24 明日の夜明け
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―― 美術室 ――
[あの時起こったことは、どこか遠い世界のようだ
脳が、細かく思い出すことを拒否する]
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(0) 2010/08/10(Tue) 00時頃
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[サイモンが別れを告げた。
やっぱり、彼は自分の死期を覚悟していた。
あんなに死にたくないって言っていた。
なのに、最後の瞬間は奇妙に愛嬌がある、穏やかな]
[ホリーが別れを告げた。 自分の手に触れて、メアリーのことを心配していた。
なぜだろう。彼女も、死ぬって分かっていたみたいだ。
酷い怪我を、していた]
(3) 2010/08/10(Tue) 00時半頃
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[自分の隣でサイモンは倒れ伏し、連れて行かれた]
[自分の腕の中で、ホリーは苦悶の声を上げて苦しんで緑に溶けた]
[美術室に残るのは、緑に染まった自分だけ]
(4) 2010/08/10(Tue) 00時半頃
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(なん、で…………)
.
(5) 2010/08/10(Tue) 00時半頃
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[しばらくは声すら出なかった]
[この世界から一切の音が失われたように、 ただ喉を動かして何の音も出ないまま哂った]
(はは)
(ははっはあああははははははあっはははは……)
あーっはははははっは はははっはあああああああああ!!
[笑っているうちに、徐々に声が大きくなって。 最後は、いつのまにか絶叫になっていた]
[きっと表情はホリーの緑に隠れて分からない]
(6) 2010/08/10(Tue) 00時半頃
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[両の手を、握り締める。緑が手の中から溢れる。
膝をついて、頭を抱えて、丸くなった]
……俺が、ぁ、死なせたんだ。殺したんだ。
[ホリーがこうなってしまうのなら、サイモンを止めなければよかった。いや、もっと早くサイモンを信じて、もしくは即座にサイモンの首でも掻っ切って、ホリーの手当てをしておけばよかった]
[こんなにも無能で、中途半端な自分が、死ねばよかった]
[きっと、しばらくずっとそのままじっと動けずにいた**]
(8) 2010/08/10(Tue) 00時半頃
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―― 美術室 ――
[まだ、動くことは、立ち上がることは出来ない]
[もし誰かがここに来たならば、 緑をしたたらせて濁った瞳だけ上げるだろう]
[そうして、ここであったことをこんな風に告げるのだ]
……ロッセリーニは死んだよ。 俺が死ななかったから、俺のせいで、死んだよ
……フォークナーは溶けたよ。 俺が早く手当てをして逃がさなかったから、俺のせいで、溶けたよ
[それはあるのかないのか分からない話**]
(13) 2010/08/10(Tue) 07時頃
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[メアリーの電話がフィルの電話を呼び出す]
[いつもの七転パロッツ応援歌の着歌は流れない。 代わりに哂い声だけ呼び出し音として、響く。 それが取られることはない]
[もしかしたら、どこからか肉の焦げる匂いが微かに漂うかもしれない]
(20) 2010/08/10(Tue) 09時頃
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―― 回想 美術室 ――
[動けなかった。 何か大切なものを否定すればするほど動けなくなった]
[傷に薬品がもろにかかって爛れた手を見る。 痛みはある。肩も、足首も、痛む。 けれど、体全体が自分のものではないみたいだ。 辛うじて、体の痛みだけが自分をつなぎとめている]
[メアリーからの電話が鳴った。 取ろう。取らなければ。 頭のどこかが動く。けれど、その命令は身体に伝わらない]
[しばらく鳴って、電話は切れた。 ……体が変化したとき、元に戻るスピードが、どんどん遅くなっている]
[ようやく、ようやく形だけでも戻った頃。 最初に来たのはカルヴィンと、もしいるならテッドだった]
(31) 2010/08/10(Tue) 15時半頃
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―― 回想 美術室 ――
[ゆっくりと頭の指令で身体をどうにか操った。 ここであったことを>>13のように呟いた]
…………
[カルヴィンに聞かれた言葉に返答を紡いだのは、少しの沈黙の後。ゆらりと身体を起こし、座る]
……何、馬鹿なこと これを、皆を溶かしているのは「敵」だろ
ああ違うか。「桜」か? まあ、どっちでも同じだ
[表情はまだ上手く身体に乗らない]
(32) 2010/08/10(Tue) 16時頃
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鳥使い フィリップは、小僧 カルヴィンに続けて何かを言おうとした
2010/08/10(Tue) 16時頃
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……ルー 、
[ルーカス、どうしたって?]
