147 書架の鳥籠
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( ほら、あなたの願い事はちゃんと叶ったでしょ。 )
[どこからか嘲笑う姿なき少女の嗤い声が 聞こえたきがした**]
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[獣よ]
[逃げも隠れもせぬとの言葉>>4:140] [心の中、確かに獣を呼ぶ]
[帽子を受け取り微笑む彼に胸が詰まり、 探偵の姿、見つめる男の目に薄らと滲むもの]
(5) sin 2013/10/09(Wed) 21時半頃
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亡霊…オズワルドを
[静かに、告げる配役と名]
ころせ。
[確かに紡いで]
[いざ! 彼の最後の姿、最後の声。 身じろぎもせず瞳に焼き付けた後、 瞑目と共に最後におくるのはエアーポーズ。
痛みは、探偵オズワルドその人へ]
(6) sin 2013/10/09(Wed) 21時半頃
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[帰らぬ帽子。帰らぬもの。 男は目を開き、獣が翔て行く先を振り仰ぐ]
…行け。
[知らず声、出るままに]
行け! ――――鎖を、断ち切れ ッ
[喉奥から声振り絞る]
[ ――バリン ]
[まばゆい光に意識手放すこと。 地を踏みしめる感覚手放すこと拒みながら]
[男の意識はそこで途切れる*]
(7) sin 2013/10/09(Wed) 21時半頃
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―目覚めの後、書架のどこかで―
[ホリーに誘われる書の場所>>4:142 開かれる傷。流れる赤。目が痛げに眇む]
それも守護の力の成せる技なのだろうかな。
[ぽつりと、傷を見てそう言って、 配役が離れ行く気配は感じるから。 きっとこれっきりのことなのだろう]
(11) sin 2013/10/09(Wed) 23時半頃
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君は家に帰るのかい?
[小瓶と本を受け取った後に尋ねたのは、 合間に聞いた話もあって>>4:145]
私は家に帰るがね。 使わせてもらうかどうかは、まだ考えているよ。
[グロリアの弟のことも含め。 一人分には多い血の入る小瓶を目の前翳して振る。 瓶のガラス面がふわふわと漂う蛍火を映す]
(12) sin 2013/10/09(Wed) 23時半頃
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[瓶を上着の内ポケットへ大事そうに仕舞う]
…ん、
[書は小脇に、瓶は胸に。 ふたつ持つ男の手が さらに強請るものは傷つけた方の手。 預けるまでは動かないといった態]
とびきり清潔だから外に出ても化膿はすまい。
[石けんの香りがするハンカチーフ。 ホリーの手首へ巻いて残して男は去る*]
(13) sin 2013/10/09(Wed) 23時半頃
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―書架の奥へ―
[男の足は書架の森へとさらに深く。 歩く速度に過る蛍火。さらさらと光の静音。 上着越しに小瓶を撫でる手はもの想う]
…君はどう想うのか
[魔法のように降って湧いた機会に。 魔法よりもあなたの努力に感心する――>>3:177 そんな彼女に、言えるのだろうか。 答え見つからぬまま足はあの時の場所へ]
(23) sin 2013/10/10(Thu) 01時半頃
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…、
[見慣れた書架の角。本は小脇に抱えたまま。 すぐに曲がらずに手を添え立ち止まる]
[誰かの願いの欠片に予感めく死者の魂の現れ]
[それでも、見届けた君は。 ――果たしてここに居てくれるのだろうかと]
――…グロリア ?
[いるんだろう? いてほしい。 呼ばわる名に願いを込めて、角を曲がる*]
(24) sin 2013/10/10(Thu) 01時半頃
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ぼ く 、は
も う
いい…… ん だ。
[途切れ途切れ、海の底にいるようにくぐもった声が探偵に届く]
て ぃ しゃ
を … …。
――宜しくね。
[その一言だけは、クリアに、影が色を持っていた頃のように届く
どうしても伝えたかったかのように]
一蓮托生、と…言ったはずだ。
[少女が人形に変わる姿が脳裏にはまだ残っていて。
あの時、
少女に手を伸ばしたのは、シメオンで
少女に手を差し伸ばさなかったのは、私。]
…いいなら、どうして顔を隠した。
だれかに見られたくないと思ったからではないのかい?
