249 Digital Devil Survivor
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やっパ、冷やかすだけで良かったよなあ。
[黒く染まったマガタマの回収を命ずる女の言葉を聞いて、開口一番にぼやいたのも思い出す。]
マあ、いいか。
『仕事』はちゃんとしよう。
ドウにかできるというなら、な。
[いつもの様に隠した裂けた頬。
ガーゼの上からなぞる様に指先で触れた。]
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ー日常が終わるまでー
[黒く染まったマガタマはポケットの中。 駐輪場に停めている自転車に跨って家路につく。 空は暗くなってきたけれど、まだ充分暑い。 正直ジャージを脱ぎ去ってしまいたい。けれどそうしないのは以前、身体の主導権が“私”に移った時に、 腕に巻きついた蛇を見られたことがあったから。]
あっちー…
[頬を伝う汗を時折ぐい、と拭いつつ自転車のペダルを踏み続ける。 生ぬるい風がまとわりついて気持ちが悪い。家に着いたらまずシャワー。 それから扇風機前を占領しながらアイス食べたい。
駅から家までは自転車でたかが15分程度なのに、その何と遠いことだろう。計画通りにシャワーを済ませて、食事前にアイスを食べて母親に怒られる。夕食はカレーだったので父親や兄と争うように二杯おかわり。 その後友人とLINEでやり取りをしながら必死こいて宿題を終わらせた頃には、日付も変わろうとしていた。]
(17) 2016/06/16(Thu) 01時半頃
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[達成感と共に窓から空を見上げれば、真ん丸の月が柔らかく光っていた。]
『今日は満月か。』
綺麗だなぁ
『やれやれ…月が満ちるというのは、“私”達の 力が強まるという事だ。恐るべき事だがね。 …まだ昔の人間達の方が賢かったよ。 月に狂う存在すらあるというのに』
狼男かよ…ふぁあ…
[欠伸を1つ。“私”は非日常がやってくる気配を しっかり感じつつ、“俺”にそれを教える事もない。 それが起こった時、泥方ナツメという人間がどうなるのか、観察したいと思ったからだ。 ベッドに横たわり、暫くすれば“俺”は寝息を立てた。 黒いマガタマと白いマガタマ。“2つ”とも学生服のポケットに入ったまま。*]
(19) 2016/06/16(Thu) 01時半頃
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ー非日常のはじまりー
[満ちた月の下。跳梁跋扈する悪魔達の気配を“私”は懐旧の情と好奇心と嫌悪感で歓迎した。 無数の悪魔に驚く事はない。“私”自身、かつて伯爵であった時には36の軍団を率いていたのだから。
謀略すら見透す千里眼を持たない今生は、マガタマにきな臭さを感じ取っただけ。よって、マガタマを餌として押し寄せているとはすぐには気がつかなかった。
増殖する気配に時が満ちたのだろう、と目は細めたが。 様子見を決め込んでいたのも、こちらに手を伸ばしてくるまで。]
『ナツメ、起きるぞ』
[“私”によって無理やり覚醒させられたのと、硝子が割れる音がしたのはほぼ同時たった。 いやそれどころでは済まない。止むことのない破壊音が聴覚を狂わせて、何がどうなっているのかわからない。 それが何によるもので、その声ともつかない何かが誰のものなのか、急激に浮上した“俺”の意識で判断するのは不可能だった。
飛び散るような、呻るような、壊すような、劈くような、打ち鳴らされる。音、音、音。 それが一息に近づいている事は明らかで。咄嗟に立ち上がったものの、“俺”に為す術など思いつくはずもなかった。]
(38) 2016/06/16(Thu) 11時頃
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な、…に?
『言ったろう。月が満ちるという事は、“私”達の 力が強まるという事だと──来るぞ』
[自室のドアが、吹き飛ばされて壁に激突する。“俺”の方に飛んでこなかったのは不幸中の幸いと“私”は安堵する。肉体の方は出来るだけ無事でありたい。
その毛むくじゃらの獣のような悪魔を“私”はジッと見る。その右腕から生えた凶悪なまでに大きな顎。そこから赤黒い液体をびちゃりびちゃりと滴らせていた。 月明かり。牙の間からだらりとぶら下がっている白いそれは──果たして、誰の腕だろう?]
