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―深夜―
………………。
[自室のベッドの上に蹲る。
未だ少年は眠らないままでいる。
そこから凍える冬の景色を見上げるのは、
仄かに赤みがかった丸い瞳。
空は、何処にいても、繋がっていると―――……]
……父さん。
[白い小さな指先が包み込むのは、手紙の束。
父との唯一のつながりを示すもの]
[少年からの手紙は、いつも沢山。
封筒に収まりきらないほどの、長い文章。
父からの手紙は、いつも簡素。
封筒に1枚だけの便箋に綴られた、短い文章。
それでも良かった。
父との繋がりが残されているだけで、救われた。
まだ、頑張れば、彼の元に戻れるのだと。
――――年を経るに連れて、
次第に手紙の届く頻度が減っても。それでも、……]
[かたり。
耳に届く物音は、
結社員の男が集会所に戻ってきた証だろう]
…………。
[彼に人狼だと言われれば――、
自分もヤニクも、きっと殺されてしまう。
だから]
[少年はそっと机の上に手紙を置きなおすと、立ち上がる]
―サイモンの部屋―
[夜の闇に紛れて廊下を歩く姿に、音は無く。
するりと目的の部屋に入り込む。
彼は、気づいただろうか。
それとも、気づかなかっただろうか]
サイモンさん。
[少年は結社員の男を見つめながら、薄っすらと微笑んだ]
さようなら。
[おそらく、
サイモンが少年の別れの言葉を聞くことは無かった。
月の出ている白雪の上でならば毛並みが栄えるような、
一匹の小さな銀狼。
それは最初に微笑んだのとほぼ同時に、
彼の胸を一切の躊躇無く貫いた。
舞い散る赤色は、色さえ違えば、雪のよう]
…さようなら。
[既に事切れた男へと、
《人狼》は微笑みながら別れの言葉を]
[その場にヤニクはいただろうか。
彼は少年の姿を見て、何か言っただろうか。
いずれにせよ、
赤く染まった掌を見つめる小さな人狼の瞳の中に、
何らかの感情の色を見つけることは難しかっただろう。
其処にあるのは、無。
プラスもマイナスも無い、空洞のような感情]
…………。
[ヤニクがいたならば彼の方へと顔を向けて、
ことりと首を傾ける。
暫くしてから、ゼロの上に微かに笑みを上乗せして]
いただきましょうか。
[酷く、あっさりとした言葉。
少年はその日初めて、《人間》を口にした**]
【人】 小僧 カルヴィン―朝・自室→廊下― (16) 2010/02/21(Sun) 09時頃 |
[まさか、新しい占い師の人が来たなんてことは……]
【人】 小僧 カルヴィン―廊下・サイモンの部屋前― (17) 2010/02/21(Sun) 09時頃 |
…あぁ。
―――――…僕が、殺した。
【人】 小僧 カルヴィン[次第にがたがたと震えだす。 (18) 2010/02/21(Sun) 09時頃 |
[夜は全然平気だったのに、虚弱な体は自らが殺めた死体に、
まるで拒絶反応を起こすようだった。
いや、昨日あまり眠らなかった所為もあるのだろう。
きっと、そうに違いない。
そう自分に言い聞かせつつ、静かに目を閉じる。
―――…もう少しだけ、眠ろう]
[目覚めれば、きっと。
*逃げられない現実が、横たわっているのだから*]
−深夜・サイモンの部屋−
[口元にはいつもの笑みがあった。
だが眼光は、まるでサイモンを突き刺すような鋭さだった。
彼と目が合う。彼が心に悪魔を呼び込んだことを知る。それで十分だった。
自らは姿すら変えようとしなかった。
恐怖で身体を動かせないでいるサイモンに、カルヴィンが襲いかかる。
その一部始終を観ながら何も言わない。ただ、食事を始めた彼の毛並みを一度だけ撫でてやる。それで十分だと思った。そして静かに部屋へと戻った。]
…カルヴィン。
お前は、友人を食う事が出来そうか?
[素っ気ない。それだけに深刻な思いを隠した問いかけを、囁いた。
敢えて昨夜の事に触れない。そんな暇はない。そう言いたげだった。]
―――友達を、食べる…?
[ぼんやりとした意識の中、
耳に届いてくるのは同属の囁き]
僕は……。
[ぎゅっと自分の手を握り締めた]
………、僕は人狼ですから。
そのときは俺が殺してやる。
サイラス…。随分と効率の良い占いをしてくれたものだ。
厄介だな。
[忌々しげな響き。]
結局は…
ここに居る奴等全員を喰うか…殺す以外にないのかもしれない。
だが結社員も居る。あまり派手な動きは出来ないが…。
[カルヴィンの応えに、自身の困惑の一部を独語するように語った。]
痛い…。
……………。
[此処にいる者を全員食べるか。…殺すか。
そうでもしないと、生き延びれないのか。
そうすることで、生き延びれるのか。
視線は一度ぐるりと、広間全体を見渡す。
ずっと一緒に暮らしてきた、村の人たちだった。
あぁ。なのに、どうして―――]
…ヤニクさんは、そうする心算、なんですよね。
[生きて、ここから、出ると]
【人】 小僧 カルヴィン――――…霊が、見える、人…? (75) 2010/02/21(Sun) 20時半頃 |
――――…まぁ、《人狼》なら。
人狼であるというだけで、
きっと、近づきたくない対象なんでしょうね…。
[淡々とした呟きに、微かに滲むのは寂しさか]
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