17 吸血鬼の城
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 23時頃
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>>2:351 [前方が騒がしい。扉を叩く女性と――]
あ、イアンさん! 探してたんですけど――えっと。 何かあったんですか……?
[あわただしい雰囲気に不安そうに問う]
(3) 2010/06/21(Mon) 23時頃
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[血を与えるのは女にとって初めてのこと。
兄と同じように、と。
兄の行為を思い出しながら牙を突きたてた。
サイラスの身に纏わる薬の気配を感じながら
女は血の甘さに酔う]
く……ッ
[それは、めくるめく一瞬だった。
淫らに表情を人前で緩めるなど、以前のその男には考えられぬことで……。
襲い掛かるのは、羞恥と人でなくなったという絶望。だけど、それよりも、痺れた脳髄は、]
渇いた……。
[そう、すぐに求め始めるのは、赤い、血液……。]
――…ふ。
[目の前の男の聲に思わず笑みが漏れる]
うまくいったのは良いのだけれど
ちょっと効き過ぎてしまっているかしら。
[白薔薇へと紅い双眸が向かうのを認め
困ったように首を傾いだ]
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>>8 ううんと…… [困ったような顔で何処と何処へ行ったか思い出しつつ] 僕、イアンを探してたら迷子になっちゃって…… あっちこっち行ってたんだけど、その人は見かけなかったな。 えーっと、あと覚えてるところで行ってないのは……食事の間、だっけ? [名前もうろ覚えで合っているのかはわからないけれど。確かそんな感じではなかったか]
(18) 2010/06/21(Mon) 23時半頃
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[何年ぶりだろう、
聲が増えた]
目覚めた……か
[離れた場所の同胞に、
満足そうな声音を向ける]
ぐぅ……
[頭に声が響くことにも慣れておらず、
また頭を振る。
そして、それが城主の声だとわかると、肩で息をしながらも、思案をし…やがて…]
――……渇く……
[搾り出すはやはり本能の呟き。]
く……くく
[加減もせずに力を注いだのだろう。
吸血の本能に襲われているらしい薬屋の聲
城主は事も無げに言ってみせる]
渇くなら、満たせばいい。
血が
欲しいのだろう?
[一時ならワインで誤魔化す事も出来るだろうが
其れを教える心算は、己には無い]
この城に招いた人間はまだ幾らも居る。
其処の従者は、お前の従者でもあるのだ
好きに使うが良い。
――………。
[ツキン、と。
また胸が痛む。
柳眉を寄せてふるりと小さく首を振るった]
――……従者、
ああ、従者ならば、
良い?
[吸血本能に理性を失っている今、
制止がなければ、手は白薔薇を摘み取ろうと動き始める。]
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>>32 え、あ。ちょとまって!僕も行くよ!
[走り出すイアンの後を追いかける。なにかただならぬことが起こっているのは感じた。まさか、いや、きっと――]
―廊下→食事の間前―
(41) 2010/06/22(Tue) 00時頃
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――お兄様が良いと仰られるなら
私はただ、其れを受け入れるのみ。
[女は俯き小さく聲を響かせた]
サイラス。
[人であるときの名を呼び、男を止める]
……血の吸い方は、知っているか?
間違えるな
あれは、未だ殺してはならん。
[かかる城主の声には、微かに反応する。]
殺しては……いけ ない
[ぼんやりと虚ろにそれは理解しただろう。]
そう、殺すな。
……アレの血を吸っても構わぬが
殺してはならぬ。
[幾度となく我等に血を捧げてきた
白薔薇ならば構わないと城主は告げ
けれど、殺すまでは吸うなと念を押した]
――…私のローズ
お前が嫌だと言うならば
私は其れを止める事もする。
お前の望みは、何処にある?
――…お兄様。
[城主の聲に頼りない聲が返される]
私、は………
[望みを問われ心の軋む音。
聲無く頭を振りうずくまる]
私のローズ……お前は何も我慢する必要は無い。
お前の望むままに
あれはお前が作った眷族だろう?
[彼女の心の内を知ってか知らずか。
心もとない聲へ、城主は優しく語り掛ける。
まるでひとの兄妹を錯覚させるような]
[血を飲み込めば、渇きは満たされるだろう。
代わりに戻ってくるのは、
人としての理性。
眸の色は、青色に戻って……]
我慢、なんて………
[滲む聲は兄の言葉を否定出来なかった。
けれど如何して良いのか分からずに
ただ途方にくれてしまう]
お兄様……
私は此処に居ても良いのでしょうか。
[優しい兄の聲に縋るように甘く頼りない囁き。
女は居場所を無くしてしまうのが怖かった]
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はあ、うう。
[もっと普段から体力をつけておくべきだったか。やや遅れて食事の間の前に到着する。]
……?
[食事の間の前に誰か立ちふさがるようにして立っている。――首輪をつけている。どうやら従者のようだ。]
ここでわざと道をふさいでいるっていうことは。 この中で、何か起こってるの……?
(71) 2010/06/22(Tue) 01時頃
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私のローズ
お前が此処以外に何処へ行くのだ?
[可笑しな事を言う
そんな風に笑い]
……お前は、わたしのもの。
そうだろう?
――…嗚呼。
そうね……、私は此処以外の場所を知らない。
お兄様の傍以外では生きられない。
[ゆるく目を伏せる。
言い聞かせるように繰り返される言葉]
私はお兄様のもの。
そうよね……、お兄様。
[聲には未だ覇気がなく頼りなさばかりが目立つ]
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>>77 ――食事の間……
[従者の言葉に頭をよぎるのは、昨日のこと、そして姉を喰ったと言ったあの銀糸の吸血鬼のこと。]
……っ。
[もう、遅いのか?それともまだ間に合うのか。]
(84) 2010/06/22(Tue) 01時頃
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そうだ、
お前は私のもの。
そして
新たに生み出した眷属は、おまえのもの。
[力関係を改めて教え込むような淀みない聲
熱を帯びているのは、食事の後ならば致し方ないもの]
憂いを帯びた貌も美しいが
……お前にそのような揺らぎを与えるものは
相応の罰が必要だ。
どうしたい、私のローズ
お前の望みを言ってみろ。
本屋 ベネットは、食事の間から漂ってきた血の臭いにうっ、と息をつまらせる。
2010/06/22(Tue) 01時頃
私はお兄様のもの。
[僅かに頷く気配が伝う]
新たな眷属は――…私の………。
[その言葉は最後まで続かずにふるふると首を振るう]
いいえ、全てはお兄様のもの。
私はお兄様が喜んで下さればそれで……
[殊勝な言葉を口にして儚い笑みを湛えた]
お前は、わたしのもの。
お前の物は、わたしのもの。
[くすくすと、吐息交じりの笑み。
虚しさが混じるのに気付かれても、答えはしない]
私の悦びか、そうだな
――…其処の人間だったものに、客人を襲わせてみたい。
共に閉じ込められたはずの人間が
同じ立場の人間を襲う――…
良い見世物だと、思わないか?
愛しいお兄様。
[そう紡ぐことでしか心を支えられない
兄の聲に宿る感情に気づきはしても
感化され虚しさを共有してしまうのみ]
それは愉しい余興となりましょう。
お兄様のお望みのままに――…
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……血の、臭いが……
[嗅ぎなれない鉄錆の臭いに口を押さえ。 おろおろと食事の間とイアンを交互に見て許可の下りた食事の間へ踏み入るべきか迷っている。許可が下りたということは――おそらく、もう手遅れだということ。 手遅れということは――自分はそれを見る勇気が、無い]
(112) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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