94 眠る村
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ありがとぉ、…ハナ。
ううん、お母さん、かなァ。
[くつくつと嗤いながら]
[呪われなければこの青い炎で焼かれない]
[エイトは新しくひとつ学んでいく]
家族、か
最高だねェ…
シメオンには少しだけ早く眠ってもらって
余計な事を言わないでもらいたいよねェ。
[ふふふ、と嗤いながら]
[彼と親しいフィルはどういった声を上げるのだろうと想像する]
――どうしたの?
怖い声だして。
[言いながら、鎮める手立てを自分なりに考えるけれど]
お裾分け、できちゃったね。
[そんな言葉しかでなかった。
まいったなァ……反省はすれど、軽い。]
なに、本物様にみられてンのォ?
[冷静さをやや欠けた聲]
言わなかったな、ゼロ。この事を。
[けれど]
――― ふふ、
[次に嗤って]
そうだねェ。
[お裾分け、には柔らかい口調に戻る]
[本物を本物だと思わせなければいい]
[それだけだと、冷静なエイトにまた戻る]
えーと、なりゆきで。
[恋人に言い訳する浮気男のような言葉を吐きながら、
笑い声が聴こえたことに くす、と笑い]
いざとなったらエイトが何とかしてくれるかなって。
目の前に美味しそうな餌が転がってるとさ、
我慢出来ないんだよね。
[食べたい時に食べる――過日話した言葉の通り。
エイトが何とかしてくれるという甘えは信頼の証。]
まぁったく…ゼロは、手がかかる。
[そういう口調は責める色を滲ませない]
…けど、
ボクはそこの"本物様"を 赦さないよ。
[食欲とは違う、殺意を確かに向ける]
――だめ。
今日は、シメオンだよ。
アレは冷静で頭のいい子だし、何より信用されてる。
ハナが人間とわかれば一気に敵が増えるだろうね。
[――もっとも、赦さない、ということが
今日の餌のことではないかもしれないけれど。]
…解ってるさ。
ったく、1日1人なんて 面倒なことしてくれる。
[シメオンを喰らう事に反対はしない]
[フィルと一緒に戻った彼]
[明日の朝が、愉しみだと思えば嗤えてくる]
次さ、次の話だよォ。
まぁ、呪えれば いいけどねェ。
さて、と
[眠ったふりを演じきれば、力が満ちていくを感じる]
――― 狩りの時間が、近い。
何があってもみんな 眠ってしまえ。**
あハ――… コワレタァ
[愉悦を含む声。]
とどめをさしたのは、ブローリン だよ。
あとは、夢の続きを見せてあげようね。
それでコイツはおしまい。
[けらけら嗤えば、満ちてゆく力。
――今日も悪夢は*宿主を襲う*]
そぉみたいだねェ。
[ ゼロの言葉に、くっくっ、と喉を鳴らす音]
かわいそぉな、クラリス…
なんておいしい子なんだろうねェ
[おしまい、と簡単に言うゼロの言葉にまた嗤って]
[エイトはまだ裡で、宿主と静かな戦いをしたまま]
ふふ、
[霧が――― 村を支配する]
眠れよい子よ 庭や牧場に
鳥も羊も みんな眠れば
月は窓から 銀の光を そそぐこの夜
眠れよい子よ 眠れや
――― ねむれ
[宿の一室、フィルと先に眠ったシメオンがそこにいて]
この宿に固まってくれたおかげでェ
苦労せずに狩りができちゃうって
――― 気付かないなんて、ばかだねぇ
[女の身体をしたままエイトは冷ややかな言葉を落とし]
[それから、迷うことなくシメオンの腹部へ喰らいつく]
[顔はシメオンだと解るよう残して]
[はらわたを喰らえば、紅い唇をにたりと歪めて]
わかい男の子、ってェのも
けっこういけるもんだねェ
[それから血の匂いもすべて拭い、元通りの女の姿]
["人狼"と思った演技をし続ける相手――恋人の元へ戻る]
[寝具に横たわり手を繋ぎ直す]
[毎晩、繰り返す]
[重なる加護の力]
[エイトはお伽噺など知らない]
――きっと望めば何だって手に入ったろうに。
[美しい容貌、白い肌、柔らかな声……とても可憐で
――――――――秘められし魔力は、魔女のごとく。]
臆病すぎて、何一つ手に入らないなんて、ね。
[御伽噺は知らない。
心を壊された娘に、なににも手を伸ばさなかった娘に、
そんな結末は残されない。
昨夜の悪夢。
手をつなぎあい眠る、固い絆を弄ぶように
その顔も、つないだ手も、残したままにむさぼる――己。
眠ることを赦さずに、意識を持たせたまま味わった肉の味。]
………――遊びはおしまい。
[堪能しつくし、満足げにつぶやき考えるのは*この後のこと*]
そういう子ほど、…案外、欲深いからねェ
[くつくつと含み笑いを伝えながら]
[ゼロがようやく代わるのかと解る]
ふふ、
[エイトは忠実に偽りの宿主を演じる]
[だからこそ、きっとまだ気付かない]
[気付いたとしたら、きっと]
[それは宿主の最悪の結末となるだけのこと]
…煩いよ、ローズ。
いい聲で啼いてくれないなら
その口、塞いじゃうよォ。
[裡で叫ぶ宿主へ冷たい言葉を落とす]
[あくまでもこちらが上だという態度]
おや、
[店に戻るクラリスの姿][その歩調を見て瞬く瞳]
逃げて続けてたら、分が悪いからね。
[こぼし、ゆっくり歩く歩調変わらず。]
―――――僕だよ。
ふふ、
[ゼロだと解れば、柔らかな視線を送りながら]
["おしまい"といったゼロの言葉が思い浮かぶ]
おかえりぃ。
フィルを利用できるかと思ったけどォ
なぁんか彼も、こわれちゃったみたいだよ。
[壊れた人には興味を失せたよう]
フィリップ、壊れたんだ?
それほど、大事だったんだね。
[シメオンという存在そのものが、彼にとって光だったと――
そんなことも知らず、軽く軽く、奪い続ける命。]
使えなくても、じゃまさえしなきゃまぁいいよ――……。
手持ちの"駒"に期待だね。
[ブローリンは、敵。
ケヴィンとティモシーは果たして。]
シメオンの死体から離れたくなさそうだったからねェ
なんだったら、見て来たらァ?
[扉の前で佇むゼロへそう伝えて]
じゃまかァ。
あーいった人間が、何仕出かすかが
一番読めないからァ… ね。
危なっかしいっちゃあ、危なっかしいよねェ。
[幼馴染の、従兄弟はこれから一体どうするのだろうと]
ふふ、
[状況は、こちら側が有利]
[そういう風に動いてきたのだから]
[所詮 加護 なんて]
[人の心次第で、どうにでも操れる]
―― 残念だったねェ、ご先祖様ァ。
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