30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/06(Mon) 00時半頃
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――回想/寮・自室―― [自室の前まで戻ってくると、扉には僅かな隙間が開いていた。 そのまま押し開けると、夕闇に沈んだ室内には黒々とした人影。 シーツと肌の擦れ合う音と、小さな喘ぎ声が聞こえた]
……ユーリィ? 戻ってたの?
[心配げな声で呼びかけ、二歩三歩と室内に進んだ。寝台の足側から近づくと、蒼氷色の瞳が潤んだ光と共に少年の姿を捉えた]
……ユーリ、ぃ。
[こくり、唾を呑む音がいやに大きく聞こえる。残照のせいではなく何か別の原因で、少年の身体はじっとりと汗ばみはじめていた。 室内に薫るのは息苦しいほどに濃い、薔薇の香気]
(56) 2010/09/06(Mon) 03時頃
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――回想/寮・自室―― [ふらりと膝をついた少年を見て、銀髪の裸身が妖しく微笑む。 ねえ、トニー。上がっておいでよ。一緒に、しよう? 甘く囁く声は、真夏の陽のように抑制の氷を溶かしていく]
う……ん……っ、て……っ、だめ、だよ。 ……どこ、行ってたんだよ、大体っ。
[自分のものと思えない熱を帯び始めた身体を押さえ、目を逸らす。 どうしたの? わたしはずっと、ここに居たよ? あどけなくすらある声。少年はぎり、と唇を噛んだ]
……っ、探したんだぞ、ユーリィ。サイラス、先輩、のとこ、か?
(57) 2010/09/06(Mon) 03時頃
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――回想/寮・自室―― [少年の詰問は同居人のどこか柔らかな部分を残酷に抉る。華奢な身体を丸め、胸をかき抱くようにしてユーリィは目を瞑る。 言いたくない。 短く硬い拒絶が、少年の問いを真実であると告げていた]
行ってたんだ。何、あったんだよ? そんな格好で、何、してたんだよ。 言えよ、でなきゃ……、っ!?
[膝立ちで寝台に上がり、裸の両肩を掴んで引き起こそうとする。 だが、その間際。少年の手を撥ね退けたユーリィに、逆に押し倒された。押さえ込んでくる体重から逃れようとするも、力が入らない]
(58) 2010/09/06(Mon) 03時頃
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――回想/寮・自室―― [蒼氷色の瞳を眇めて、ユーリィは笑う。 抵抗する少年の肩を両手で押さえつけたまま。 垂れかかる銀の長髪が紗幕のように二人の顔を隠す]
なに、するつもり、
[ トニーは、キスって、まだだよね? 教えてあげるよ。 ]
ん、ん――っぅ、!
[少年の唇に柔らかな熱が触れて、離れて、今度は濡れた舌先が唇を割って入ろうとしてきた。顔を振って拒んでも効果はなく、熱病に罹ったようなめまいが少年の意識を揺らす]
(59) 2010/09/06(Mon) 03時頃
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――回想/寮・自室―― [いつの間にかシャツは肌蹴られ、少年は平坦な胸を露にさせられていた。首元から鎖骨、鳩尾までをぬめる唾液の筋が辿る。与えられた快楽に浅い呼吸を繰り返しながら、どうにか口を開く]
なん、で――こんなこ、と、したのさ、ユーリ、ぃ。
[くすり、笑声が聞こえた。愉しさではなく奇妙な悲哀を含んで。 中庭の。薔薇園、知ってる? 彼処でね、昔。助けられたんだ。 それで、あの人を好きに、なった。でも―― 虚ろな瞳。映すのは眼前の少年ではなく、他の誰か]
(61) 2010/09/06(Mon) 03時半頃
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[ どれだけしても、叶わなかった。届かなかった。だから。 ]
[かちゃかちゃという音が、少年の腰部から聞こえた。素肌に触れる繊い指の感触。熱っぽい吐息と共にユーリィが囁く。 ――もう、壊れてしまえばいい。 ――もう、壊してしまえばいい。 自分のよりも高い体温を、過剰なほど反応し硬くなった部位に感じる。甲高い喘ぎが口から零れるのを、少年には止められない]
[ ほら――前にも、言ってたでしょう? これも、一つの、世界。 ]
(62) 2010/09/06(Mon) 03時半頃
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トニーは、かつて聞いたユーリィの言葉を白く染まる意識の中、追想した。
2010/09/06(Mon) 03時半頃
