人狼議事


118 津 村

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ゴロウ! 今日がお前の命日だ!


― 昨日:中庭 ―

[目をあける。秋晴れの空や、壁、草が視界に入った。
これはどうした事だろうと、と寝ぼけた頭で思考する。
そうか、中庭で昼寝をしていたのだ。気付いて、名取は起き上がった。
眠たげな顔で頭をぼさぼさと掻いてから、大きな体を縮めて、腕をさすった。
寝起きは寒い。

ポケットから携帯を取り出し、時間を確認する。
とっくに昼休みは終了していることを知る。]


[汗が冷える。
メールを返信し終えて、名取は鼻を痒がってこすった。]

 はー。

[ながく息を吐いた。
鼻がつまり気味で、息がしづらい。

今日は何か疲れてるなあと部長に笑われた。
溜息と取られたらしい。名取は首を横に振った。

学園祭が終わったら、この部活も終了だ。
最後の練習日には、ついにグラウンドの使用権も得たという。
名取は、それが少し楽しみだった。

今のチームが好きだとか、この球技への愛だとか、そういう立派な事を言う気はない。
ただ、こうして皆で集まって、遊んでいるかのように感じるのが、すきなのだ。]


― その朝五時半ごろ ―

[何か夢をみた。あまり良い夢ではなかった。
それに対して「ああ夢だったか」と気付いてすぐ、内容は霧散するかのように記憶から消え失せて、殆どを忘れてしまう。]

 さむ…………

[目が覚めた。顔を顰める。
険しい顔で時計を見た。五時半だ。
冬眠中の熊のように、大きな体を丸めて眠っていたようだ。
足が寒い。
体の半分にかかっていた綿毛布を引っ張って、頭から足まで、すっぽりとかぶった。寒さからか、空咳が出た。]


 はー。

[息を吐く。鼻がつまっている。
「だがこれは溜息と間違われた。止さねば。」と、思考する。
渋々起き上がって、ティッシュ箱の在り処までのろのろと歩いた。
つまった鼻は上手にでてきてくれずに耳を痛め、座りこんで耳珠を指で押した。
床がひんやりしている。]


[今日はスッキリ起きられなかったなと、名取は考える。
まだまだ布団が恋しい。というか、寒い。
秋も深まってきたのだろう。
今年も最後の季節に向かおうとしているのだと思えば、感慨深いものがある。

鼻をおもいきり噛んだせいか、寝起きのせいか、はたまた別の理由があるのか、赤い目で、もう一度時計を見た。]


[二階の自室から出て、階段を下りる。
顔を洗い、歯を磨き、ベランダの傍に寄る。

プランター菜園は、名取の趣味である。
家が花屋であるから、影響されて興味が湧いた面もある。
親の花屋で飯を食わせて貰いながら、こんな事を言うのもどうかとは思えど、やはり切花よりは、土から生えているほうが、可哀想でなくて良い。
そしてなによりも、水や肥料を与えて、心を尽くして管理してやれば、食べ物が増えることが素晴らしく思えてならないのだ。

ベランダに続くガラス戸をからからと開け、つっかけを履いた。
さあっと冷たい空気が肌に触れて、身を縮めた。
頭のてんこつの毛穴までもがきゅっと縮こまっているかのような感覚があり、とろ、と粘度のたりない鼻水が垂れ、名取は大きなくしゃみをした。]


[名取は思った。
秋だなあと。
涼しくなったなあと。

もしかしたら花粉によるものかもしれぬのだ。
ついに粂鳥代壱の花粉症とやらの苦痛を、この身をもって知る時が訪れたのかもしれぬ。
花粉症の発生は、体への蓄積量によるとも聞く。
秋の牧草に関してもそうであるかは知らないし、蓄積云々も事実であるかどうかなど知ったことではない。
だが仮にそうであるとするならば。
粂鳥代壱が牧草系花粉に敗北しているのならば。
自分がそうなっても、おかしい事など何もない。

名取五郎は、自身が風邪を引いた事に気付いていなかった。]


[多分、原因は、学内で風邪が流行っている事。
そして中庭で熟睡などして体を冷やしたこと。
さらに部活にて汗を流しまた体を冷やしたこと。
名取の知ったことではないが、妹の友人もまた風邪引きであった事。
同じクラスの若者が二人も風邪で休んでいる事。
その他様々あるのであろうが。

健康そのものの生活を送ってきた名取は、風邪など殆ど引いたことがない。

名取には風邪がわからぬ。名取は、普段は健康である。良く食べ良く眠り、運動をしたりして遊んで暮らしてきた。

だからこそ、風邪に対しては、人一倍に鈍感であった。]


[今日は、いつもの放辟邪侈たる空腹は鳴りを潜めていた。
少し食欲が落ちている事を、すっかり飽きと朝食のせいにして、名取は黙々と米を食った。

炭水化物愛・穀物愛を持つ者どもは、背丈は足りているが、ビタミンが不足していたのかもしれぬ。
勿論それは名取五郎の知るところではない。]


[確かに昨日よりは体調が良いのかもしれない。
だがその足元は覚束ず、その歩みは歪な曲線を描く]

うん、げんきげんきー。

[そう自分に言い聞かせる声は、言葉とは裏腹の力無きものだった]


[金属を氷が叩く音。
休み時間を迎えるたびに、スポーツドリンクを口に含む。
冷えた電解質溶液が喉を潤す。
が、それも一時の事。
すぐに喉の水分は失われてしまう]

[もっと、もっと飲み物が欲しい]


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