22 共犯者
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[鍋と皿を持って広場に駆け戻る。 途中で誰かとすれ違って、ご馳走はいらないのかしらと訝しむのも一瞬。]
小母さんっ、シチューを少ぅしこれに入れて頂戴っ!
[せびりながら、少し離れたところで鳥を焼いているヘクターにも視線を投げて。]
(5) 2010/07/28(Wed) 23時頃
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ヒ…ヒヒッ。ハハハッ。
なんだろうな。今夜は…ひどく血が騒ぐ…。
…最近どうも腹が減るんだよな。
月のせいなのかねえ。
[そう呟くと一人の部屋で窓を開け、空を見上げた。]
今日はまだ月は満ちていない。
半分の、不完全な月だ。
[ 星の瞬く空を見上げる。
そこには上弦の、既に傾いて地に向かう月。]
しかし、人間側の祭の全容は随分変わってしまったんだな。
やりにくい。
[ 舌打ちに似た囁き。それは音声を伴わないが、確かにニュアンスを伝えていた。]
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/07/28(Wed) 23時半頃
生贄がきちんと用意されていない。
まあこれは今に始まったことではないが……。
[祭の準備を間近で見ていたヘクターは、既知の事であった。]
……。
そろそろ警告すべきかね。
[しばらく無言で何か考え込んでいたが、ぼそりと呟く。]
やれやれ…文明や科学様の力ってかァ?
ケッ。おめでたいね。
[皮肉めいた嘲笑を共に広場を上から睨みつける。]
[ くつくつと愉悦に満ちた嗤い声が聞こえる。
その艶めいた響き。]
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ねえねえ、焼いた鶏、少ぅしもらっていいかい?
[若者と話をしていたヘクターに声をかける。 大事に抱えたシチューの入った鍋のふたを裏返して、その上に皿を乗せていて、いただく気満々である。]
(37) 2010/07/29(Thu) 00時頃
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わ、こんなにくれるんだ。あんがと。
[気前よく肉を切り分けてくれた大男に礼を述べると、ふと何か思い出したように]
あ……。
ヘクター?ブルーノ様って、このお祭の時は、いつもどんな感じだったの?
[自分が祭りに行くと言った時の、ブルーノの表情が妙に思えて。あまり関わらせたくないような風に見えていた。]
(47) 2010/07/29(Thu) 00時半頃
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――ガキはたっぷり食って、大きくなってもらわねえとなァ。
くくっ。
[「捕食者」の眼で立ち去るトニーの後ろ姿を追っていた。]
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そうなのかあ。……じゃ、今年は具合が良くなくて来られなかったのは残念なんだ、きっと。
[であるにしては、ブルーノの様子が変だったような気もするが、如何せん感じている違和を自分の中でも分かり易く整理する事が出来ずにいる。]
ひえっ、何だよそんな変な事してー。
そんなお酒臭いお化けなんかいないよーだ。
[お化けの真似をするヘクターに一瞬びっくりしたものの、減らず口を返した。]
(56) 2010/07/29(Thu) 00時半頃
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んー、あんまり遅くならないうちに帰ろうかな。ブルーノ様もお腹空いてると思うし。
[賄いをしていた大人たちに、おすそ分けの礼を順繰りに言っていきながら、広場を後にする。]
もうすぐ満月だよなあ。
[今宵の半月は未だ西の空に浮かんでいた。**]
(66) 2010/07/29(Thu) 01時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/07/29(Thu) 01時半頃
あーあ…いいねえ……。
[くくく、と同じように哂う声。この心地好い感覚の共有は本能的なモノだろう。]**
―祭前夜の夜―
[ 駆けて行くイアンの背に、叩きつけるように声無き哄笑が上がり、真黒の森に響き渡る。
それを聞く者は、驚きに打たれ羽ばたく夜の鳥と――
――もうひとりだけ。]
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─ 翌日早朝・教会 ─ 今日はお祭りの本番かぁ。何があるかしんないけど、面白い事があるといいなあ。
[人気は他になく、静まり返った礼拝堂の空間に、一人ごちる声と自分の背丈より端が上にきている箒が床を掃く音だけが響く。 礼拝堂の入り口には鍵をかけてあるから、誰も入ってはこないのだ。]
ニールが言ってたのが本当なら、今日はご馳走は多分出ないんだよなあ。また何か手伝いに行った方がいいのかな?