―― …無論、そのつもりだ。
[黒い影が誰であるか、
この聲で、レティーシャを呼ぶその愛称で容易に合点がついていく。]
シメオン君…。
いってしまうのか。
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―書架の中>>30>>31―
[とくりとくりと胸を打つ期待と不安]
[願いの糸たぐるように、 光の砂粒ふわり漂う床から始まる視線。 辿り行く先、白い指先。笑みが滲む。 流れ行くもの、絹糸の金糸雀。見開く瞳]
…、
[束の間、時が止まる]
(51) sin 2013/10/10(Thu) 23時頃
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[微か息をのむ音は、どちらのものか。 呼ばわる声に惚けた顔がはたと気づき。 泣き出しそうな顔におろりと瞬くもひととき。 受け取る言葉、瞑目と共に抱いて浮かべた笑み]
…、うむ。 終わったよ。
[告げて向かいへ跪いた。 同じ高さに置く眼差しは柔いもの]
(52) sin 2013/10/10(Thu) 23時頃
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これは、君が守ったもののひとつ。
[そと両の手を取り、ゆるく腕を開かせた]
私はちゃんと、生きているよ。
[引き寄せ抱く腕の中。 伝えるのは確かな温もりとここにある命*]
(53) sin 2013/10/10(Thu) 23時頃
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――……。
[どうして、それに返す声は無い
つまり、否定の意思も見せないということ]
よ か
っ た
……。
[そのつもりだ、そう聞けてきっと影は嬉しさを覚えただろう。
――ごぼり、ごほ……――まるで海の底へ沈んでいくように、声は届きづらくなっていくけれど]
… … ん
みん … と
ち が う 、とこ ……。
[なんとなく、それは分かっている。
彼らとは行けないし、行くつもりも無いのだ。
弟から始まり、何人もの大切な相手を自分のせいで、或いはその手で死なせてしまったのだから]
だめだよ、
……だめ。
[その手は悪魔に触れる為にあるわけじゃないんだ。]
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―書架の中>>60>>61>>62―
ん、守れたさ。…うん。
[喜びを頷き聞く声音静かに。 本は小脇からずり落ちて床にその身を横たえる]
ああ、無事だよ。…私は、無事だ。
[代わりに失ったひとの背を抱く]
……
[言葉も温もりも。 喜びを分かち合い、心満たして嬉しいはずなのに―― 肩口へ乗せられる頤。彼女の後ろ頭を撫ぜる。
抱擁の向こう側。こちらの顔は彼女から見えない]
(71) sin 2013/10/11(Fri) 01時半頃
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[彼女のさいごの願いほろりと明かされ]
――…、
[――あの静かな最後の時間が思い返さる。 願われていたのは。少し、気づいていて。 なんとなくだけれど。少し、そんな気がしていた]
神様に、どんなお礼をするのかね?
[伏せた目の邪魔にならぬ声量。 側頭に頬を寄せたまま尋ね聞く。
尋ねの合間も男の指は髪を梳き、 編み込みの絡みを解いてゆく。
さらさらさら と、零れる金糸雀]
(72) sin 2013/10/11(Fri) 01時半頃
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…たとえば。
[やがてぽつりと]
神様がもうひとつも魔法のように叶えてくれると… そんな風に言ったら君はどう想うか。
[そんなことを*聞いた*]
(73) sin 2013/10/11(Fri) 01時半頃
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[ 皆と違う場所。
墜ちていく声は拾いづらく]
――…、また 逃げるのかい。
私の前からも消えて、誰の前からも消えて…
逃げる事で罪を背負うと、 いうのかい。
[疑問符のつけず語尾を上げない聲。]
シメオン君、
[説得する言葉はいくらでも出てくる。
敢えて自分の身の上話もしてこなかった。
あるはずのない命の天秤にいくつも命を乗せてきた。
同情を誘うつもりなど毛頭なくて
唯、思うままに言葉にするなら ―――]
…シメオン君。
君が逝ってしまっては、私は さみしいよ。
――……。
[それは違う、けれどそうとしか見えないのだろう。
敢えて何も言わなかった、理解される必要は無いと、自分のことなど忘れればいいのだと。
やがて諦めるだろうと思っていたから]
……悪いね。
来世があるなら、こんな大人の言うことを聞かない子供は持たないようにね。
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―書架の中>>74>>75>>76―
[抱くグロリアが零す笑みと久しぶり]
ならば私の役得だ。
[撫でつ男の声も笑う。 胸に過るさいごのひととき想う手は背に添う]
――…ああ、
[まるで、ゆるされぬと、秘める声に零す吐息。 彼女はきっと彼女ゆえに自分をゆるさぬまま]
それは、困る。…困ってしまうよ。
[途方に暮れた声は、苦笑を添えて] [震える肩をぎゅっと抱く]
(97) sin 2013/10/11(Fri) 23時頃
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