162 絶望と後悔と懺悔と
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ミナカタは、サミュエルAh-Ah-♪ 男の人って幾つも愛を持っているのね♪
ひびの 2014/02/23(Sun) 15時半頃
…………ひとりは、寂しいから
[生きて、と願う
幸せの最低限さえ望めないのが己の罪なら*]
[『冀望』。―――『鬼』を『望む』。
鬼と共に在ることを望み。
鬼と為ることを望み。
鬼で在ることを望み。
鬼の為に在ることを望み。]
あき―……
[指が届かなくても。
聲が、髪を撫でることができるなら。
その目端を撫でることができるなら。]
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[――獣は、荒野を独り行く。
黄金の鬼は斃れ、戦いは終焉を迎えようとしている今、 多くの死を招き、遂には死に招かれた獣に 関わろうとする者などいる筈もなかった。
孤独な魂を導くように、 サミュエルの手が差し伸べられる>>9:+32]
――――……。
[その手を取ろうとして、ふと、獣は動きを止めた。
触れてしまえば、きっと永遠の安らぎを与えられるだろう。 それは、疲れ果てた獣が何よりも望んだことだ。
けれど――]
(38) ひびの 2014/02/24(Mon) 22時頃
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[血と罪に、赤黒く穢れた己の手を見詰める。
この手を取ってくれたリカルダに 絶対に諦めない、だから、さよならは言わない、と――
そう口にした自分が、 今、一方的に彼女や家族達に別れを告げ、 自らの命を捨てようとすらしている]
……嘘、吐いちまったな。
[寄る辺ない寂寥感に襲われて、 いつしか獣は歩みを止めて、立ち尽くしていた*]
(39) ひびの 2014/02/24(Mon) 22時頃
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>>41
そうじゃ、ねえけど。 本当に、これで良かったのか、
……分からねえんだ。 [このまま、死の安らぎに身を委ねたい欲求も、 リカルダに告げた言葉を――己のこれまでの生き方を嘘にしてしまうことへの後悔も、
どちらも本心からのものだったから。 友の手に触れることも、拒否することも出来ない]
(42) ひびの 2014/02/24(Mon) 23時頃
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[>>43友に促され、獣は語り出す]
俺なあ、……黄金野郎んトコに捕まってたとき、 リッキィに言っちまったんだ。 絶対に、諦めないって。さよならなんて、言うなって、……な。 ……したらさ、リッキィのやつ、またねって言ってくれたんだ。
それに、――お前に言われたことだって、忘れちゃいねえ。
[必ず、生きて帰れ、と。 戦う姿は仲間達の希望になっているのだと。 ――サミュエルは言ってくれたのに]
なのに、お前に引導を渡すような真似をさせちまうなんてな。
(45) ひびの 2014/02/24(Mon) 23時半頃
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……全く、情けなくって、笑えてくるぜ。
[ほう、と息を吐き、苦笑いを浮かべる]
吹っ切れ――は、しねえけど、 少なくとも、どうしたいかは分かった気がするんだ。
……ありがとな、サミュエル。
お前がいてくれたから、 俺はこれまで前だけ向いていられた。
今だって、きっと、間違えずに済んだんだ。
[嗚呼――こんな、かけがえのない友を得られた自分は、 何て幸せな男なのだろう]
(48) ひびの 2014/02/25(Tue) 00時頃
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すまねえな。
折角迎えに来てくれたのに、一緒に行けなくなっちまった。
けど、そうだな……。また、逢えるさ。 だからお前にも、さよならなんて、言わねえよ。 [これが友との永遠の別れになるかもしれないと、 そんな予感がしていた。
けれど、獣は――南方周は まだ、友と同じ場所に行く訳にはいかなかったから]
――またな。
[五年前の幸せだった時代に戻ったかの様に、笑う。 きっと――笑えた筈だ。
そして背を向け、振り返ることなく手だけを振って、歩き出した*]
(49) ひびの 2014/02/25(Tue) 00時頃