……でも、ブルーノ様、良いって言ってくれるかなあ。
[思い返すのは、昨夜の夕食の折のブルーノとの会話。]
─ →回想:前夜 ─
(118) 2010/07/29(Thu) 16時半頃
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─ 回想:前夜 ─ ブルーノ様、今年のお祭りには、特別な服を着て出たりしなくて良いの? ……この頃は、ブルーノ様具合が悪いから、無理はしないでほしいけど。
[ブルーノと二人、頂きものの晩餐を取りながら、そう尋ねてみた。 ヘクターの言っていた通りならば、老いた聖職者は重要な役割を果たさなくてはならないのではないのか。]
(120) 2010/07/29(Thu) 16時半頃
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─ 回想・前夜 ─
「行かねばならんし、行くべきなんだがな。困ったものだ。
──このご馳走で元気になりたいもんだの。」
[老人は、勝れない体調が恨めしげな口振りで嘆くと、心配げに見つめられているのに気づいてか、殊更に軽い口調で付け加え、ヘクター謹製の焼いた鶏を一口口にした。]
うん、旨いもの食べて元気になってね、ブルーノ様。
[美味な肉を口にして、相好を崩すブルーノに笑顔で相槌を打った。 その後、自分の見聞きした村の様子をあれこれと話す。記者の取材の件を持ち出すと、軽く驚いた*ようだった。*]
─ 回想・了 ─
(124) 2010/07/29(Thu) 17時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/07/29(Thu) 17時半頃
[ 閉められた扉の前に、冷ややかな瞳の獣がひとり。]
―祭前夜の夜 / 襲撃現場―
[イアンが立ち去るまで、木陰でじっと気配を殺しながら辺りの様子を見張る。
やがてイアンが完全に見えなくなるのを確認すると、楽しそうに動かなくなったソフィアへ近づく。]
…へぇ、ソフィアにしたのか…。
こりゃ意外だな。
アンタなら別の獲物を狙うかと思ってたぜ。
[黒衣を纏った姿で現れると同胞に話しかける。]
―祭前夜の夜 / 襲撃現場―
[ 目を細め、現れた同胞を見遣る。]
別に、誰でもさしたる違いはないだろう。
[ 気怠るげな声音。
顔に垂れ掛かった長い髪を、首を振り、面倒臭そうに振り払った。]
腹が減ると言っていたな。
喰いかけで良ければ喰うがいい。
まだ肉は残っている。
[ 足元に屈み込み、草叢からソフィアの首を取り上げる。
愛らしかった美貌は恐怖と苦痛に引き歪んで見る影もない。
彼はその頬に飛び散った血をぞろりと舐め上げた。]
[ソフィアの側に膝まづくと、スカートに溜まった彼女のまだ温かい血液を両手ですくい上げ、ゆっくりと祝詞を上げる。言語こそ聞き慣れないものだったが、意味は神像への祈りと同一であった。]
『――どうか、常に我らと共にあれ』
敬愛と畏怖……我らと共に…。
[そして両手に満たされた乙女の血を一気に飲み干す。]
[ 同胞の挙動を何の感情も窺えない眼で見下ろしている。]
「狼」は序列を重んじる。アンタが上、俺は下だ。
それくらいわかってらあ。
ソフィアを選ぶのも、アンタが先に喰らうのも、当然の事だ。
[血を飲み終えると、しゃがんだままそう答える。
そして、一瞬歓喜で身を震わせたと思うとソフィアに喰らい付く。]
そうだ、そろそろアンタの真名を教えてくれよ。
そんで…俺にもアンタから真名をつけて…くれねえか?
仕事があれば言いつけな。俺はアンタに従うぜ。
[口元を拭ってそう言った。]
真名……ね。
[ その呟きに冷笑と――一抹の寂寞が篭っているようにも感じられる。]
前にも言ったが好きに呼べばいい。
お前も気に入った名があればそれを名乗れ。
俺には命名の権利を行使する気はない。
[ 鋭利な刃物の如き笑み、ソフィアの首を片手に掲げたまま、若い同胞を眺めやる。]
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