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ショコラ! 今日がお前の命日だ!
[ショクである自分の記憶にかかる指先など、無いというのに。*]
ヴェスパタイン、って名前だったんだ。あの人。
[一瞬混乱したけど、ブローリンは無事に"食事"ができたようだったし、
それなら"出ていった彼"が、この長くておシャレな名前の持ち主なんだろう。]
どんな方法でも構わない、ショクを捕獲して貰いたい。
確保できたら、望むものを用意する。
手紙に綴られていたことばはまるで、それこそ、ゲームみたいじゃないか。]
…………、は。
[僕は無意識のうちに赤色を指先だけで潰していた。
既に疲れ果てた紙の隅っこがくしゃりと縮こまる。]
あちらさんは、ここまでして"ショク"を捕まえたいんだ。
人参までぶら下げてさ。
[
……馬っ鹿みたい。
[僕はどちら側なのか。何ができるのか。
一晩悩んで、うまく噛み砕けなかった塊が、
ふざけた一文のおかげで、ようやくすっきり飲み込めた気がする。]
僕の望み。
["こちら側"に用意されたご褒美じゃないとしても、敢えて思った。
用意できるなら用意してみなよ。]
……たとえ半分しか"ショク"じゃないとしても、
"友達"と"仲間"を、無事に帰したい。
[父さん以外に見つけた、初めての赤い繋がりを、施設になんかくれてやるもんか。
――そのために何が出来るのか。
見えない何かを食べるちからも持たない僕に。]
[ずっと黙っていて、赤色の問いかけを聞いてなかったなかったわけじゃない。
ただ、友達がした返事が、少し前に僕を悩ませた不可解で不快な点を挙げていたから、
うん、って気分だけで頷きながら、やっぱり大人しく耳を傾けていただけだった。
同意するだけも何だし、一言だけ伝えておこうかな。]
僕に疑いをかけることで、君たちが逃げられるなら、
使ってくれても、構わないんだよ。
[僕が仲間にできるのは、きっとそれくらいしかない。]
―少女と居た頃―
[聞こえた聲
代わりに、強い怒気めいた気配だけが、漏れ出る。]
( ……誰を、誰の犠牲にするって?)
["聲"にもならない思考は、そのまま、心の奥底でちいさく鳴いた。*]
[長い、息を吐く。
――"食後"の恍惚は、そこにはない。]
……喉を通らないっていうけど、食べないと駄目だよ。
[掌のなかには、ひとつの"きおく"がある。
かつて、母が己にそうしてくれたように、"狩り"を終えた身は僅かばかりの怠さを抱えていた。
抜き出した"エサ"は、ただ、終わりの時を待っている。]
――僕は、昨日貰ったからね。
[疑いも何もかもを、引き受けよう。
その代わり、血を途絶えさせてもらっても困る。
たとえ異なる祖に連なる同胞だとしてもだ。
固辞しようが、出会い頭にぶち込む気概で、もう一度息を吐いた*]
『 僕自身がショクなのだから 』
.
[…… あ、 珍しい。怒ってる。
怒ってるのが、伝わってくる。
空気を震わせない音すら届いてないのに圧力だけで理解るんだから、僕らの会話ってなかなか高性能だよね。
……なんて、若干の現実逃避をしながら、黙りこくった。
だって、実際僕の半分は"ショク"だ。
僕が捕まれば、うまい具合に目眩ましになるかもしれない。
いずれ半端者だとわかったとしても、時間稼ぎくらいは出来るかも。
半分"ヒト"の部分を利用する手もある。
二人が餓えるくらいなら、僕の記憶のひとつやふたつ、あげたって構わないと思った。
……母さんが、父さんにそうしたように。]
[何を考えたところで、赤色にも音にも漏らさなきゃ意味がないんだけど。]
…………そんなに睨まないでよ。
[だから、口調だけでおどけて宥めてみた。
肩を竦めたのまでは伝わらないだろうけどね。
ブローリンは優しいから嫌がるかもしれないけど、もうひとりの彼は初対面だし、真面目に検討してくれないかなぁ……。
わかってよ。そうして、僕を君たちのためにうまく使ってほしいんだ。
――だけど、僕は結局、聞いて話すしかできない半端者。
【人】 掃除夫 ラルフ[ラルフ・ニューステッド。 (18) 2016/10/10(Mon) 16時頃 |
[誰の記憶がなくなるかなんて、先に知れるものなら僕の方が知っておきたいくらいだ。
知ってれば、少しは怪しまれるように考えて動けるかもしれないんだから。
ブローリンは怒ってたから、誰を食べるつもりかなんて多分僕には教えてくれない。
……ま、そりゃ、怒るか。
失敗したな。言わずにそれとなく動けばよかったんだ。
彼がどんなに僕のことを考えてくれているかなんて自覚できないままで、僕は二人を逃がす方法を考えている。なんて、ちぐはぐな。]