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[掛けられる声に振り返れば『冀望』を抱いた鬼がいた] お前は、無事だったか。 ……良かったよ。
[黄金の鬼の亡骸に、一視線を向け]
そうだな。 結局、俺は、何も為し得なかったってワケだ。
そいつを斃すことも、 お前たちを自由にすることも、 結局は出来ない、情けない兄貴分――てコトになっちまったな。
[肩を竦めた]
(51) ひびの 2014/02/25(Tue) 00時半頃
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戦いは、……止めねえよ。 止めちまったら、俺は、俺じゃなくなっちまうからな。
[けれど、これからの戦いは 今までのような怒りと憎しみに突き動かされるような、そんな戦いではなくて、 もっと別の為の――]
零瑠、お前こそ、どうするんだ? 金色――始祖の呪縛は解けただろ。 それなのに、何でだ。
[怨敵を庇うかの様子に、僅かに眸を眇める*]
(52) ひびの 2014/02/25(Tue) 01時頃
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……そうだったな。 結局、俺達は誰一人、あいつに手が届かなかった。
[金色の鬼への復讐の為、或いは、家族の捜索の為に。 帝都守護隊に入隊した仲間は、皆、いなくなってしまった。 だから、最期まで運命を捻じ曲げた元凶に寄り添うという、零瑠の答えを聞かされて>>54]
……結局、それがお前の答えなのか。 俺には、分からねえよ。
そいつは、金色は――皆の仇だろが。
[やりきれない、と大きく息を吐く]
(56) ひびの 2014/02/25(Tue) 02時頃
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[>>55思いつめたように、零瑠が紡ぐ言葉に]
……ああ。
お前が無事なのは分かったし、 これからどうするのか、聞くこともできたからな。 だから、今はそれで良い。
てかな、もし、俺がこうなっちまったことに悔いがあるんなら 最期まで自分独りで持っていけ。
[それは、いつか理依にも言った言葉]
でも、どんな道を選ぼうと、 零瑠が俺の仲間で家族だってことは、変わらねえよ。 ――それだけは、忘れんな。
[だから、周は零瑠を憎まない。いつだって、赦すつもりだ**]
(57) ひびの 2014/02/25(Tue) 02時半頃
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……、多分、みんな同じだよ。
[自分が望むものの為に戦って、そして失った。
それを抉って何になる?]
でも、僕にとっては、リッキィがここにいてくれた。
[二人の間では、声が届く。
血が繋がっていなかった筈の家族の中に、
それが生まれて残ったように]
だから、ひとつだけ、お願いをしても良い?
[これは、途方もない我儘で、
きっと誰にも許してはもらえない事だ。
多分、リカルダにとっても]
どうか、幸せになって。
[生きているだけではなくて。
いっそ、命すら擲ってしまったとしても**]
そん、なの―――、
[許していいはずがない。僕だけが幸せになるなんて。
そもそも、どうすれば幸せになれるのか、わからないのに]
それに、…明にーさんだって、したいこと、やったって、………。
[ああ、ひょっとしたら。
誰かの、――僕の幸せを願うことこそ明にーさんのしたいことなのかも。
でも、いいんだよ願わなくなって。だって僕はうまくやれなかったんだから]
だって、僕、明にーさんの分まで頑張れなかった。
[だから、――構わないで。
ほっといて。
そんな言葉が出てこなくて、やんわりと突き放すことしかできない]
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>>58
晴れるわけ、ねえわな。
……けどな、誰かが金色に、、 仕出かした事のツケを払わさなけりゃあ、いけなかったんだ。
その役目は俺がやりたかったが、力が足りなかった。 だから、もう、敵討ちはお終い。
――それだけの、話さ。
[怒りと憎しみは、燠火のように裡に残っている。 だが、金色の鬼を失った以上、衝動とは折り合いをつけねばならない]
(64) ひびの 2014/02/25(Tue) 21時半頃
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正直に言えば、だ。
お前が金色と、どっか行っちまおうとしてるなんて、 納得したかねえし、止めろ、と言いたいくらいなんだがな。