なにか、いるのか……?
『キミはこんな状況でも見えないのか…』
[ただの人間でしかない“俺”には突然ドアが吹っ飛んだとしか認識出来ない。家族の無残な欠片すらわからない。 ニヤリと“俺”に向けて顎を歪ませる毛むくじゃらが、何かを探すように視線を動かしているのを感知する。 瞬時に身体の主導権を奪い取り、すぅ、と開いたまま伸ばした左手を握りしめた。]
……探し物は、こちらかな?
(39) 2016/06/16(Thu) 11時頃
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[次に手を開けば、黒と白。2つのマガタマ。 その瞬間の悪魔の歓喜と狂気の広がりに、確信する。 生温い風が“私”の髪を揺らした。 挑発するように左手でマガタマを弄んでやれば、ギチギチギチと、悪魔の顎が鳴る。]
どうやら今の状況を招いたのはこの石のせいらしい 言ってしまえば“マガタマがここにあるせいで、 お前の家族は皆殺しのマルカジリだ。”
『みな…ごろ……俺が、?』
[“私”に言われてようやく、家が滅茶苦茶なのに家族の声がただの1つも聞こえて来ないことに気づく。 ぞわり、嫌な予感に“俺”は背筋を震わせた。背筋だけでなく、全身が震えている。今は夏。それなのに凍りつくように寒い。
元を辿れば“私”のせいだが、そんな判断すら出来ないほど動転しているようだ。マガタマを持っていなくても巻き込まれていた可能性がある事も敢えて言わず。 毛むくじゃらの口から覗く腕。身体の欠片からは、あったはずの魂の残滓すら感じられない。]
(40) 2016/06/16(Thu) 11時頃
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(魂ごと喰らったか…無関係な人間を陰謀の為に 平然と食い漁る…こいつは立派な制裁対象、だ。)
『俺……俺、は……』
[手の平にあるマガタマを握りしめて呆然とした声を出す“俺”。少し衝撃を与えすぎたか、と“私”は跳躍する。 していなければ、今頃身体の半身は顎に抉られていた。この身体は“私”のものでもあるのだから、あんなやつにそう易々と殺されてはたまらない。]
私に身体を返し、キミが消えてくれるならば 力を貸そう。いずれ私のものになる予定なんだ。 ワケがわからないまま死にたくないだろう? 家族の無念を晴らしたくはないか?
[こんな時に悪魔の囁き。 これまで頑なに“俺”が譲ろうとしなかった肉体の返却と精神の統一を持ちかける。(“私”の力が完全ではないせいか無理やりする事も出来なかった。) “俺”の感情の揺らぎが、手に取るようにわかる。もう少しだ。]
(41) 2016/06/16(Thu) 11時頃
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[完全に身体と精神を乗っ取る好機。嗚呼、マガタマを探っておいて正解だった。目の前の毛むくじゃらほど理性なく狂わずとも、悪魔の1人として、惹きつけられる何かは確かにあった。]
『………断る』
[今の事態がわかっているのか、と“私”は眉を寄せる。不快を隠さない声音を紡ぐ。]
愚かも極まれば滑稽以外の何物でもないぞ?
『体が完全じゃないのが不都合なら 協力はする。でもやっぱり俺は俺でいたい。 アンタは俺の身体を守るしかない筈だ。 俺の身体は、アンタの身体でもあるんだから。』
………それは脅しのつもりか?