【人】 掃除夫 ラルフ[>>1:20 おじさんの姿は見えないけど、不思議な薔薇だけは広間にぽつんと残っている。 (20) 2016/10/10(Mon) 16時半頃 |
【人】 掃除夫 ラルフ[なんにもないなら、保存食や瓶を漁り回って、作れそうなものを作るつもり。 (22) 2016/10/10(Mon) 17時頃 |
【人】 掃除夫 ラルフ[手紙を置いた頃に>>21 背中側から気怠げな声が掛かった。] (23) 2016/10/10(Mon) 17時半頃 |
【人】 掃除夫 ラルフん、え!?いいの?ありがとね。 (25) 2016/10/10(Mon) 19時頃 |
【人】 掃除夫 ラルフ記憶がなくなったら、多分本人にはそれすら気づけないもんね。 (26) 2016/10/10(Mon) 19時頃 |
[不安げな声色。
女の子が不安がるのを見るのはあまり得意じゃない。
そもそも女性とお近づきになる機会なんて全然ないんだけどさ。
なんとなく、おぼろげにだけど、母さんを思い出すんだ。
はっきりとは浮かばないけど、こんな顔で僕を見ていた気がする。
こんな声で、父さんに問いかけていた気がする。
『あなた、この子は本当に私の子なの?』って。何度も確かめてた。
でも、弱った獲物は……彼が"食べる"にはちょうどいいかもしれない。
なんて、過ってしまうのも、半分の僕の中途半端な本能なんだろうか。]
[ラルフの声に孕む怒気に、目を伏せる。
姿は見えずともその声に感情が乗っていたものだから、
それは自身も感じていた憤りと似通っているように思えた。
手にした日記が、実際の重みよりも重く感じられる。]
……、ッ…は……
[鉄格子を嵌められた窓からは外は見えない。
なのに、見えない月の存在を訴えるように、喉が乾きを、空腹を訴える。
喉元を掻き毟りたくなるほどに飢えは感じていた。]
[救いのような望みを口にするラルフに、
馬鹿な真似を――、
[咄嗟、反応しそうになる声を押しとどめる。
その答えは、自身が持つべきものではない気がして、碧の気配を待った。
ただ、その時は、碧からの反応はなかった――。]
― **:** ―
[沈む吐息は、まるで彼の心を映し出すよう。
食べなければ生きてはいけない。
頭では理解できていても、すぐには反応することはできずに居た。
しかし、重ねられた声には、強く、滲む何かがあって。
……そうだね、分かってる。
分かっているよ。
[弱い頷きは、届いただろうか。
強く瞬きを一つ落とし、薄っすらと開いた瞳の中には、まだ微かに光が残る。
飢餓と同時に苛む想いはあれど、
生きるためには必要なことだと――。*]
【人】 掃除夫 ラルフよし。じゃ、スージーね。 (28) 2016/10/10(Mon) 20時頃 |
【人】 掃除夫 ラルフ[続く彼女の考え方は、僕にはとうてい思いつかないものだった。] (29) 2016/10/10(Mon) 20時頃 |
[談笑の合間に、頭のかたすみで思考をこね回す。
僕のこと、馬鹿、……って言うけどさ。
今の所どうやって脱出するのか手段がないでしょ?
濡れ衣を着せるったって、僕らはパッと見じゃ普通のヒトと何も変わらないんだ。何の衝動にも左右されない誰かに成り代わってもらうの、難しいと思うよ。
……昨日より人数が減ってるみたいに見える。
どこ行ったのか、いつまで続けるのかなんて知らないけど、
このまま減り続けたら……どうやっても逃げ切れないよ。
[みんな食べ尽くしたとして、残った僕らがショクだって告げてるようなものだ。結局捕まっちゃう。
それなら頃合いを見て、わけがわかってる僕がヒトを襲う振りをするなり何なりすればいい。
あちらさんも見つけたと思えば満足して他の全員を解放してくれるかもしれない。]
"ショク"っていう種族には、
ひっそり生き延びててほしいって思ってるんだ。僕は。
[僕が二人を庇うのだって、僕なりの理由がある。
友達を守りたいのは、それは一番で、勿論だ。初対面の彼の事も気掛かりなのは、単なるわがままと、ショク寄りの仲間意識のせいかな。]
僕の親……父さんの方が、"ショク"だったんだけどさ。
この街に居られなくなった時に、色々言い残してったんだよね。
本気かどうか知らないけど……
父さんがいつか迎えに来た時、胸を張れる僕でいたいから。
[異端の血はどうする事もできないけど、それなら利用できるだけ利用する。
"仲間"を守れる僕でありたい。それだけ。]
【人】 掃除夫 ラルフ……、そっか。 (38) 2016/10/10(Mon) 22時頃 |
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