185 恋愛ラボ―橘の咲く頃に―
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―翌朝/202―
[重い頭を振る。 防犯装置をつい睨みそうになって、そこから山梨の事がばれたらと思ってやめておいた。]
うー……うーうー。
[パスタを一緒に食べる事は出来なかった。 恋をするならアパートの外で、とアドバイスまで貰った。 部屋を出て行った彼に、何か出来る事はあるのか、どうしたら良いのか、答えは出ないまま。**]
(4) 2014/07/19(Sat) 00時半頃
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一時的とは言え、寂しいものですね
[みっちゃんさんと栗栖さん
どちらも仲良くしていただいた手前嬉しいやら寂しいやら]
あ、お礼とオムライス、忘れていました
[帰ってきたらお祝いに私のお料理でも
なんて一瞬頭をよぎったけれど、それじゃあお祝いにならないななんて、すぐ考えを改めた]
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[にゃー、と着信音が鳴く。 内容に目を見開いて、スウェットのまま飛び出した。]
病院って?! どうした?!
[メールのタイムラグがもどかしいから直接聞こうとドアを叩く。]
(9) 2014/07/19(Sat) 00時半頃
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“処理機”…
[所員としてここに派遣される前に、“上”からは
『なにかあったら、処理機がいる、安心しろ』
と伝えられたのと思い出す>>3:+43]
わかった。山梨くんのことは任せて。
…ただ、幸村さんのことは、僕の判断ではわからない。
対応もどうすればいいのか…
楓くんの意見を聞いてもいいかな?
[どちらも“上”には報告したくなかった。
“上”も僕らを監視しているらしく、
このことがばれる前に、早く火消しをしたかった。]
楓くん、もしよかったら、ラボの情報で
山梨くんが聞きたがっている範囲のものを
教えてもらってもいいかな。
僕は本当に何も知らないから。
それに、ラボのついて嘘の情報を教えて
騙しきれる相手じゃない。
…山梨くんも、そのバックもね、そんな気がするんだ。
[スピーカーで楓くんに連絡した]
…幸村さんの監視をやめよう。
それが彼の条件だったよ。
それと、いくらかの情報は独断で渡したよ。
もし、これが“上”に露見しても、僕が責任を取るよ。
[スピーカーをオンにして、呟いた。**]
リッキィさんの監視を止める、ですか
私は従うのみなので
心配なので、個人的に見守るのはあり、ですよね?
[責任云々、難しいことはよくわからないけれど
ただ応援したい、それだけで]
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[むっとした空気>>19が流れて来て、思わず顔をしかめる。]
ばか! こんなむわっとした所にいたら、熱中症なるのも無理ないっての!
[有無を言わさずクシャミの手首を掴んで自室まで引っ張る。 額に熱冷ましのシートを叩きつけて座椅子に座るよう指示した。]
飲みにくいと思うけど、我慢して飲みなよ。
[空のペットボトルを使ってミネラルウォーターと塩で生理食塩水を作る理系女子。 テーブルに置いて、自分も対面に座った。 「防犯装置」の向こうに映る自分はどんな印象を与えているのだろう。 告白の事実も知られているのなら、二人を手玉に取っているように見えるのかもしれない。**]
(60) 2014/07/19(Sat) 05時半頃
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……ばか。
[前髪の向こうの目を睨み付ける。]
死んじゃったらどうすんの。 メールがなくて、あのまま部屋で倒れてたらって思ったら……っ
[言葉を詰まらせて顔を背けた。]
タクシー呼ぶから。 それ飲んだら支度しておいで。 病院行くよ。
[鞄のチェックをする手が震えている。]
(62) 2014/07/19(Sat) 09時頃
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……ばか。
[クシャミが出て行った後、涙が呟きと共に零れた。 すぐに拭いて着替える事にする。……この様子も見られているなら嫌だなと思いつつ、急に隠れるのもおかしいので開き直って、いつものように白シャツに黒のクロップドパンツを合わせた。]
――お待たせ。 吐き気は?一応g、…エチケット袋ね。
[酷い単語を言い換える。女子は大変だ。 タクシーに乗って病院へ向かった。]
(64) 2014/07/19(Sat) 10時半頃
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ちょっ
[慌てて肩を支える。 自分より低いとはいえ、男性を支えるのはかなりきつくてぐらつくが、何とか踏ん張った。]
……なっちゃったもんはしょーがないっしょ。 わたし、男の人とこんなに密着したの初めてなんだからね、役得くらい思っときなさい。
[緊急事態とはいえ、赤い顔で唇を尖らせた。]
(69) 2014/07/19(Sat) 15時頃
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―病院―
入院にならなくて良かった。 木佐さんには一応連絡入れといたから。
[個室に戻り、点滴袋と顔を交互に見て、溜息ひとつ。]
病院の人に「お兄さんですか」って言われちゃったよ。 せめてお姉さんって言われたかったあはは。
(70) 2014/07/19(Sat) 15時頃
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レディーって。 痒いから止めて。
[腕を掻いて笑う。 ベッドサイドの椅子に腰かけた。]
……うん。
[膝を閉じる。]
(73) 2014/07/19(Sat) 15時半頃
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ふむ、あまり湯来島さんを残して先にそちらへ
という想定は私にあまりないのですが
今のところは、それくらいですかね
[聞こえてきた言葉には>>+19、そう呟いておこう]
何かがあったと言うわけではないですが
つい気になってしまう子ですよね
[研究という意味ではあまり口にしたくはないので
特に内容には触れずに
少し間を置いて次の言葉を聞けば]
楠本さんも含めて、ですね
[そう返しておいた]
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……それは、嫌いな理由なんじゃないの。
[苦笑する。]
似たような事は何度か言われた事があるよ。 いつも幸せだから、人の痛みなんてわからないんだろうって。
……何も言い返せないんだ。 だってその通りだから。
[窓の外を見る。 晴れているだけで幸せだと思う自分がいる。]
クシャミは、わたしがこのまま何も知らないままで――君の痛みを本質で理解しないまま生きて、それで本当にいいの?ムカつくんじゃない?