『あんなに怪しい石について嗅ぎ回っておいて、 簡単に殺されるのか?アンタの性格上無理だr… …おい!いきなり跳ぶなよ!』
[毛むくじゃらの顎が床に大きな穴を開ける。ジッと眺めて追撃が来ないことを確認すれば、こちらは大事な話し中なのに、邪魔だと舌を打つ。]
(42) 2016/06/16(Thu) 11時頃
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[悪魔の囁きを返してくるとは。 目の前、いや周辺一帯で起きている事態はまさしく、“私”が見逃すことのできない陰謀と謀略と策略に満ちた何か、によって引き起こされている。嗚呼、見逃すことなど出来やしない。 『う、わ……っ!!』
全く……全く生意気な人間だ。良いだろう。 協力すると言うのなら、愚かなキミにも“私”の 世界が見えるようにしてやろう…… 狂っても構わんが、騒ぎ立てないでもらおうか
[むしろ狂ってしまった方が容易に掌握できそうだけれど。腕の蛇が“俺”に噛み付き、その血を飲む。それは人間の言うところの契約なのだけれど、わざわざ“私”が教えてやる義理もない。協力関係なんて、反吐がでるのだから。]
『痛……っ、へ、蛇……?コイツが……』
[蛇が腕に巻きついている、のは知っていた。言われたことがあったから。>>17 しかし“俺”が蛇をハッキリと見たのはこれが初めて。爬虫類。別に嫌いじゃない。]
大事な大事な、“私”の蛇だ。可愛がってくれよ?
[くつくつ、“私”は笑う。肉体を取り戻す事は叶わなかったが、識感を共有する事で動きやすくなった。
(43) 2016/06/16(Thu) 11時半頃
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[ガチリガチリ。毛むくじゃらの顎が焦れたように噛みあわされる。食い散らかされた本棚。まるで食べかすのように顎から本の紙片が溢れ落ちていた。]
『なぁ…ヤバいんじゃないのか?これ』
──案外冷静じゃないか。
[現実をまだ呑み込めていないのか、あるいは見聞覚知を共有したせいかもしれない。 毛むくじゃらの腕の顎がまっすぐ伸ばされ捉える。足の踏み場がグチャグチャで、避けることは出来そうにない。]
芸のない攻撃はもう見飽きたよ。
[同じくまっすぐ右手を伸ばし、腕に巻きついた蛇が目を光らせる。少しの拮抗。破ったのは毛むくじゃらの方だった。
こちらがしたのは、ただ開いていた手を握りしめただけ。食らいつこうと開かれた毛むくじゃらの顎は、消えてしまってどこにもない。右腕が消えたことで夥しい量の黒い何かが床を濡らしていく。]
(44) 2016/06/16(Thu) 11時半頃
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お前だけは制裁ではなく“仇打ち”として、殺す。
[終ぞ関わることがなかったが、それでも“私”の。そして“俺”の家族だったから。握りしめた手を開けば、右腕には“毛むくじゃらのものだった顎が生えていた”。]
──マルカジリ、だ。
[顎が毛むくじゃらを飲み込んだ。ぐしゃりぐしゃりと咀嚼して味わって、ゴクリ。嚥下の感触と共に、顎は消え去った。 元の持ち主が消滅したのだから、当然だ。右腕は元通り人間のそれ。]
『終わった……?』
あの雑魚を殺すという意味では終わった。 あの程度の悪魔なら、ウヨウヨ転がっているよ。
『さっきのあれも盗みか?右腕が、気持ち悪ぃ…』
“盗んで、返した”のさ。すぐ慣れる。 あのマガタマを持っている限り、これからも付け狙われるだろう
[そんなものは捨てようと、“俺”の鬱屈したような声が響いた。“私”はそんなつもりはない。]
(45) 2016/06/16(Thu) 11時半頃
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[左手にあるマガタマに視線を移せば──2つのうち真っ白だったマガタマが、半分黒く染まりかけていた。
そこで気づく。見聞覚知を共有したせいで、“私”の中の“俺”への悪意が薄れていることに。人間である“俺”が悪魔になったのと同時に、悪魔である“私”が、人間になってしまったことに。 持っていれば厄介だ、と黒く染まり切る前のマガタマを外へと放り投げる。]
1つは持っておこう。被害に遭っている人間は 他にもいる。人間を助けるつもりは毛頭ないが、 ──この事態を引き起こした存在に、制裁を。
『………うん。俺も、そうしたい』
[寝巻きよりもある程度動きやすいから、と学生服にジャージを羽織る。家族を殺され、孤独となった“俺”が悲嘆に暮れる前に、“私”は虚ろとなった家を出て、市内を*当てもなく歩き出した。*]
(46) 2016/06/16(Thu) 11時半頃
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[カチリ、とチャンネルの合った音がするようだった。
特定の誰かと通じる為の何か、がカチリと合わさったかのような。]
あーあー、聞こえるお仲間さん?
