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ヴェスパタイン! 今日がお前の命日だ!
[考えるべき事は更に深まり、考えねばならぬ事へと変わる。
“人狼”である己は一体何をするべきか。
『待っていて安穏得られる等在りはせんのが当たり前。
それを歎き哀しむ暇があるならば、何を信じ何を守るか、己が今すべきは何か考えるが先であろう。』
そう、偉そうに抜かした己の言葉が頭を廻る。
何を信じ何を守るか。]
生き辛い、世の中よ。
[そうだろうと声が届いて居るならば同種の男に呟いた。
何かを信じ何かを守るには、其れの掌は小さすぎた。]
[己が息子のような弟子、久しく見付けた獣の同胞、七坂町での“人”の生活、時代に霞む唐傘造り。
守る為にはどうにか紛れ、威かす者現れたなら威しの一つもせねば成るまい。
からころ下駄が鳴り響く、其れが向かうはどんな道。
曲がりくねった獣道。
決意の眸は黒檀の奥、朱い燭滾らせて。
深夜人の子ら寝静まる時、闇に紛れて狼が啼く。
銀の銃弾持つやも知れぬ、異国の男を傷付ける為。]
アォォ―――…… ン……
[遠吠えを七坂町の人々は聞いただろうか。
己が往くと知らせるを同胞は聞いただろうか。
黒銀の毛並み持つ耳と尻尾の生えた“人”の姿。
爪と牙は鋭く長く、けれども完全な獣ではない。
そんな姿を見たのなら、矢張り人々は畏れるのだろうか。
其れを“物ノ怪”だと謂って**]
【人】 飾り職 ミッシェル――回想:平家邸―― (3) 2011/01/05(Wed) 05時頃 |
【人】 飾り職 ミッシェル[俯き布団を握り締める。 (5) 2011/01/05(Wed) 05時頃 |
【人】 飾り職 ミッシェル[くらり、と身体が揺れる。 (6) 2011/01/05(Wed) 05時頃 |
【人】 飾り職 ミッシェル[――――生きていることが、苦しい。 (7) 2011/01/05(Wed) 05時頃 |
【人】 飾り職 ミッシェル[壁を伝い、玄関まで歩く。 (8) 2011/01/05(Wed) 05時頃 |
【人】 飾り職 ミッシェル――1月3日 七坂町駅―― (18) 2011/01/05(Wed) 09時半頃 |
守備は如何でしたかしらん?
[夜明け頃、お大人が狩りをしていた頃かどうか。
毛玉のような狼が教会で寝そべっている。
人狼の姿よか獣のカタチの方が表面積が小さくてぬくぬく。
同族がやるというなら邪魔はしない。
くわぁ、とあくび一つ]
気分佳いものではあるまいよ。
[丁度狩りを終えた頃“狼の姿をした人”は一つ愚痴を毀した。
風に乗り、その声は同族へ届く。]
少しは人も懲りてくれようかな。
【人】 飾り職 ミッシェル――七坂町駅―― (27) 2011/01/05(Wed) 22時半頃 |
【人】 飾り職 ミッシェル[ヨーランダが駅を訪れたのは、何時だったのか。 (28) 2011/01/05(Wed) 22時半頃 |
【人】 飾り職 ミッシェル…お気持ちだけ、で…十分で、す…… (30) 2011/01/05(Wed) 23時頃 |
[ひょこり。髪に隠れた耳が揺れる。
音が聞こえるのはこないだの弟子のものじゃない]
…お大人、いらっしゃるのかしらん?
【人】 飾り職 ミッシェル……あ、貴方は………けほっ… (35) 2011/01/05(Wed) 23時半頃 |
済まんな店に来ていたようで、手紙も読んだ。
あんな高価な…弟子が驚いて居った。
[応える声は同胞の、と謂うよりは傘屋のそれであったろう。]
気に入るものを拵えて、必ず一本渡してやろう。
好みは朱か、柄はなんぞと詳しく話も聞かねばならん。
此方は店に。
[心なしか、声は幽か喜ばしげに。]
高価なのかしらん?
[そういえば、獣の自分を見た人が、勝手に財布を落として逃げるから。それを集めて金とやらにかえただけ。
だから価値なぞ欠片も知らぬ]
そンでもそれで傘見つくろって頂けるなら嬉しい限り。
じゃ、今からお店に行きましょ。
なぁんか…変な娘が熱出してるらしいのよねン。
助ける気にはどうにもならんのですけどもサ。
余りおいそれと他人に渡すものではないぞ?
[軽く驚いた表情をして見せたが、声に乗って届いたかどうか。]
熱?
これほど寒くある中で、熱も在るのに歩き回るとは。
叱る人は居らぬのかな。
[頭に浮かんだのは翠の事であったが、まさか同一人物とは念ってもいまい。
彼女は其れに、ごめんなさいと謂ったのだから。]
待っている。
[傘を造る手は止める事なく。]
さぁてネ。
人の好意を無駄にするようなンは知らんですヨ。
人の好意、厚意。
難しいものさ。
[翠に対するそれのようで居て、他に対するもののようで在る。
売れず時代に霞んだ傘達。
長い間紛れてそれでも倖せに暮らしたこの七坂町。
好意を、厚意を持ってしても。
感慨深くなるのは歳の為すか。
小さく、小さく呟いた。]
あ〜…やっぱり、アンタさんでしたかいナ。
[いつぞやにすれ違った御人。
どこか感慨深げに]
いいお顔をしていらっしゃる。
よい暮らしをされていたのかしらん?
[良い暮らし。金だけがよいくらしではなく。
満ち足りたものが垣間見えるその様子]
この生活に、生きがいはありますかしらん?
…………。
[暫く声は出せなかった。
其れの胸を占めるのは、締めるのは何と謂う念いであろう。
長く生きて来はしたが、相応しい言の葉を知らぬ。
自然に向けるは笑みそのもの。]
矢張り、あの時の。
佳い暮らしか、どうだろう。
人に紛れ人を喰い、裕福ではない暮らしなれど… …此れのお陰で。
[爛漫とした弟子の頭を一つわしりと撫で回し、問いには頷き応えるだろう。]
生き甲斐さ。
傘も、此れも……御前もきっと。
[群れるは疎ましがられようか。]
[じぃ、とその顔を見やる。
なんと人臭い表情をするのだろう。
長く溶け込んでいればこうも変わるのかと思えば、
群れぬ己には新鮮で]
そのお弟子さんも、お大人が人狼としったら
どう変わるンでしょうネ。
[見上げる顔を見て返すは少し困った表情。
弟子が其れを知ったなら。
幾度考え、幾度悩み、幾度打ち明けてしまおうかと揺らいだ事は数知れず。
けれども其れは謂わずに在った。
秘め事が心に重くとも。]
さあ、どうだろうか。
蔑まれるかな、憎まれるかな。
すぐに突き出されてしまうやも知れん、その場で殺されてしまうやも知れん。
泣くだろうか、怒るだろうか。
どんな反応でも構わんさ。
彼奴が“人らしく”あってくれれば。
[緩やかな声で呟いて。]
それが、親ってぇもんさ。
いやはや。
お大人は今の生活を壊しちゃいけませんヨ。
一人、人狼てのが捕まったら、流石にもうおっかけられはしないでしょう。
あぁ心配ご無用。適当に騒ぎが収まったら逃げますからネ。
[かんらかんら。笑い声だけが風に乗る]
【人】 飾り職 ミッシェル[子梨の挑発にも似た軽口は翠には届いていなかった。 (62) 2011/01/06(Thu) 01時半頃 |
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