56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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御者 バーナバスは、メモを貼った。
10347 2011/07/05(Tue) 00時半頃
[二人の同胞の名を呼んだ時。
男は、狼となって初めて『泣い』ていた。]
ああ、もし、もしも本当に待ってくれてるなら―――― …**
[ もうすぐ 狼達は出会う
まだその事は 知らないけど ]
『 ―― イアアァァアァアァアアンンッ!!!!!! 』
[ ―― 微かに 記憶に掛かる声。
何処かで その名前を 呼んだ様な……? ]
[また夢を見る。
今では朽ち果てた砦が、建てられた形のまま建ちそこで、今では廃れた弓の訓練をして。
幼い頃から一緒だった幼馴染と、憧れているお姫様。
変わった格好の女性と、いつも生真面目そうな顔をした男。
目が覚めると忘れてしまっていたが、唯一覚えていたのは、服装が苦手だからという失礼にも近い理由で避けつつも、何故か不思議な会話が出来る相手。]
ムパムピス……?
[夢の中でのように、話しかけた。]
……――?
[ふと、名前を呼ばれたような気がして振り向いても、
壁の向こうに空が見えるだけだった。
今はまだ**]
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― 某日・赤国・資料館 ―
[それは巡るよりは過去のこと、しかし砦がまだ現存しているよりは遥かに未来のこと。
資料館の管理を任された若き館長は、一人館内を歩く。時は既に夕刻、資料館の閉館時間が迫ってきており、館内の人間に一人一人声をかけているところだった。]
どうやらほぼ人は抜けたようだね。 昼間はそこそこに忙しかったんだ…。
[地味な資料館では閑古鳥が鳴いているのが通例ではあるが、最近は昼間はそれなりに人が入っていた。]
まあ、今回のはリピーターが居るかもしれないね。 私も少し身震いした位だもんな。 [皆々が一目くらいは見たいという、話題のお目当てがあるのだ。]
(101) 10347 2011/07/06(Wed) 02時半頃
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[地元の歴史を綴るコーナーにやってくる。昔々…騎士とかが居た中世の時代の遺物が展示されている。その一角に、今は機能していないであろう砦にて発見された数幅の絵が飾られてあった。
芸術家や鑑定士の類からすると、「名も無い画家のうえ、画力に劣り芸術としては及ばないが、当時に描かれた絵であり歴史的価値がある」との評価を下されていた。故に今は美術館ではなく資料館に置かれている。]
ま、この絵たちじゃ仕方ないね。 画家ってより趣味で描いた誰かってのがいいとこだよ。誰だってそう思う、僕だってそう思う。
(102) 10347 2011/07/06(Wed) 02時半頃
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[そんな折、一幅の絵がこの資料館にやってきた。多忙に押され、寄贈されたのか旅路の末戻ってきたのかは今の自分は思い出せない。
玄人の鑑定で絵師が同一人物と直ぐにわかったが、他に比べ一つ違うことがあった。曰く「上手い下手より、鬼気迫るものがある」「彩色が激しい、特に赤がまるで本物の血を使っているみたいだ。」とのこと。そして…]
…おや。 まだ残っている人が居ましたか。
そこの人、そろそろ閉館時間ですよ。 余り長居をせぬ様お願いします。
[人気に押され一つ広い場所に飾られている。夕暮れの日が差し込めるそこに、一人の男が立っていた。古くさそうな布地の服を着、帽子を深く被り年は分らない。
唯ひたすらに絵をじっと見ており、自分の声は届いていないかのようだ。]
(103) 10347 2011/07/06(Wed) 02時半頃
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[やれやれとばかりに肩をすくめながら、彼の横に立つ。]
どうですか、この絵は。私は初めて見た時、なんかこう、当時の騎士達がぶつかるとこうなるのかって思いました。騎士の世界も華やかなものだけでは無かったのでしょうね―。
はっああ…!? いやぁすみませんね、私だけ喋ってしまって。
[言葉を発さない男に対しつい饒舌になったと自分を諌めた後、彼に見せるように絵の一箇所を指した。]
(104) 10347 2011/07/06(Wed) 02時半頃
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[指した先には、色が劣化したのか傷が付いたのか、とかく絵に穴が開いたようになっていた。]
しかし、この染みのような傷が付いてしまっているのは、真に残念な事です。絵としての完成度が…!?