あんたらが何をしたくて、何が目的か俺は知らねぇけど。
でも、今は協力出来ると思ってんだ。
[ちらり、と鳥居の向こう側を見る。
町に溢れる悪魔達は鳥居をくぐってこちらには来ない。]
ヤタガラスはね、俺も邪魔だと思ってんの。
だから俺に任せてくれていーよ。
あと何人か邪魔なのいるけど、まあそこは追々?
[それを不自然と取られるかどうか。
神社は聖域であるからそこまで不自然ではないかもしれない。]
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ーある悪魔の回顧:王の客人ー
[神殿に招集され、男と相見えたのはいつの頃だったか。 多くの存在を使役する智慧を持つ、偉大なる我らが王。 錬金術師の多くは、知識に秀でた同胞の力を乞うたものだ。(果たしてどれほどの錬金術師が獲物と成り下がったかは、我らが気にするところではない。)
“私”が錬金術師達と関わる機会は然程なかったが、それだけにわざわざ王を経て喚び出してきた彼の者の存在は、奇異な存在だった。]
『………“それ”が集大成、か』
[壮年の、他の錬金術師と変わりなく宝飾品を纏い杖を手にした男。 彼を前にした“私”の第一声は、そんな言葉だった。 千里眼を通せばよくわかる。陰謀が、謀略が、策略が。そして壮年に見える男のその背景が。 王に捧げたその水が、どのような意味を持つか。 そしてその『 』を、この男は──。
男は錬金術の智慧を求めるような他の人間とは違う。何故なら男の背後に控える“悪魔”とその手に持つ“杖”は。 腕に巻きつく大蛇の目が光る。
──嗚呼、愚かなり我らが王よ。]
(72) 2016/06/16(Thu) 18時頃
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『王にそれを与えたか……面白い。実に面白い。 ……私に見せたという事は、自覚はあるのだろう? いやそれとも、澄んでいるが故、なのか。 クク……実に口惜しい。口惜しいとも。 “王の客人”でなければ、本来は正義の下に罰を 与えなければならないというのに! “今の私”はむざむざとその機会を逃すのだ!』
[半分は戯言、半分は本気で。 堪えきれない笑い。悪魔は悪魔。 王が手にした水の正体を知りながら、その策略を今は指を咥えて見ているしかない。何故ならこの名無き者は、他ならぬ王の客人として私の前に現れたのだから!>>37
正義を司る私はそれを“悪”と判断する。しかしその根源は果たして──まぁ、いい。今の私は、罰する権限を持たないのだから。 男の背後に控える神と呼ばれる“悪魔”に、蛇はチロリと舌を出した。]*
(73) 2016/06/16(Thu) 18時頃
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[カチリ、と何かが繋がった。
ややあって聞こえてくる『声』は、耳元で聞く犬の呻り声とは違う。]
……西廼慶一だっけ?
神主と縁は薄いと思ってたんだけどなあ。
まあ、いいか。
そっちの事情にオレも興味はないし。
[露店で短い会話した声だ。
妙な縁に、呆れのような驚きのような感情が混じる。]
そっちが仕事するなら任すけど。
ヤタガラス、カラスねえ……。
それって三本足だったりすんの?