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[ 僕たちは、少年という名の鳥なんだ。 鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。 生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。 鳥は、神に向かって飛ぶ。 ]
(64) 2010/09/06(Mon) 03時半頃
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――回想/寮・自室―― [ さよなら。 ]
待て、よ、……く、ゆーりぃ、ったら。
[呼び止めようとする少年の声は低く掠れていた。 力の抜けた身体を引きずるように、寝台の端まで辿り着く。 ユーリィの姿は日の落ちた廊下、開け放たれた扉の向こう。 何とか立ち上がり、部屋を出た時には――最早、どこにもその姿は*見当たらなかった*]
(65) 2010/09/06(Mon) 03時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/06(Mon) 03時半頃
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/06(Mon) 04時頃
[いくつか言葉を交わすうち、互いの視線はかち合ったか。
眼の奥に秘めた赤い輝きは、薔薇の精に新たな精気を捧げる為に狩りをする忠実な下僕の色。
アンタもそうなのかと察して、歪んだ笑みを返した。]
[言葉を交わしながら、お互いに宿る同じ薔薇の香にすぐそれと気づく。
水色の裏に見え隠れする赤い輝き。今、まさに薔薇の精に精気を、
捧げようと、生贄を供えようとしているのだから。
歪んだものには同じものを。いや、それだけでなく]
…あとで、来いよ。一人で搾り取るには多すぎてな。
多分。生贄もそれを望んでるさ?
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/06(Mon) 18時頃
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――夜/寮の前庭―― [回想を終えた少年は独り、彫像の並ぶ前庭のベンチに座す。 星が瞬きはじめ、そよ風が吹き始めてもなお、少年の裡には言い知れぬ熱が疼く]
この、何処かに――居るのか? ユーリィ。
[耳の奥にユーリィの最後の声(>>65)が木霊する。 さよなら。 彼はもう戻ってはこないだろう、そんな直感があった]
(152) 2010/09/06(Mon) 19時半頃
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――夜/寮・自室――(>>84) [結局、少年はユーリィを屋外で探すことはせず、自室へと戻っていった。薔薇の薫る生温い微風が肌に触れる度、ざわざわとした感覚が身内に生まれていた。だがそれを避けようとして戻った先も、また同じくで――]
……そっか。この薫り――ユーリィの。
[だから、間もなくして訪れたラルフの存在は、少年にとってある種の助け船ともいえた。ノックの音に、扉を開ける]
あ、ラルフ、こんばんは。 ……そうか。アイマスク、だね。
(153) 2010/09/06(Mon) 19時半頃
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[室内へ取りに戻ろうとした少年の肩へ、穏やかな声がかかる。 ユーリィと仲直りは出来たのか? ラルフの軽い感じの言葉は、今の悩みも大した事ではない、というかのようで、少年にはむしろ落ち着きを取り戻させた]
ううん。出来てない。 ……けど、一度ユーリィは戻ってきて、出て行った。
[ラルフには背を向けたまま、静かな調子で言葉を紡ぐ]
……僕は、それがユーリィの撰んだ結果なら、受け容れようと、
(154) 2010/09/06(Mon) 19時半頃
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トニーは、受け容れようと、に続く言葉を失って、黙り込んだ。
2010/09/06(Mon) 19時半頃
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――夜/寮・自室――(>>84) [少年は左右に首を振り、室内に入っていった。 私物入れを探してアイマスクを取り出すと、ラルフの方へと戻る]
……うん、やっぱ、まだ、だね。 仲直りはできてないし、ユーリィが選んだ結果に納得できるかどうかもわからない。ついさっきも、探そうとして、結局やめちゃった。
[さっき、とラルフの呟き。ぱちり、目ばたいた少年に、 夜中には、外を探そうとしちゃいけない。 そう、彼は諭すような言葉を紡いだ]
……? なんで?
