情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
もう、来たらあかんよって。
言ったやんか。
[幼子の、泥に濡れたすべらかな頬を、そうと指先で撫でる。
桃色に染めて輝いていたそれは、白く冷たく濡れている。
危ないから、あかんよって。
そもそもそん花は、お見舞いには向かんよ、って。
言うたのに。
あと少し、年が行っていたならば。
幼子にはその花が見えなかったろう。
あと少し、幼かったなら、こちらの声が聞こえたろう。
あと少し……
口惜しさは何の代わりにもならぬ。
私は、泥に足を取られて滑り落ちる子どもに、何もしてあげられなかった。]
あぁ、泣かんで、泣かんで。
[空が泣き出すような雨を降らせる。
これは、誰の涙だろうか。
この子のものか、家族のものか。
この子の家族は、誰やろう。
お見舞いと言っていたのだから、きっと病に臥せった家族がおるんやろう。]
泣かんで…な?
今、綺麗にしたるからな?
[幼子の亡骸に掌をかざす。
白銀の光に包まれて、物言わぬ子供は姿を消した。
代わりにその場に遺るのは、月明かりを写した銀竜草のような、仄かな輝きを帯びた紫陽花一株。]
そうら、綺麗やろ?
あなたが、綺麗て喜んだ、お花や……
あぁなんで。
なんで、まだ泣くん?
[開いたばかりの紫陽花に、ぽつりぽつりと雫が落ちる。
それはまるで、花そのものが泣いているようで。]
あぁ、あぁ、そうやんな。
ひとりぼっちは、さみしいな。
おねぇちゃんにも、分かるから。
[ひとりでに花束のようになる、花手毬を両手に包み、口付ける。
それはまるで、むずかって中々眠らない子供を寝かしつけるような仕草で。]
可哀想やな、可愛いな。
せやな、ちゃぁんと、帰してあげるからな。
[ぽつ、ぽつと、村への道を辿るように、紫陽花の花びらが、姿を見せる。
例えばそれは、紫陽花の花束を抱えた子供が、いち早く家へ帰ろうと、走り抜け様花を散らしていったような。
それを見守り、“わたし”は微笑う。]
ふふ、元気やな、可愛いな。
**もあの位ん頃は、
よう走っとったっけ…
[“わたし”は、遠い記憶に想いを馳せる。
誰からも、“わたし”自身からも、忘れ去られた記憶に。
『どうして、どうして…おねぇちゃん!』
誰かの泣き顔が記憶にひらめいた瞬間、私は────、**]
【人】 釣り師 沼太郎あぁ、朝晩たまに咳の発作が出てしもうてのぉ (9) 2019/07/04(Thu) 10時頃 |
たえちゃん…?
[ 昔に食べた、 ――― 食べようとした紫陽花
[ 小さい頃から山が大好きだった。色んな所に行く前に、山の知識を教えてもらって、でもそれでも、こっそりと色んな所へ行った。
一度足を滑らせたこともあったが、持ち前の丈夫さでなんとかなった。 その時の光景や見たものは、思い出せないけれど。
運が良かった。
あたしはきっと、運が良かったのだ。]
[ 見た事がないはずの透明な紫陽花。
どうしても目が行ってしまう。あれは、…あれは。なんだっけ。]
…たえちゃん?
[ そう語りかけるのは頭の中でだけだ。
そう、それは、その透明な紫陽花に向かって。
泣き声が聞こえる。良く知っている気がする。だけど確信には至らなくて、声には…言葉には、できなかった。]*
────とぉりゃんせ、とぉりゃんせ。
此処は何処の細道じゃ?
天神様の細道じゃ。
ちょぉっと通して、くだしゃんせ────
よかったねぇ、おたえちゃん。
無事、辿り着いたんやねぇ。
知っとるよ。
わたしたちの見分け、つかんこと。
どっちでもおんなじやって、
きっと言うんやろね。
[少女には、紫陽花の株のそばでうずくまる子どもが、見えていたのだが。
ここにおるのに、とべそをかく子どもが。
寂しいと、袖を濡らす、たえが。]
可哀想やな、可愛いな。
そうやね、気づいてもらえんのは、寂しいな。
大好きな、じいちゃんやもんね。
ねぇ、おたえちゃん。
心配、
いらんよぅ?
【人】 釣り師 沼太郎
(99) 2019/07/05(Fri) 19時頃 |
【人】 釣り師 沼太郎朧、お疲れ様じゃ。 (100) 2019/07/05(Fri) 19時頃 |
[ 蹲る子供の姿はこの目には見えず。
ただ聞こえる声に、その紫陽花へと視線を送る。]
心配、いらんの?
たえちゃん、居るん?
これ 誰の声やろか。
……夕ちゃん?
[ 朝夕の区別がつくつかない、という以前に。なんだろうか、少しだけ、雰囲気が、…]
ゆうちゃん?
[ 違うような気がして、]
…
[ 昔、出会った、誰かに似てる気がする。
紫陽花へと送っていた視線は、夕顔へと向けられ、少しの間視線を留めた。]
[少女と本当に視線が絡んだのは一瞬。
けれど、少女がまた家の中へと視線を戻してからも、その眼差しは彼女をとらえて離さない。
見えない眼差しが、“笑みを浮かべた”。
その“笑み”は、どう見積もっても年端のいかぬ少女の浮かべられるそれではなく、
もっと言えば、18の年頃の娘が浮かべたそれで、
更に言えば、娘は“緋色の婚礼衣装を纏っていた”。
そんな姿はどこにもないのに、何故かその眼差しは、“そんな娘の浮かべた笑み”を幻想させた。
そんな娘は、どこにもいない。
どこにも。]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
sol・la
ななころび
下記の場所以外では、人狼議事内キャラチップ
の利用を許諾しておりません。ご了承ください。
議事総合トップ
人狼議事lobby
人狼議事morphe
人狼議事cafe
人狼議事perjury
人狼議事xebec
人狼議事crazy
人狼議事ciel
SoyBean
Sangria
@hello_giji
@7korobi