[昨日の忠告めいた言葉も思い出し、なんとなく聞いてみる。]
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ースーパーマーケットー
[マガタマに群がってくる“悪魔”を正義の下に、時には襲われている人間を助けつつ、堂々と盗みを働きながら退けていく。 ちなみに“俺”は死屍累々に慣れていないせいか、これまでに2度嘔吐した。貧弱者め。]
悪魔に立ち向かえる者がどれほどいるのやら。 少し休もうか…人間の身体は不便だな
[立ち向かえる者に心当たりがないわけではないが。
識覚を共有した事で、疲労感や空腹を感じるようになってしまった。それはこれまで“俺”が担ってきた部分だったらしい。
スーパーマーケットは、深夜で無人だったせいか、周囲の建物よりも比較的被害が少ないように見える。 無理矢理自動ドアをこじ開けて、中へ。 飲み物や食べ物を入るだけリュックに詰め込んで、なけなしの財布の中身を全て置いておく。
どこから悪魔がやってきても攻撃が届かないよう、真ん中あたりでリュックを抱えて座り込む。 悪魔がマガタマを狙ってやってくるのは分かっている。長居は無理だろうが、身体を休めない事にはどうにもならない。*]
(89) 2016/06/16(Thu) 20時半頃
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そそ、三本足。
[三本足の烏のシンボルを思い出して、く、と笑った。]
俺らと同類。
でも政府の機関だからさぁ、厄介なんだよね。
三本足の烏のシンボル見たら気をつけてな?
ああ、やっぱり。
三本足の鳥に突かれるのは確かに面倒くさそうだ。
アンタも目を付けられてたクチなのかな。
[忠告めいた言葉と邪魔だという声に、そんなものなのかと少し誤解をする。]
んー、どっちかってぇと仲間だと思われてんじゃねぇのかな。
でも今から敵対すんだけどね。
でもどうせ外とは連絡取れねーし、ソイツ殺しても今すぐどうこうってのはないかな。
[多分ね、と笑って返した。]
……うん、戦う必要ないなあ。
[今の『仕事』はマガタマの回収だ。]
ふうん、仲間なのか。
そういや神主だっけ。
ああ、えーと……。
[裏切るらしい慶一へ返す言葉を少し考えて。]
……ご愁傷様?
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ー翌日:スーパーマーケットー
[満月が沈み、太陽が高く昇っても悪魔は押し寄せる。 スーパーマーケットは随分と形を変えてしまっていた。勿論、“俺”の持つマガタマを狙った悪魔達のせい。
“私”は人間としての体力を回復するだけのつもりで長居する気はなかったが、“俺”の方が行くあても無く歩き回るのは嫌だと駄々をこね、結局罵り合い協力しながら今に至る。
“盗んだ”魔眼で悪魔を射抜き殺した頃、大分状況に適応した“俺”が溜息を吐いた。]
だぁああああ!!……もうっ! こいつらどんだけいるんだよ!
『陰謀の根源をどうにかしようとは思わんか?』
[棚が倒され、商品が散乱する店内。 罪悪感と共に“俺”は青果コーナーのリンゴを頬張りながらスマホを操作する。 (“私”は蔓延する陰謀を探ろうとしているのだから報酬として貰っても構わないだろう、と何の遠慮もない。図太い奴。) 御渡市周辺が封鎖されていること、SNSを軽くチェックして──無事だと言える友人が誰1人いない事を確認した。落胆は隠せない。]
(157) 2016/06/17(Fri) 00時頃
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どうにかって…どうする?
『マガタマだよ。あれを辿れば行き着く筈さ。 持ち主は大抵喰われているだろうが、裏を返せば 生きている持ち主には何かがあると考えていい。 “私達”と同じような立場か、それとも陰謀に直接 関わっているか。マガタマを持っているか否かは “私”がわかる。 ここで身を潜めても、仕方ない』
……ふーん、まぁ、反対する理由はないけど。 じゃ…人探し?今、人が集まるのって…病院?
[薬局コーナーの前を横切る。日常ならば系列店の耳に残る曲が延々と再生されているが当然今は無音だ。 (おかしいな、それでも脳内で流れている気がする) 蛇に噛まれた所に消毒液でも吹きかけようか、と思ったけれど今更すぎて止めた。
スーパーマーケットを出て、人探しがてら病院へ続く道を歩く。 救急、消防、警察──その他公的機関が、壊滅的状況の中で既に機能していないと“俺”は考えもしなかった]**
(158) 2016/06/17(Fri) 00時頃
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