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【人】 掃除夫 ラルフ ―昨晩・食堂― (2) 2014/08/14(Thu) 00時頃 |
食べたんですね…。
[咎めるような響きを含んだ囁き。
けれど少年にはわかっている。自分がやらなかったから彼がやるべきことをやったのだと。彼は楽しんでいたようだけれど、それでも自分が逃げたことに変わりはないことを。]
-昨日:サイモンの部屋で-
あ、はぁ…………っ、あはは、
『19XX年8月X日
まだ温もりの残るその身体を愛撫するかのように、抱き寄せて首元に噛み付いた。久しぶりに味わう血と肉に、私は笑みが止まらなかった。
少し残念だったのはいささか骨ばっていて、脂身が少なかった事だ。次に食すならば、柔らかい女性の身体が良い。』
…………っと。少しお行儀が悪かったかな?
『気が付いたら口の周りと手が、血と脂でベタベタに汚れている。それを舌で丁寧に舐め取ったあと、ポケットからハンカチを取り出し、唇を拭いやる。
そこだけ妙に人間地味ていて。もし誰かがこの凄惨な光景を目にしていたら、さぞかし気味が悪かった事だろう。』
[私は赤い部屋を後にすると、興奮の冷めやまぬまま、手帳に今の事を書き連ねるのだ。
嗚呼もっと欲しい。もっと悲鳴が欲しい。もっと絶望に震える瞳が欲しい。追い詰められる恐怖。命を踏みにじられる理不尽さに怯えて欲しい。もっと。もっと。悦楽のままに食したい。]
くっ、………っふふ、
[
噎せ返るような血と脂の臭い。死の薫り。この匂いを嗅ぐだけでエクスタシーを覚えてしまいそうな自分。叶うものならば、今すぐにでも目の前の無垢な人間たちを食してしまいたいものだ。然し、流石に人数が多過ぎるし、何より太陽の光が差し込んでいる間は、どうにも力が出ないのだ。今は怯えている振りを装わないと。
込み上げる笑いを殺し、あくまでも臆病な羊の振りをしながら。結社員に促されるがままに、広間へと歩く。]
【人】 掃除夫 ラルフ ―朝・一階― (38) 2014/08/14(Thu) 10時半頃 |
【人】 掃除夫 ラルフ[耳の傍に置いたのでは、と思う程。ばくばくと、心臓の音が聞こえた。心臓は五月蠅い程に音を上げて働いているというのに、血の気が引いているのが分かる。 (40) 2014/08/14(Thu) 10時半頃 |
【人】 掃除夫 ラルフ ―広間― (42) 2014/08/14(Thu) 11時頃 |
[リーを見返す、少年の心の目は暗い。]
してくれるわけがない。
もし僕が化けものだって言ったら…
このひとは、喜んであの紙に僕の名前を書く。
だけど…それの何が悪いんだろう。
そうだろうね。だから易々と名乗り出る訳にはいかないよ。
[
若い狼には自分はどう映るのだろう。暗い道に引き込もうとしている魔物に見えるだろうか。
せめて、親狼くらいに親しんでくれれば良いのだけれども。]
ふふ。まぁ、私は長生きは出来ないよ。
部外者だし?もしかしたら既に占われているかもね。
それに、昨日サイモンさんの部屋に入ったところを誰かに見られたかもしれないよ。
――――……まぁ、それでも良い。
私は愉しめればそれで構わないんだ。
[くっくっ、と下卑た嗤いを零して。目を細める。
そして耳元に近づいて、首を軽く傾げた。]
どうする?私が考えている方法は二つ。
一つ。私が占い師を騙ろうかなって。
それでも時間稼ぎにしかならないけどね。
一先ず、私が処刑されるのを逃れる付け焼刃さ。
……まだ君は”人を殺す”勇気が無いんでしょ?
その間、私が手解きをしてあげるよ。
二つ。名乗らずにこのまま静かにする。
ただ、大人しく首を括る訳にもいかないからね。
昨日、サイモンさんの部屋に入る前に髪の長い男性を見かけたんだ。
その人になんとか罪を被せられないかな、って。
[そう嘯いて、
怖くないんですか?
大人になると…怖くなくなる?
[思い詰めたように少年は問う。]
僕は怖い…。きっとみんな怖い…。
[両親の斃れた姿を思い出すけれど、それには答えないまま。]
私だって怖いさ。
[あやすように呟く。“私”だって本当は雪山の奥のおとなしい狼だったのだ。けれども血肉の味を覚え、悦楽に溺れてからは、抜けられない。]
どうする?
どうして欲しい?
[特に少年に引きとめられなケラば、占いを偽る事だろう。この若い狼を置いて、一人では逝けない。]
イアンさん…。
[少年は彼の問いに答えられない。
指示された男性とはほとんど面識がない。既に異邦人たる彼の方が、ずっと親しかった。たとえ同族でないとしても。けれど。]
(僕は…あなたの名を……)
ふふ。”私”にもそんな時代はあったっけな……
[懐かしむように小さく呟く。
正直言うと、よく覚えていない。
初めて人の皮を剥いだ時、化けた時、少年のように震えたかもしれない。
そんな朧げな記憶も、悦楽と欲望の前に塗りつぶされて。
ちらりと窓を見やれば、青々しく山が聳え立っていた。
――――……きっと”私”はもうあの山には帰られないのだ。]
聞き方を変えようかな。
妹さんを守りたい?妹さんを食べたい?
どちらにしても、君が生きていないと駄目だよね。
………こういう言い方は狡いかな。
[だから。若い狼には生きて逃げて欲しいのだ。]
――――……襲いたいさ。
[その場から逃げ出したくて。
少年はキャロライナを探す。しかし周りの会話から耳を塞ぐことはできない。イアンを巡る周りの態度に、少年は怖気する。けれどイアンの態度はまるで挑発するようで。]
イアンさん…。
守りたい…。食べたい…。
みんなそうしたい…村のみんな…。
そう。
[
自分の命はそう長くはないだろう。その間に、この若葉に血肉の味を教えてやりたいものだけれども。]
………それで良いよ。きっと、…いずれ、分かるよ。
[いずれ、血が欲しくて。牙が疼くのだから。]
…ふ、あはは…
[嗤いが零れるのを手で必死に押さえる。]
【人】 掃除夫 ラルフ[占い師だと名乗ったサイモンは、赤い部屋を作って殺された。 (99) 2014/08/14(Thu) 22時頃 |
【人】 掃除夫 ラルフ………… (100) 2014/08/14(Thu) 22時頃 |
[魔法使い達が炙り出されていく。イアンの御蔭で。
気の遠くなるような残酷な会話の渦中で、少年はそう思わずにはいられない。なぜ自分は守られるのか。なぜ守る人を自分は食べたくなるのか。そうしてまるで関係ないような話を、独語するように呟く。]
イアンさん…。
僕、両親を食べようとしたんです。
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