[ちゃりっ、と、横で音がした。]
な―…!? 貴方は
[自分の目を疑う、そして息を飲むとはこういうことだろう。何せ、真横に居た男が、甲冑を着た騎士の姿になっていたのだから。
その甲冑に見覚えはある、絵や言伝で聞いた騎士そのもの―。]
どちらさ―えっ?
(105) 10347 2011/07/06(Wed) 02時半頃
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[金属音を立てながら騎士が指をゆっくりと絵に向けていく。つられて振り向けば、穴のような箇所が元通りになっていた。]
ああっ!絵の穴がなくなってる! そこの人!これは一体
いない。いない? そんな馬鹿な―。
[振り向けば、男は居なかった。残されたのは絵と自身の影。
そしてかすかに聞こえる何かの音。 それは生き物の、生きる音のようで。]
赤ん坊の泣き声―?
[その日は、赤子の泣く声が、館内に響き渡っていたという。]
(106) 10347 2011/07/06(Wed) 02時半頃
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[その日のことは、直ぐに周囲に語られ、瞬く間に噂になった。錯覚という者、騎士の霊と言う者、いや画家の霊と言う者、盗賊のようなもの、などなど…しかし推測は何れも的を得ていそうではなく、誰も信じなかった。
一つ真実があるなら、絵の修復箇所は当時の画材を使っているとのことだけ。玄人はそれを「何らかの理由で絵の上に穴のような不自然なものをを描いていた、何らかの弾みでそれがはがれた。」と推測した。
その推測を機に以後その話は何らかの逸話として巷に根付いたかもしれないが、加熱した議論は沈静化し、以後暫くは小火の程度だっただろう。
館長は話の中で最後まで赤子の泣き声を確かに聞いたと言っていたが、肝心の内容に注視し耳を貸されず、噂の中かき消されていった。]**
(107) 10347 2011/07/06(Wed) 02時半頃
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― 赤の国・首都―
[首都の中でも端っこの位置。 中流家庭の一般的な家にて、一人読書に励んでいた。]
今日もいい天気だのう。
[仕事を退職し早1年。初めのうちは体が慣れず困ったが、1年も経てばこの平和な状況に慣れゆったりとしている。]
最近空気が乱れておるのう…**
(108) 10347 2011/07/06(Wed) 04時頃
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御者 バーナバスは、メモを貼った。
10347 2011/07/06(Wed) 04時頃
御者 バーナバスは、メモを貼った。
10347 2011/07/06(Wed) 04時半頃
『まってるから――…』
[ 鮮明に聴こえた あの時の言葉に ]
[遠い昔 とても大切な約束を交わした――
白昼夢の様な、記憶に無い微睡の夢。
大切とだけ理解できる、漠然とし過ぎた夢]
[ 廻って 廻って 待って 待って 待って 漸く ]
[ あぁ その言葉で 何となく解った
僕はずっと 彼の事を待ってたんだなって ]
お互い、腹は括れてるかな?
[笑いながら 意思を確かめる翠の視線も 嘗てあった様に]
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― 赤国首都・自宅の庭 ―
[ただ只管に働いた時代は過去の事。仕事は終わり、伴侶は先に旅立ち、子も成長し家を出ている。
残された老人は真昼間から小さな体を大きな椅子に乗せてビーフジャーキーを齧っている。ジャーキーをかめなくなる程、歯は脆くなっていない。]
いくつになってもジャーキーだけはやめられんわ。 酒はなくともジャーキーは要るんじゃ。 仕事をやめても死ぬまで食わせてもらうぞ。
[空に決意表明を投げ入れて。]
(179) 10347 2011/07/07(Thu) 01時半頃
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