(157) 2010/09/06(Mon) 20時頃
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トニーは、ラルフに話の続きを促した。
2010/09/06(Mon) 20時頃
トニーは、ラルフ、どうしてさ、と首をかしげた。
2010/09/06(Mon) 20時頃
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/06(Mon) 20時頃
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――夜/寮・自室――(>>157) [少年の問いに、ラルフはどんな答えを返したか。 それに依らず、他には二言、三言程度の会話を交わして訪問者は去っていった。改めて独りになった室内で、椅子に腰掛ける]
……外、かぁ。 ま、暗い中で探すのはあんまり意味無い、とは思うけど。
[薔薇の薫り立ち込める室内は、窓を開け放ってもさして換気される様子は無い。まるで、もう一人の部屋の主――ユーリィの一部分がそこに残っているかのように]
これから、どうしたもの、かな。
[窓を閉めてカーテンを引き、少年は独り言ちた]
(163) 2010/09/06(Mon) 20時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/06(Mon) 21時頃
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/06(Mon) 21時半頃
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――夜/寮・自室――(>>163) [締め切った室内は温度が下がることも無いまま、むっとした薫りが立ち込める。次第にその存在は少年の中で馴染み、気にならなくなっていった]
――ここで、ゆーりぃ、が――
[黒瞳がけぶるような潤みを帯び、自分のではなくユーリィの寝台へと歩み寄っていく。ばさりと横倒しに倒れこみ、タオルケットも枕もシーツも、纏めて掻き寄せた]
――ずっと、寝てたのに。してた、のに。
(174) 2010/09/06(Mon) 21時半頃
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蒼い薔薇の旋律は、呪いを持つものを呼び寄せようと強く強く香りを放つ。
…――より生贄を蒼薔薇に捧げ奉るために
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――夜/寮・自室―― [涙滴が大きな瞳に溜まり、音も無く頬を伝う。 しゃくりあげそうになる感情と、腰の辺りからじわりと広がる肉欲の熱とがぶつかりあい、胸の中に渦を巻いた]
――今は、もう、居ない。
[呟いて瞼をぎゅっと閉じた。 これが夢だったら。深いまどろみの中に意識を沈めて、浮かび上がった時には元通りになっていたら。わかっていた。 そんな都合の良い現実などは少年の世界には、無い]
……っ、ぅう、っ、……ぇっ、く。
(175) 2010/09/06(Mon) 21時半頃
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トニーは、目尻に溜まった涙を拭い、寝台を降りた。
2010/09/06(Mon) 21時半頃
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――夜/寮・自室→廊下―― [室内のランプを手に、扉を開ける。 ポケットにはマッチと、規則では禁止されている折り畳みナイフ]
……探さなきゃ。ユーリィを。 たとえ、『好き』じゃなくなってたって、あんなことされたって、僕の一番の友達、なんだから。
[唇を噤み、後ろ手に扉を閉めた]
(177) 2010/09/06(Mon) 21時半頃
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トニーは、ルーカスらしき人影が向こうから歩いてくるのを、目に留めた。
2010/09/06(Mon) 21時半頃
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――夜/寮・廊下―― ルーカス。 どうしたの、僕――じゃないよね、誰か人探し?
