人狼議事


217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】

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『――終いだ。』


『なにもかも、終いだ。』


[粉々になった眼鏡の欠片。
 あれは鏡だ。

 映して、反じて、封するもの。

 黒亥は消える。意識が途切れていく。
 形は崩れ、意識は溶ける。]


[否、還るだけ。


 元の闇に還るだけ。

 何も変わらぬ、何も求めぬ、何も 何もない、暗闇に。



 かえるだけのこと。]


[夏の陽も、

 赤金の視も、


 白金の言も。]


[届かぬ場所に、


   *かえるだけ。*]


[嗚呼、口惜しい、口惜しい。

ようやっと器を手に入れたのに。
ようやっと報復が叶うと思うたのに。

また、暗闇の中で眠るのか……――。]

『辰星……――』

[ようやっと、同輩の名を思い出せたというに。
また呼べぬ、呼ばれぬようになるのか。]


[嗚呼、嗚呼、忌々しい。
ただの眠りのみならず、今度は呪詛も掛かったか
嗚呼、前より忌まわしい物が増えておる。]

『……だが、汝が犯した罪は変わらぬ』

[深い深い眠りにつく直前。悔し紛れに返す呪詛。]

『罪を償え 南方螢惑……!!』

[忌まわしき名を持つ巳の男。壺を割りし、負の者。
お前がいなければ、この様なことはなかったのだ。
最後にそう囁くが、それがしかと声になったか否かは、判らぬ侭。*]


…―――――

[辰星は眠る。
 代わりの涙は天に流れ、地に流れ。

 安らぎの闇に浮かぶ星とならん。


 夏日と、また名を呼べる日を想い描いて。]



 当然だ 馬鹿野郎
 


[込み上げるは何の香りか。冬の香り。]


『…――忘れろ。忘れて良い。』
『我の事など、忘れてしまえ―――』

『此方に引き摺られるな。』

[忘却を望み、星は―――墜ちる。**]


/*
[この牙を向ければ独占できる、と。
 叶わなかった願いのために。

 黒亥は、黒蛇に呪いをかけた。


 断ち切れぬ絆があると、知れず。


 成就せぬ願いとは、知らず。**]


[背負う覚悟を決めて歩む巳の男。
嗚呼、吾は結局、報復ができなんだか。
誰にも…… 何も……――。]

『かなしい、なぁ……』

[居るだけで罪だと言われし己。
封じられるその身を恨み、嘆いて、哀しんで。
それでもまだ、誰からも見てもらえず、忌み嫌われ。
何時しか恨みは外へ向き、人を呪い、更に恨まれ。
それを繰返し繰返し積み重ね。]


[嗚呼、結局己は何をしたかったのか。]


[火の星を冠し、夏の陽の如く激情に流されし者。
智恵を持ち、能力あるはずの者が最後に願いし事は。]

『淋しい……――』

[忘れないでくれ。
同じく火の星を冠する男に対し、小さく小さく囁いた。
届いたか否か。其を知る前に、赤く黒い火の星は燃え尽きた。*]


―後の世―

[世が乱れたのは昔。
 ようやく平和な世になると誰もが信じ始めた頃。

 それでも街を離れれば、村へと足を伸ばせば、目に見える戦禍に昔を思い出さずにはいられまい。]


[上佐川。
 夏陽を受けてきらきらと眩く川面を見詰める子は、親を知らず。名を知らず。

 クロ。次郎。佐川。

 どの名前で呼ばれても、その子は頷き返事をした。
 取り立て困ることなく過ごしてきた。]


[けれど、心の内では思っていたのだ。


 それは違う、と。
 自分のことではない――――と。*]


―後の世―
[戦の面影が残る村。ひとりの少女が泣いていた。
大粒の涙を溢すのは朱金の目。

その気味悪さから皆からは蛇の目を意味する「鬼灯≪カガチ≫」と呼ばれ、捨てられたその子は親も知らず、名も知らず。
ただひとつ、己の中にあるのは大切な大切な、名前だけ。]


[ある夏の陽が降り注ぐ上佐川。
そこで佇み川を眺めながら、はらりはらりと涙を流す。]

 何処にいるの……『しんしょう』……

[産まれ出でた時より持つ、誰かの名。]

 あなたに逢いたいの
 また、わたしの名を呼んでちょうだい……

[己すら知らぬ己の名。
それはきっとこの者が持っている、と何故か疑わず。
春の日も、夏の日も、秋の日も、冬の日も。
何処かにいるとも知れぬ名を呼ぶ。]


【人】 聖歌隊員 レティーシャ

― 光 ―
[その時だった。
黒に染まった空間から、ぽつ、ぽつ、と光の雨が降り出し。

辺りが白に塗りつぶされる。
その中で、黒に紛れて見えなかった輪郭が姿を現した。

影。黒い人型を保っていたが、それは]