[言葉は、こちらに来る足音に阻まれた。 音を聞く。怪我がないとは言わないだろう、それ。 でも、歩き方を聞けば、誰のものか分かる]
………よか、った ぁ
[長い長い安堵のため息。 声音にこもる感情の色とは裏腹に、瞳にも、表情にも生気はまだ戻ってこないけれど]
[メアリーとズリエルが入ってきた。 メアリーだけを視線は追う]
(33) 2010/08/10(Tue) 16時頃
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―― 回想 美術室 ――
[ぱしーん]
[渾身の力でひったたかれた]
……ごめ 悪ぃ
[驚いたように目を見開く。 叩かれた頬から、表情がゆっくり乗っていく。 瞳に、生気が、魂がゆっくり戻っていった]
いるよ、いる。 ……まも、る……?
[自分の実感とかけ離れた言葉。疑問がわいて、見上げた。 続いた言葉。歯を食いしばって、爛れた手を握りこんで。 無言でゆらり、立ち上がる]
(34) 2010/08/10(Tue) 17時頃
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[メアリーが泣いて、駆け出していく 言いたいことは色々あるが、何一つ言葉が出ない。 捕まえようとした手の動きは鈍く、空を切った]
…………ダメ、だとしても……?
[ああ、彼女に向かって自分への嫌悪や閉塞感を直接言葉にはしていないつもりだったが、やはり漏れてしまったのだろうか。 追いかける、という行動を脳が身体に指令する前に、彼女の台詞の一部が気になった]
[けれど、次の瞬間引き上げられる。 ズリエルに、一方的に怒鳴られた。
瞳の奥は、動かない]
(35) 2010/08/10(Tue) 17時頃
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―― 回想 美術室 ――
……うぜぇ
[ぽつりと呟いた。八つ当たりする余力などない。 面倒そうに吼える相手の手を払った]
お前に……いう資格、あんの
[カルヴィンたちがどうしているか、見る余裕はない。 呪詛を吐く余裕も―― 次に吐いたら、きっともう戻れない]
[動かない、と思った足はこれでもやっぱり動くのだ。 歯を食いしばって、爛れた手の肉自分でえぐるように握りこんで、メアリーの後を追った]
(36) 2010/08/10(Tue) 17時半頃
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―― 美術室 ⇒ ――
[去り際に聞こえた、カルヴィナの言葉]
………ばか?
[足をとめて、そう言った。 何せ、あの緑の融解が人の手によって引き起こされたなんて知らない。敵の一部だとしか思ってない]
……信じねぇで、どうすんの?
[瞼の裏に映るのは。 死にたくない、死にたくないとずっと言っていた後輩。推測でしかないが、自分の命と他人の命が天秤に乗っていても、自分の命を選べなかった彼]
[自分の命を大切にしないと、キレるメアリー。 自分の未来を、『ダメだとしても』と言った彼女]
[それっきり、何も言わない]
(40) 2010/08/10(Tue) 18時半頃
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―― ⇒ 屋上 ――
[歩く。足首は痛いが、もう気にしない。 それ以上に、体が重いことが忌々しい。 歩いているうちに少しマシになれば、駆け出して]
……上。
[閉めたはずの防火扉の音は聞こえなかった。 だから、上。走りながら彼女の行動を考えて……。 念のため、教室だけ覗いてから第一候補の屋上に向かう]
[だれか追いかけてきたろうか。 来るのなら、とめない]
………メアリー
[屋上の扉に手をかけ、引きあけながら小さく名前を呼んだ]
(41) 2010/08/10(Tue) 18時半頃
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―― 屋上 ――
[扉の向こうの人の気配。帰ってきた答え。 少し安堵した。呼吸と、身体を整える。 自然に滑らかに動けるように。表情を作れるように。
意識さえしていれば、もう、大分いい]
……ごめん。変なこと言って
[扉を開けて、メアリーの隣へ。 同じように、フェンスの前にしゃがみこんだ]
でも俺、今、ここにいるよ。 まだ、生きてる。全部メアリーのおかげだ。
[多分、彼女がこの世界にいなければ。 きっと最初の狼でさえ振り払えない。希望が食われたから]
死にたいわけじゃないんだ。
(46) 2010/08/10(Tue) 19時半頃
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[ただ時折。 自分が死ぬべきだという脅迫観念に襲われるだけ]
[それは、自分でもどうしようもなく]
(47) 2010/08/10(Tue) 19時半頃
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―― 回想 ――
[背中から聞こえるカルヴィナの声。言葉は返さない]
(……なんで、俺らん中に犯人いる前提?)