[そういう少年の手には、ランプが提がっている。 隠すように、後ろ手に持ち直した。一応とはいえ、寮の規則では夜間の外出は禁じられていたはずだ]
(182) 2010/09/06(Mon) 21時半頃
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トニーは、こそこそと、横歩きでルーカスの横をすり抜けようと試みた。
2010/09/06(Mon) 21時半頃
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――夜/寮・廊下―― ええっと、その。
[口ごもりながら、考える。眼前の彼はどちらかといえば、規則には――例えばロビンやベネットとは異なり――あまり拘らない、気さくで面倒見の良いタイプだった筈だ、と。で、あれば]
ユーリィを、探しに行くんだ。
[どう続けるか思考に描きながら、俯く。再び口を開き、]
一度部屋に戻ってきたけど、様子がおかしくなって、出て行ってしまった。日暮れ少し後のこと。それから、探そうとしたけど――
(185) 2010/09/06(Mon) 22時頃
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トニーは、ルーカスの言葉に、ん、と安心したような声を洩らした。
2010/09/06(Mon) 22時頃
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――夜/寮・廊下→玄関―― それだったら、とても助かる。ありがとう、ルーカス。
[廊下を玄関の方向へと進みながら、今の言葉(>>185)を再び。 手提げランプをかざしてみせる]
寮の中はだいたい、探したんだ。 ほとんどどこにも、彼が居たような跡はなかった。
[サイラスとの一件は、さすがに伏せた。代わりに、]
校舎の方、図書室も医務室もプールも。回ってみたけど、居なくて。もしあるとしたら――外、中庭、の。
(186) 2010/09/06(Mon) 22時頃
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トニーは、最もありえそうな候補を、推測に暈かす。
2010/09/06(Mon) 22時頃
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――夜/寮・玄関→中庭――(>>188) [ルーカスの笑みにこくんと頷いてすぐ、少年は首を振った]
ううん。 一人で出歩くのは、怖くはないよ。 本当に怖いのは、――このまま、ユーリィを喪ってしまうことだ。
[ロビンがいる、と瞬間的に考えても、やはり怖れは変わらない。 ロビンはロビン。ユーリィはユーリィ。別個の存在だった]
(192) 2010/09/06(Mon) 22時頃
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――夜/寮・中庭――(>>190) [ルーカスが口にした単語に、こくりと頷く。 しゃがみ込んでランプのフードを開け、マッチを擦って灯りを点した]
あそこは、探してないんだ。
……近づくのが怖いような、不気味なような。 何だかよく分からないものが、潜んでそうに思えて。
……勇気を出して、行っておけば良かった。 それだったら、今こんな風に、ユーリィがいるかもしれないって不安に駆られながら行かなくてすんだんだから。
(193) 2010/09/06(Mon) 22時頃
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――夜/中庭―― [ふと、傍らのルーカスを見上げる。身長差はかなりのものだ]
でも、ルーカスが来てくれて、良かったと思うよ、やっぱり。
[ランプを手にルーカスの背後へと回ってみる。光源の移動に連れて、長い影がぐるりと動いた]
こうやって、不安を紛らわしたりも、できるしね。
(194) 2010/09/06(Mon) 22時頃
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トニーは、ルーカスが昼間行った時には、居なかったんだ。…と、呟きつつも。
2010/09/06(Mon) 22時頃
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――夜/中庭→薔薇園―― [ルーカスの語る話。 その詳細までは分からないものの、薔薇園にはなにかあるのだ、という感覚を新たにさせられる。ぽつり、呟いた]
魂を引き寄せられる、か……。 そういえば、ユーリィも。手首に、茨の痣。ぐるっと、できてた。 あれって、もしかして――そういうの、なのかな。
(198) 2010/09/06(Mon) 22時半頃
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トニーは、ルーカスと共に、薔薇園の入り口に辿り着く。
2010/09/06(Mon) 22時半頃
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――夜/薔薇園――
[円く輝く月光に照らされて蒼々とした夜空は、生垣の奥で起きた凌辱を知らぬげに静まり返っている。 高く密に編まれた薔薇の垣根は、真昼であっても視線を遮り、夜となれば暗い闇をその中に湛えていた。 少年はランプを掲げ、その奥へと光線を投げ掛ける]
――ユーリィ。いる?
[呼びかけてみても物音は無い。 ルーカスの方を一度見て、そっと、中へ足を進めた]
(199) 2010/09/06(Mon) 22時半頃
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――夜/薔薇園――(>>196>>198) [数歩入ったところで少年は足を止めた。ルーカスを見上げ、かれの言葉に煽られた不安を口にし――]
――引き寄せられてしまう、というのなら。 ねえ、ルーカス。 もし、ここからユーリィを連れ出せたとしても――また、戻って、
[継ぐべき言葉は喉の奥に消える。 ルーカスの呼びかけの近く。薔薇園の奥まったところ、蒼い薔薇が咲くといわれる老樹の下に、倒れている人影が照らし出された]
(205) 2010/09/06(Mon) 23時頃
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――夜/薔薇園――
――ユーリィ!!
[ランプを取り落としそうになりつつ、樹の根元へと駆け寄った]
(208) 2010/09/06(Mon) 23時頃
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ルーカス! こっち! いたよ!
[意識を失ってみえる銀髪の少年の頭を膝に乗せ、名を呼んだ]
(213) 2010/09/06(Mon) 23時頃
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