―― …… だよ。

[己の様に思えた。
黒き影は、もう一度、言霊を。]

(93) kuryu 2015/02/20(Fri) 20時半頃

【人】 聖歌隊員 レティーシャ

……一緒に、行こうよ。

[そう言って影に手を伸ばしてみるも。
影は首を緩く横に振り。
「おかえりなさい、を。言わないと。」
そう、口元が語ったように思える。一瞬自分の心を一部置いていくような錯覚さえ覚えたが。
元は、彼女は……]

……ありがとう、ひつじさん。

[せめて、笑顔で。会い見えることはもうないだろう、直感的に感じる。ならば、良き別れをしよう。

影もまた、口元を綻ばせた。]

(94) kuryu 2015/02/20(Fri) 20時半頃

【人】 聖歌隊員 レティーシャ

― いつもの光景 ―
――……。

[辺りが騒がしい。
幾つもの声が聞こえる。温かい。心地よい。
そう、一人ぼっちじゃない。]

……ぁ。

[上半身を起こして周りを見やり、影を探すも。
やはり、もう、彼女の姿は見えず。
少しばかり、心に穴が空いたような気もするが。
勢いのある彼の呼ぶ声に、思わず目頭が熱くなる。

嗚呼、夢じゃない。我儘を聞いてくれて、ありがとう。]

(95) kuryu 2015/02/20(Fri) 20時半頃

【人】 聖歌隊員 レティーシャ

おはよう、しょろ……!

[この言葉が言えることが。
この日常的な挨拶が、幸せに思えるとは。
今はとびっきり特別な言葉の様に思えた*]

(96) kuryu 2015/02/20(Fri) 20時半頃

[赤き血潮に染まった頃も。あったという。
 怨嗟の声が止まぬ夜も。あったという。


 お伽噺にするには新しい、昔ばなし。]

 ………だれ?

[岩陰の、奥から人の声が聴こえた気がして。
 少年は足を向ける。]


[血に染まり、怨みに染まる事もあった上佐川。
そうと知っても其処に佇み、飽くることなく泣いたのは、其処にいれば己の持つ名を持った人に、必ず逢えると思ったが故。]

 逢いたいわ 逢いたいの……

[何時までも何時までも泣いていると、誰かが此方へ来た気配がして。]

 誰なの……? 『しんしょう』……?

[それは、そうであってほしいという、願いにも似ていて。
肩までの長いとも、短いとも言えぬ黒髪を靡かせながら振り返る。]


[振り返ったその少女は。

 川面の光を黒髪に受け。まるで光の輪を冠しているかのよう。

 初めて聞く声が、初めて聞く名を呼んでいる。

 それは誰の名?]


[いや。
 己の名だと―――信じることができた。]

なつひ!

[叫んだ。開いた口から飛び出た名前。
 駆け寄り、腕の中に抱き締めて頬を擦り合わせた。]


夏日、夏日、なつ……ひ

[手は黒髪を乱す。光を払うかのように。]


[振り返った前にいたのは見知らぬ少年。
駆けてくるその少年が紡ぐ名は、聞き覚えのない、知らぬ名ではあったけれど。
其が己を示す名であることは、すぐにわかって。]

 しんしょう……? 辰星なの……?

[尋ねなくとも、己の中で答えは出ていて。
駆け寄り、すりより、されるが侭に髪を乱れれば、今度は嬉しさで目が熱くなる。]

 今度はちゃんと、忘れなかったわ
 貴方もちゃんと、覚えててくれたのね

[抱き締め、その温もりが本物であると実感すれば安堵し。
やっと逢えたと、鬼灯色の目からまた涙を溢した。]


【人】 聖歌隊員 レティーシャ

ぁ……と、えっと。

[しかしまぁ。いざ、言いたいことがあっても。
午の彼を目の前にしてみれば、なかなか口から言葉が出てこない。
いつも通りの一線を越えてしまうのでは。もし拒絶されてしまったら。そんな後ろ向きな考え。私らしくもない。]

しょろ、おんぶー。おんぶったらおんぶー!

[じわりと熱くなる頬を誤魔化すかのようにいつものように我儘を。
実のところ憑き物が取れたせいか、身体の方は力が入らず。
午の彼におぶされば、自身の重みを彼の背に預けて。]

(168) kuryu 2015/02/21(Sat) 22時頃

【人】 聖歌隊員 レティーシャ

……ねぇ。

[宴会場へ向かうであろうその足取りの途中、彼に囁くように。]

―― …… だよ。

[もしかすると、彼は聞き取れなかったかもしれない。
そうでなくてももう一度聞かれたかもしれない。
そんな時は顔を真っ赤にして、一寸の沈黙の後。]

大好きだよ、黍炉。

[今度はちゃんとはっきりと言葉を紡ぎ。
返事がどうであれ、顔を隠すように彼の背に埋まった**]

(169) kuryu 2015/02/21(Sat) 22時頃

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