一緒に、すんなよな
[知らない、何も知らない。 自分たちの中に、ヒトデナイ力を持った人物がいること。 ズリエルの裏の素顔。それに伴った、カルヴィナの素顔]
[現状、自分の中で彼らは、 『人目のないところなら、 無関係の一般人を殴ってもいいと思っている人物』 のままなのだ。 誰からもはっきり誤解を訂正などされていないから。 あの騒動は、決して治まってなどいない]
(54) 2010/08/10(Tue) 21時頃
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―― 屋上 ――
[それからどんな話をしたんだろう。
ともかく、しばらくして、話が終わった。 それはもしかしたらいつものように自分がはっきりした言葉をいう事が出来ないせいかもしれないし、ただ自然に終わっただけかもしれない]
[メアリーの側からは離れないけど、けれど、誰かが来ても別に止めない]
(62) 2010/08/10(Tue) 21時半頃
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鳥使い フィリップは、若者 テッドが入ってきたのを認め、その雰囲気に首をかしげた
2010/08/10(Tue) 22時頃
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……ほんっとーに 唐突だな、おい
[相手の据わった目。まとう雰囲気。 思わず突っ込んだ]
[マァ待て、と無事な方の左手で制すと立ち上がる。 メアリーにとばっちりが行かないよう、少し離れた]
……理由くらいは聞く権利があるはずだ。
[心当たりはありすぎた]
(69) 2010/08/10(Tue) 22時頃
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[テッドの横にカルヴィナを認めた]
[目を細める。先ほど聞いた、荒唐無稽なはなしが蘇る]
……いや。いいや。 大体、分かった。来いよ、好きなだけ。
[自分とメアリーを、殺人犯と疑っていると聞いた。 冗談じゃない。復讐なら殴るくらいで気が済めばいい]
(72) 2010/08/10(Tue) 22時頃
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―― 屋上 ――
[テッドの紡ぐ理由に、おや、と首を傾げた]
甘えてる、ね
[ははと、自嘲した。 別に反論はしない。自己完結、と言われたことにも]
[まぁ、クラスメイトなのだ、助けたいと危険を顧みず飛び出した相手から疑われていると、メアリーに悟らせたくなかったのだからしょうがない]
そう、かもな? むかつくから、殴んのかよ。
……冗談じゃねぇ。月がいつ変わるかもしれねぇのに。
[爛れた方の手はさりげなく後ろに隠して、受身が取れるよう少し腰を落とした]
(75) 2010/08/10(Tue) 22時半頃
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―― 屋上 ――
いや、そこ反論したってしゃぁねぇし。
[厳しい視線を受け止めて、ぐっと奥歯を噛み締める]
っていうか、普通にそれは格好悪いだろ、
……そこは、何て言って欲しいんだよ
[自分の醜さも、弱さも、分かってる。 だからこそ、ざしざし斬られるのは、痛む。顔が歪んだ]
他人を殴ったところで守れるのかよ
(78) 2010/08/10(Tue) 23時頃
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―― 屋上 ――
どうしろ、って、いうんだ
[唇かんで、呟いた]
[テッドの台詞。大事なもの]
お前が、ソフィアにしたようにか。 自分の世界に閉じこもってる?
しょうがない、じゃ、ないか……っ 自分を守らないと、メアリーが悲しむ
そんなこと言うのなら、あの、囮行為はなんなんだよ
[言ってはいけないことば。 でも、何故自分が、そうまで言われないといけないのか。 殴られないといけないのか]
(81) 2010/08/10(Tue) 23時半頃
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[相手の拳がさっと上がって。 反撃する気は、ない。少しでも体力を残さないといけない。 左手で、受け止め、避けようと、弾く。
喧嘩などなれてはいないから、はじいた手の、指が痛んだ]
(82) 2010/08/10(Tue) 23時半頃
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―― 回想 屋上 ――
[誓うか、離れるか、どちらかを選べといわれた]
……っ
[口ごもる。だって、知ってる。 焦げ臭い匂い。人形みたいな体。否定した神。
何故だか説明は出来ない。誓うのは簡単だ。 嘘をつけばいい]
……ちかっ
[去ろうとするメアリーに決定的な裏切りの言葉を口にしようとしたそのとき、皆が入ってきた]
[メアリーが、去っていく]
―― 回想終了 ――
(97) 2010/08/11(Wed) 00時頃
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―― 回想 屋上 ――
[ズリエルやテッド、カルヴィナの軽蔑した視線。 走り去るメアリー]
………っ
[テッドが言葉を募らせる。理解は出来る。 なんで、自分は前を向けないのかと、はがむ]
[それが、守護神を否定する言霊を吐いて以降、徐々にこの世界によって奪われてしまった力だと知らないままに]
[泣きたくなった。それでも、必死で生きている。 自分の代わりみたいな泣声が聞こえて来てのは、そんな時]
(102) 2010/08/11(Wed) 00時半頃
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