118 津 村
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[一人帰り道。
冷え込んできた夕方の空気に小さく、身を震わせる]
……今日は早く寝なきゃ。
[ぽつり、とそう呟いた]
[ゆっくりと目を開く。
ぼんやりとした頭。
微かに残る目覚ましを止めてしまった記憶]
[肩を抱いて大きな体を大きく震わせる。
今日はちゃんとジャージを着て寝ていた。
それなのに、この寒気は]
[布団から出る。
体温計を咥える。
布団に戻る。]
[しばしの間、だけど少し不安になるような、そんな時間が過ぎれば体温計は電子音を発する。
体温計に表示された文字は。
終は、それを目に入れることなく布団の上へと放り投げる]
[見てしまえば、それで全てが終わってしまう、そんな気がした]
─ 午後:一階女子トイレ ─
[昼食時の静かなトイレに激しい咳の音が響く。
肺へと送り込まれた空気は、すぐに乾いた音とともに吐き出される。
合間に挟まれるのは、金属音。
トイレットペーパーを巻き取るカラカラとした音。
体内からこぼれ出た物が汚していく。
吐息も、熱も、ウイルスも、痰も、切れた喉の血も]
[全部全部、出て行ってしまえば良いのに。
終はそう思った]
─ 午後:特別教室A ─
[学祭準備室となっている特別教室Aの扉を開く]
良かった、まだ誰も来てない……。
[カーテンが締め切られ、薄暗い教室の中へ入っていく。
明かりをつけることもせず、教室の一番奥の席へ。
少しは休めそうだ。終は小さく息を吐く。
息とともに咳が漏れ、慌てて口を抑える。
ここでもあまり咳はしたくない]
[米の詰まった弁当箱を箸でつつく。
それを胃の中に押し込もうという気はさらさら起きない。
それでもすこしだけでも食べておかねば、薬をのむために。
箸の先に米の塊を乗せ口へと運ぶ]
ん……味しない……。
[なんとか胃の中に収めた終だったが、これ以上は無理と判断する。
これ以上入れると逆流してしまうおそれがある。
弁当箱はしまい、今度はポットとピルケースを鞄から取り出す。
三錠、薬を口に含んだならお茶で流し込む。
緑茶に混じったはちみつ成分が染みつつも喉を癒してくれたような気がした]
[飲んだからといって、薬の効果はすぐには出ない。
終は誰かが教室へと侵入してくるまで、机に突っ伏した]
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―2-C:午前―
あれ、こうちゃん休み? …え、風邪なの? うはぁ、校祭までは治るといいねぇー。
[朝登校してすぐ。千彰は大体ギリギリに登校するため、大体の人間が揃った教室に入ってくる。芸人の席に誰も座っていないのを見て、思うのと同時に口から言葉が出ると、情報が早い女子が風邪で休みらしいと教えてくれた。]
って、お前もかよヨッシー……?本当に風邪か?>>13 インフルエンザじゃあないだろうなぁ…………あ〜あ、可哀想に。 風邪引いてメイド服が見られないなんて……クケケ!
[芸人は心配だったが、中吉となると話は別だ。勿論心配してないわけではないが、格好のネタとして茶化してやらねばと思う。と、中吉が置いていったノート。一昨日会った終のものであるらしい。]
あー、……じゃあ俺がとりあえず預かっとくわ。渡せたら渡しておくし、ムリっぽかったらゴロちゃんからの妹経由で返しとく。 ゆっくり寝てこい。
[保健室に向かう相棒の背中に向かって、手をひらひら。]
(53) 2013/04/08(Mon) 20時半頃
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―2-C:午後―
[昼食の時間、中吉がいないので、適当に誰かと食べようと席を立とうとする。するとあかりに声を掛けられたので、すとんと席に座った。>>50]
おう、なに?あー、よかったらメシ食う?食い終わったん? もし食うならそこ座んなよー。俺ここで食うから。 ……で、なんだっけ。
[弁当の包みを自分の席に置いて控えめに開く。あかりが何か、弁当でもノートでも開くならスペースは空いているだろう。千彰の弁当はいつもカラフルで、女子の弁当のようだ。]
って、メイド服?着る気になった?
[にっと笑う。茶化そうとするが、たぶん睨まれたろうし、まじめに答える。]
(54) 2013/04/08(Mon) 20時半頃
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その「いいもの?」の意味をよく掴めてないで話すけど、 学祭の出し物としては「オイシイ」よね!とりあえず人集まるし。 女子が着たらカワイイし、男子が着たら面白いし…… そもそも俺はゴロちゃんのメイド服が見たかっただけでね!それもそんなに本気じゃなかったっていうか、まぁ本気だったけど8割は冗談だったわけでね。だって否定されると思うじゃん!だろ!お前もびっくりしてたろ、ゴロちゃんが「構わん」(声マネ)とか言った時はさー…… まぁ、でもメインが激辛だから、それを食わないぐらいのがいいかもしんないね。もしくはアミダくじでも引いて、誰が何着るかやるか……
[整った弁当へ雑に箸を突き刺しては口に運びながらぺらぺらと話す。]
学祭とかじゃなくて、俺がスキかていう意味だったらぁ、ど〜かな〜。俺の好みじゃあないかなー。ネタツールだね完璧に。 だから実際中吉の性癖にはビックリしたよなー。俺も知らなかったもん。あ、あいつ大丈夫なんかな?もう帰ってっかな。あとで見舞い行こうかあ。
[聞かれてない自分の好みまで快く答え、最後には話題が変わった。]
(55) 2013/04/08(Mon) 20時半頃
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あー、そうだ、アカリン、何作るか決まった?
そろそろ作るもの決めないとな、材料発注すっから。 試作とかないの?俺味見するよ。辛いのスキだし実は。
なんだっけ、シュークリーム、クッキー、どらやき…… あとパフェ。 あ、ちなみに飲み物は普通のだよな?そこまで鬼じゃないもんな。
[口火を切ったようにぱらぱらと話しだす。弁当はいつの間にか食べ終わっている。]
(56) 2013/04/08(Mon) 21時頃
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[光が落ちる]
[視界が黒に染まる。
いや、光はあるはずだ。
雑多な物に埋もれほとんど露出されていない床、その上でスマートフォンは光を発し続けている。
しかし、その光を終の瞳が捉えることはない。
その体が傾ぐ]
[一瞬の浮遊感。
力が抜けていく。
そして、意識も]
んっ……。
[節々の軋むような痛みを感じながら、終は目を覚ます。
どのくらいたったのだろうか、スカートのポケットを探る]
あ……落としたんだっけ……。
[闇の中で、床に手を這わせる]
むにゅ……?
[何か柔らかい物に触れたが、それに構っている余裕はない。
次に触れたのは硬いもの。
外側を指先でなぞると、それは馴染み深い形のものだった]
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