――
2010/02/25(Thu) 16時頃
みーんな、悲しんでますよ。
嬉しいですか?
メリクリウスさん。ヤニクさん。
[ふふふ、とこぼれた笑みは乾いたもの]
僕は、……………
[言葉が、続かない]
病人 キャサリンは、本屋 ベネットの血塗られた服に、恐らく気付いていない。
2010/02/25(Thu) 16時半頃
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―広間―
[ローズマリーに、自身から話し掛けることはない。 彼女の周囲を漂う、サイラスの魂。 虚ろな黒檀にまるで存在を主張するようなそれ。]
…………、
[サイラスのことは疑えなかった。 ―――表面を取り繕える、と聞いた後も尚。 命の灯火を与え続けてくれた存在、幾度と無く気に掛けてくれ、その度に薬やジャスミンティ、林檎を与えてくれた人。 疑えないから、もう一人の占い師を疑った。 相対的に信用が低くなったウェーズリーが、今まで人間判定を出し続けたことを人狼だと思って、昨夜彼の名を記したのだが。
常の自身なら、泣き叫んでいただろう。 しかし、彼よりも大切な存在を失った今、そのような気力あるわずもなく。]
(58) 2010/02/25(Thu) 16時半頃
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[虚ろな黒檀は、ゆっくりと魂の色を捉える。 一度だけ、黒檀を瞬かせただろう。 目を細めるローズマリーに、一瞬視線を移し、しばらく動かなかった唇が音を出そうと。] ……いる、ょ、 [一言の問いには、一言の答えを。 サイラスの魂は、何を主張したかったのだろう。 車椅子はローズマリーの傍へ。 そして通り過ぎ、コルクボードの前からメモを一枚取る。 テーブルに向かい、ペンを取った。]
(60) 2010/02/25(Thu) 17時頃
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[震える手は弱々しく文字を記した。 そして、メモを握り潰すと同時]
―――なんでよおぉ! [答え無き問いを音にする。 白である筈の魂は闇色に光り、ふわり浮いている。 彼が、大切な人を奪った同胞だったと分かれば、哀しみと悔しさで、更に力を込めるように両手でメモを握る。 誰かが手を開けば、その中のメモはこう記されている。*]
『 Cyrus Robsonの魂は、
人―――――狼 』
(62) 2010/02/25(Thu) 17時頃
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[強く握りしめていた指は、ローズマリーによって一本、また一本とゆっくりと解かれた。 メモが手の内から離れても蹲ったまま。 頭上から、一つ声>>@24が聞こえたが何も言わず。 後に皆が浮かぶだろう疑問は、女にはまだ浮かんでいなかった。]
…………、
[ローズマリーの問い>>@28に、無言の返事。 自らを否定する言葉>>@29が聞こえても、微動だにしなかった。 傍に親友が居てくれても、ずっと蹲ったまま。]
(72) 2010/02/25(Thu) 19時頃
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[―――っえ? ベネットの声>>73、焦り、怯えを含んだような声。 震えながら顔を上げる。]
ふえ、て、る…?
[黒檀を深緑と交じ合わせて。 鼓膜に余韻を残すその言葉が、漸く女を現実へと戻した。]
そ、そんな……
[信じられない状況に、黒檀は広間の中を彷徨う。 感じる闇の気配―――黒の魂。 間違いなく、二つ浮かんでいる。 どちらがどちらのものなのか、はっきりと視える。]
(74) 2010/02/25(Thu) 19時頃
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間違いないよ。 サイラスさんは、サイラスさんは……
[二度名を口にするのは、その続きを拒むように。 けれど、判定が正しいと伝えようと。]
―――サイラスさんは、人狼だよ。 [そして、震えながらも、努めてはっきりと。 今度は音として、彼の真の姿を響かせた。*]
(75) 2010/02/25(Thu) 19時頃
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