けど、……俺とお前にとって、五年の歳月は長過ぎた。 今は、そう思うしか、ねえんだろうな。
[零瑠と金色の鬼が積み重ねた五年は、周が憎悪と怒りを育ててきた歳月と、決して相容れるものではない。
それでも、サミュエルが周の選択を尊重したように。 周もまた、零瑠の望みを止めるつもりはない*]
(65) ひびの 2014/02/25(Tue) 22時頃
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……うん。
絶対ね、昔あった幸せは帰って来ないんだ。
それは"貰っていたもの"だから。
[これから先、かつての箱庭も、鳥籠もない。]
僕も、やろうと思ってる事があるんだ。
今はまだ後ろ向きかも知れないけど、少しずつ――
こうやって考えられるよ。
[離れていても繋がる力を得た事で、
自分はひとつの安らぎを思えるけれど、
それすら重荷なら、飛んで行っても構わないから]
だから、リッキィの、したいようにやってごらん。
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後悔はしねえよ。 こうなったのは、俺が俺であることを曲げなかった結果だ。 後悔なんか、してやるもんかよ。
[>>66己の罪を悔いる零瑠に、からりと笑い、言ってのける。
そして――]
(72) ひびの 2014/02/25(Tue) 23時頃
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行くな――
とは言わねえ。 零瑠、お前がどうするのかは、お前が決めろ。
それがどんな選択であっても、 俺は受け入れるつもりでいるよ。
[黄金の鬼達のように、己に他者を従わせるつもりはない。 自分を他者に委ねる弱さも、今は認めるつもりはない。
仲間の――家族の繋がりをもう一度取り戻す為。 今度は、共に並んで歩いて行けることを願って。
サミュエルが示してくれた道を、零瑠にも示す]
(74) ひびの 2014/02/25(Tue) 23時頃
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[零瑠は周の言葉に、どう答えただろう。 答えは与えられないかもしれない。
鬼と成り果てた身は、もうヒトの時間に囚われることはない。 だから、どれだけ時を経ようとも、答えを待つことが出来る]
……すぐに決めろ、とは言わねえよ。 俺達には、時間だけはたっぷりあるからな。 ゆっくりと考えて、それで結論が出たなら教えてくれ。
俺はずっと、待ってるからな。 [そう告げて、周は再び歩き始める。
己の言葉を嘘にしない為に。 そして、吸血鬼の城でリカルダに言えなかった言葉を、今度こそ伝える為に*]
(79) ひびの 2014/02/26(Wed) 00時頃
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[――周は、荒野を独り行く。
既に戦いは終焉を迎え、 統率者を失った鬼達は散り散りに落ち延びていき。 帝都守護隊は事態の収拾に動き出していたから。
今を逃せば、リカルダと再会は叶わないかも知れない。
けれど鬼と成り果て、殺戮の限りを尽くした周を人間は決して赦さないだろう。 リカルダの名を呼ばうことも出来ず、目立たぬよう、小さな姿を探し求める]
(81) ひびの 2014/02/26(Wed) 00時半頃
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―回想・リカルダについて―
[刺突、あるいは斬撃。方向、距離、力の掛かり方。
踏み込んで詰める。
身長差で上から振り下ろした刃を、
交差した脇差とマインゴーシュががちりと受け止めた]
……うん。 上手。
[二刀が二人、四種の短剣。
同じ武器種、同じ血統に属することから
訓練で手合せをする事も少なくなかった。
ただ、己の手にある殺すためと傷つけるためと比べ、
彼女の手にあるのは、より身を守る意味を持つもので、
戦い方も自然、まずは傷を負わぬような方向を持ち、
ひそやかに、己は安堵を覚えるようになっていた。
それは、この小さな家族が傷つかないように、という
願いを強く持っていたからだ**]
僕からも、ひとつだけお願いがあるんだ。
[もしかしたら酷いお願いになっちゃうかもだけど、どうか、]
ひとりに、ならないで。
……駄目だったら、僕のことを思い出していいから。
[この力は僕にとって、赤い血となり体中を巡って、
心すらも縛ってしまう鎖じゃない、――から*]
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