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[言葉を途切れさせると、傍らに佇む血を分けた相手へ
薄く笑みを向ける]
勿論、お前も愉しむと良い。
渇きのままに、欲望のままに
もう……
我慢する事は無い。
[語りかける声音は低く甘く
されど其れは人の耳には届かぬ波長を持って響く。
元は人間であった彼女が人間の血を啜るさまを見るのは
城主の愉しみのひとつでもあった]
望みがあれば、何でも叶えよう。
……私のローズ。
[くすくすと人間には聞こえぬ聲で笑う]
私もお兄様を楽しませられると良いのだけれど。
[城主を愉しませる為の宴と客人に告げた者に
女は控えめな態度の儘言葉を返し]
渇きのままに、欲望のままに
お兄様は私に甘くてらっしゃる……。
[兄の笑みに嬉しそうに細まる女の眸]
優しい、私のお兄様。
大好きよ……。
[睦言を交わすかのように甘く囁き
切なさを隠すように胸元でぎゅっと拳を握った]
私のローズ……お前は客では無いだろう?
傍に居るだけで、充分私は満足している。
[人間の中では類稀な美しい薔薇を
この手で手折ったその瞬間と
変じた彼女が作り出す新たな犠牲者と
其れを眺める事こそ、城主を愉しませているのだが]
愛しいローズ。
お前に甘いのは、仕方が無いだろう。
永遠に続く孤独の中で漸く見つけた同胞なのだからな。
[人の言う愛は、城主には当てはまらない。
けれどその薄い唇は愛しいとそう何度も彼女へ呟くのだった]
客人ではないけれど……
私はお兄様の為だけに存在するの。
お兄様に喜んで貰える事が無上の喜び……。
[目覚めて初めて目にした美しい兄に心酔していた。
長く共にあれど其れは変わる事無く]
愛しいお兄様。
貴方の孤独を私の存在が少しでも埋められたなら……
[薄い兄の唇が紡ぐ言葉に女の心は満たされる。
それは先ほどまでの飢えさえ忘れさせて呉れる魔法の言葉]
【人】 執事見習い ロビン―1階・廊下― (76) 2010/06/20(Sun) 01時頃 |
私のためだけに……
[存在する。
鸚鵡返しに囁き、ちらりと視線を投げた。
其れは彼女が真に望むことか
其れとも、己が与えた力によるものか
其の先を考える事はしなかった]
永遠に続くこの命がある限り
孤独が消える事は無いが……そうだな、
お前が愉しむその姿が傍にあれば
私は満たされる。
……喉が渇いているのだろう?
先ずはどれが欲しい。
あの粗暴な男か、其れともこの女が良いか?
【人】 執事見習い ロビン[扉の向こうにある「宴」の喧噪を背中で聞きながら、執事の男は不安げに立ち尽くす娘を見下ろしている。 (85) 2010/06/20(Sun) 01時頃 |
【人】 執事見習い ロビン―1階・廊下― (91) 2010/06/20(Sun) 01時頃 |
【人】 執事見習い ロビン――「死」への恐怖もまた、貴女の「正装」。 (94) 2010/06/20(Sun) 01時半頃 |
お兄様のためだけに。
[同じ言葉を繰り返す。
過去を失った女は彼の同胞になることを自ら望んだのか
望まぬままそうなったのか知らないけれど
今は望んでそうなったのだと思っている]
貴方に与えられたこの命が尽きるまで
私は貴方の傍にいます。
[満たして差し上げたいと思いながらも
傍にいて愉しむだけで本当に良いのか女には判断がつかない。
渇きを指摘され恥ずかしげに眸を伏せる]
――…お兄様は何方をお気に召したの?