(76) 2014/07/19(Sat) 17時半頃
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――わかりたいって、思うわたしの方こそ傲慢なんだろうね。
(77) 2014/07/19(Sat) 18時頃
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痛みを持ってる人は、痛みをわかる人に惹かれるのかと思ってた。 わたしといて嬉しいっていう言葉は……すごく、嬉しい。
[噛み締めるように言う。 お前が能天気に笑顔を振りまいているのが癇に障るとは何度も言われたし、「幸せそうでいいね」と羨ましがられる事もよくあったけれど。]
同情するかどうかは確約出来ないな。 聞きたいのは単純に知りたいからだよ。
(80) 2014/07/19(Sat) 21時半頃
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……。
[点滴のパックが凹む程長い沈黙が流れた。]
……うん。 そっか。
[まず出たのはそんな一言。]
「それはつらかったね」って言うのは簡単だけど、それを辛さを知らないわたしが言うのは無神経だな。
(83) 2014/07/19(Sat) 22時半頃
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[小説や映画では、泣いてみせる女や撫でたり抱きしめたりする女が登場する場面だろう。 だが、そのどちらも選択せずに、クシャミの顔を見つめた。]
……何て言ったらいいかわかんないや。 何を言っても同情って言われそうだ。
(84) 2014/07/19(Sat) 22時半頃
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[胸に感情は渦巻いている。 それを上手く言葉にする事が出来ないまま、点滴は終りを迎えようとしていた。]
(86) 2014/07/19(Sat) 22時半頃
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……大きな話だったけど、引くとかはないな。
[ボタンが押された。 間もなく看護師が針を抜きに来るだろう。]
過去がどうあれ――軽んじてる訳じゃないから誤解しないで欲しいんだけど――どんな過去を持ってても、わたしは「今」のクシャミに会って、大事だなって思ったから。 聞いても、その気持ちは変わらないんだ。
お菓子を食べる姿が可愛くて、かっこつけようとする時にタイミングよくクシャミしちゃって情けない顔になってるのが可愛くて……ああ、こう言ったら「男に可愛いなんて言うな」って拗ねるんだよな、それも可愛いなって思う。
わたしはね、過去の君に対して言える言葉は持ってないけど、今の君に対してはたくさん言えるよ。「可愛い」って。
(87) 2014/07/19(Sat) 23時頃
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リッキィは、ノックの音に「はい」と答えて一歩下がった。
2014/07/19(Sat) 23時頃
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……ああ、上手く伝わってないな。
[それもそうか、と眉を下げる。 言いながら気づいたのだから、無理もない。 ただ、どう伝えれば伝わるのかもわからず、帰宅の許可が下りても足は動かずにいた。]
(90) 2014/07/19(Sat) 23時頃
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あの、 ……ぅんと、その。
(91) 2014/07/19(Sat) 23時頃
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……「愛しい」って、意味だったんだが。
(93) 2014/07/19(Sat) 23時頃
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リッキィは、クシャミの悲しそうな瞳を見て、申し訳なさそうに。
2014/07/19(Sat) 23時頃
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いや、違わないんだよ。 字面は違うけど、意味は違わないというか、「可愛い」の汎用性が高いのがいけないんだよ日本語のばか。
[凝視されると心拍数が上がって、余計な事まで喋ってしまう。]
上手く説明出来るかは自信がないけど。 わたしにはほら、恋の既往症がないから前例に照らし合わせる事が出来なくて。
(97) 2014/07/19(Sat) 23時半頃
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待った待った、そう急かさないでよ。 君こそ、感受性がないって言ったのに、恋愛感情って言い切れるのは何でだよもう。
[意味もなく、主を失ったベッドのシーツを撫で付ける。]
何から言おう……。 うーん、最後のひと押しはね、君が幸せなわたしと居てうれしいって、それがしあわせって言ってくれた事、なんだよ。 それを聞いて、ああ幸せだなって。 今まで見つけてきたどんな幸せより幸せだなって。
(98) 2014/07/20(Sun) 00時頃
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誰かの幸せになれるなんて、最高の幸せだなって。
(100) 2014/07/20(Sun) 00時頃
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うん、日本語は難しい、というか、気持ちを上手く表現する能力に乏しいわたしがいけないんだな、きっと。
[うんうん、と頷いて]
幸せだなって思って、改めて君への気持ちを言葉にしたら――「可愛い」ばっかりが出てきた訳だけど。 そこで、言いながら思い出したんだ。前にどこかで見た考えを。
『「かっこいい」って思う内は、かっこよくないところを見つけたら冷める。 でも、「かわいい」は、相手が何しても「かわいいいい」ってなるから手遅れ』
みたいなの。
[メガネのフレーム以上に赤くなっている気がする。]
(103) 2014/07/20(Sun) 00時頃
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