[答えを用意できぬ女は質問を返した]
【人】 執事見習い ロビン―1階・廊下― (107) 2010/06/20(Sun) 01時半頃 |
愛しいローズ。
……私は、多くを望まない。
ただお前が傍に居るだけでも、充分だ。
[まるで己は生ける死人のようだと、常々思うようになった。
刹那に生きる人間達の傍で暮らすうちに。
彼らが己の存在に踊り、狂い
破滅――若しくは自滅する様を観察するのが唯一の愉しみ。
其の後に襲う虚無からは、どう足掻いても逃れられはしないのだけれど、同属が傍に居ると思えばいくらかは紛れる]
――…そうだな、私は
[彼女の問い掛けには汚れたチーフを振り、目配せを一つ。
その血の持ち主に幾らかの興味を抱いたのだと、暗に告げた**]
【人】 執事見習い ロビン−1階・廊下− (122) 2010/06/20(Sun) 02時頃 |
【人】 執事見習い ロビン−1階・廊下− (137) 2010/06/20(Sun) 02時頃 |
[兄の聲は女の耳に心地好い]
お兄様の望むままに。
誰よりも、私はお兄様を想っています。
[自分の知る世界の中心である兄の望む者を知れば
伏せた睫毛がぴくりと震えた]
ならばその者には手出し致しません。
お兄様にとって愉しい宴となりますように。
[女は心得ているとばかりにそう紡ぎ
複雑な思いを心の内に留めおく]
[城主の妹となった女に記憶がないのは幸い。
何故なら人間であった頃の記憶を持ちながら
人間の血を啜ることに弱い心は耐えられないから。
そんなことは露とも知らず女は人間の血を啜る]
――…私はお兄様の同胞。
私は、ヒトではなく闇に住まう者。
昔のことなんて思いだせなくて良い。
[郷愁も思い出の品も捨てられぬのに
自らに言い聞かせるようにして]
私はあの方の妹。
私は――…私以外にはなれない。
[女の耳朶は拾わずともよい声さえ拾ってしまう。
サイモンの呼ぶ声に物憂げに柳眉が顰められた]
お前が望むなら、あの客人も与えてやろう。
――私の同胞……私のローズ。
[言い聞かせる聲に囁きかける。
暗示にも似た言葉
「私のローズ」
彼女が目覚めてから、そう呼び続けてきた]
お前の美しい顔を顰める者が居るようだな。
[影の密告を受け、城主は低く洩らす]
その憂い、私が晴らすが良いか
其れとも、お前が喰らうか……?**
【人】 執事見習い ロビン−広間− (204) 2010/06/20(Sun) 10時半頃 |
【人】 執事見習い ロビン[ワインのボトルを手にし、サイラスと呼ばれる客の前にグラスを置く。 (206) 2010/06/20(Sun) 10時半頃 |
【人】 執事見習い ロビン[サイラスと呼ばれる男に、漆黒に近い色をした年代物のワインを給仕し、その間に行われていた会話に耳を傾ける。 (225) 2010/06/20(Sun) 12時頃 |
【人】 執事見習い ロビン[己が眉根をしかめた>>225をごまかすかのように、緩やかな笑みを浮かべて会釈する。] (236) 2010/06/20(Sun) 12時頃 |
【人】 執事見習い ロビン[広間に人が少なくなってきた頃合いを見計らい、客から離れて広間の片隅に立ち、小声で影に言付けを託す。] (246) 2010/06/20(Sun) 13時頃 |
【人】 執事見習い ロビンお客様。お水をご用意いたしましょうか? (248) 2010/06/20(Sun) 13時頃 |
[気高く美しい兄の聲に伏せた睫毛が小さく震える。
幾度となく繰り返された暗示のような言葉]
お兄様……
私はあの客人を望んでなどいないのです。
[興味がないと言えば嘘になる。
けれどその興味はあの客人が兄の目にとまったから。
本当に望むものは口に出来ぬまま――]
…………。
[白薔薇の執事が影を通じなされた密告。
兄の問い掛けに妹は逡巡する]
もうあの声を聞きたくはないのです。
お兄様にあの者の処遇をお任せします。
[憂いを滲ませた聲が密やかに囁かれた]
――…私のローズ。
[囁く聲に混じる憂い。
まるで彼女に呼応するかのよう]
お前が望まぬ客人
けれどあの客人はお前を望んでいる
ならば、すべき事はひとつ
お前が楽にしてやるが良い。
[彼女を求めるものが、彼女によって逝かされる
そのとき彼はどのような声をあげるだろう
ざわ、と背筋に走るものを感じ、語尾は甘く震えた]
――…私が、それを為せと…?
[兄の囁きに女の聲が沈む]
意地悪なお兄様。
私の願いを聞き届けては下さらないのね。
[甘い震えを伝える聲の主に女は逆らえない。
望まぬ男の求めに応じる苦痛よりも
兄たる者の悦びを女は優先する]
嗚呼……
[悩ましげな吐息が零れた]
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