217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】
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『例え治せたとしても、治せるとしても』
[鬼気迫る男の中で黒蛇は顔を愉悦に歪める。]
『吾等が邪魔する故、させぬがな』
[くつり、くつりと笑い声を漏らした。]
『しかしまあ、蛇とは動きが悪いものよ』
[そういうなり、黒蛇となっていたものは形のなき物に変わろうとするが。
光のせいでそれが叶わぬ。]
『ええい、忌々しい!!』
[このような物、さっさと捨ててしまいたい。
さすれば、自在に形を取ることができると云うに。]
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[まどろみに歪む現実、霞む夢。 強く繋ごうとする意思のように、その小さな手が動いてぎゅっと。
瞳の奥に隠したのは、重なる影を絡め取る鼠黐。 身体と同じ、白い花。
はらりはらり、音もなく。 赤に閉じ込めた午の周りに降り積もる。]
(.................黍炉さんは違う......)
[微かな囈。
どうして。 こんなこと。私は.........]
(30) 2015/02/15(Sun) 08時頃
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[元より長けている感覚がより鋭く。 それは子の意思を問わずに。 けれど、その力は小さな身体には負担が大きい。
先程のように、周りの全てを絡め取ろうと暴走してしまえば壊れてしまうだろう。]
(黍炉さ...............)
[けれど、集会所に近付くにつれ、否応なく感じる何かを。 口にしてしまえば、本当になってしまいそうで。
後に神様の身に起こることを知らぬ子は夢の中。 小さな胸にそれを留めるのだった。**]
(31) 2015/02/15(Sun) 08時頃
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-集会所-
[柔らかい座布団の上、微かな寝息に上下する白い身体。 傍らにいる申の気配は夢の中でも。 触れる指先が暖かい。>>14]
(猿く............)
[白鼠の尻尾が微かに動くが覚醒には遠く。 近くに遠く、聞こえる声が神様の異変を告げる。]
(32) 2015/02/15(Sun) 09時半頃
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[.......................神様が?
私の.....せい.....?
私が... 私が、すぐに伝えなかったから.......
胸騒ぎ..... 気付いていたのに...
私が........... ごめんなさい...... ごめんなさい...........]
(33) 2015/02/15(Sun) 09時半頃
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ごめんなさい―――――
(34) 2015/02/15(Sun) 09時半頃
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[報復を――と、黒蛇は言う。
応―――と、黒亥は答え。]
『邪魔なのではないか?』
『その、神の力にも似た片鱗は。』
[引き剥がしてやろうかと、誘いの声は甘く。**]
ショコラは、タルトが傍を離れていく気配>>15に小さく唇を動かした。*
2015/02/15(Sun) 09時半頃
ショコラは、黍炉が神様を座敷に横たえる頃>>23には人型に戻り、夢から目覚めることだろう。**
2015/02/15(Sun) 10時頃
『嗚呼、忌々しい 忌々しい』
[器を蝕むことはおろか、形の自由もないとは。
甘美な誘惑が聴こえれば、思わずすがりそうになるが。]
『すれば、此度は汝が』
[吾と同じ様にならぬかと、同輩の身を案ずる。]
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双子........
[眩む視界に、首を捻る寅の声。>>1:131 ここに来た時、怪我をしていたようだったから、無事だと聞けばほっとして。 今も未だ、区別が付かないで居るらしいことにはくすりと笑う。]
そうだね....、うん... もう一人の私、かもしれない.....
[引かれた手の温もり。
私じゃない、もう一人の私。*]
(35) 2015/02/15(Sun) 11時頃
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-集会所-
................
[子はゆっくり目蓋を開ける。 同時に淡い光が身体を包み、その姿はひとのそれ。 身体を起こし、近く、置かれたお守り>>12に気付けば、手を伸ばし胸に抱きしめた。]
(42) 2015/02/15(Sun) 15時頃
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『…んなことねぇよ。 ……、おいら程じゃねぇけど、しょこらもその…。 可愛い方だと思うしよー…。』
[背中越し、頬を掻く姿。>>0:215
――――うそつき。 だって、猿くんは紅羽さんのような大人っぽいひとが好きでしょう?]
『笑えばいいじゃん。スカーッとするさ。』>>1:76
[笑ったら、この嫌な"気"もなくなってくれるかな?]
(43) 2015/02/15(Sun) 15時頃
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『笑って欲しいんなら自分が笑えばいんじゃね? 少なくともおいらはそう思うよ?』
[怖いよ。 皆も見るのが怖い。 疑うのが怖い。 怖い。]
(44) 2015/02/15(Sun) 15時頃
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探さ、なきゃ........
[子は立ち上がる。*]
(45) 2015/02/15(Sun) 15時頃
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―神が倒れる前―
[幾ら忌々しい光が在れど、此れだけ蝕めたのであれば、神を眠らす呪い位は掛けられようか。
黒蛇は思うや否や禍々しい気を、眠ろうとする神へと放つ。
それは神の中へと入り込むと、深い深い眠りにつかせる。
まるで呪いのように。
思ってたより巳と同化していたのか、それとも同輩が手を貸したのか。
神を眠らす事に成功した黒蛇は、満足そうに舌を出した。*]
『神に選ばれし十二の支』
『それらの力も、やはり強い』
[とはいえ神よりかは些か弱い。
構わぬ。生身の人間より強いならば、構わぬ。]
『だがやはり神の支』
『吾等を邪魔するか』
『ならば仕方あるまい』
『一人づつ、眠りの呪いを掛けてやろうぞ』
[邪魔をしなくなるまで。必要ならば全員を。
神と同じく、深い深い眠りの底へ落とそう。]
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................私も、感じました..
[神様の御許、集まる皆にちかづき、巳に>>51寅に>>58午に>>61子は告げる。 震える気持ちを胸に隠して、強く握りしめるは贖いのお守り。]
......私...
[怖いよ。 いやだ。]
(65) 2015/02/15(Sun) 18時半頃
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その"気"、探せます.......
[助けて。]
(66) 2015/02/15(Sun) 18時半頃
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[子は相反する心の悲鳴を必死に抑える。 警戒心が強く、用心深い鼠の行動としては皆の前。 力を口にするのは不用意に過ぎる行為。
備わる性を懸命に乗り越えて、顔を上げるその瞳の色は意志を宿した澄んだ、紅。*]
(67) 2015/02/15(Sun) 18時半頃
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『して同輩よ 此奴等の中で一番厄介な者は誰か判るか?』
『一番邪魔な奴等から、吾は呪いを掛けようと思うのだが』
[黒亥に尋ねた後、忌々しそうな顔をして付け加える。]
『……嗚呼、だが卯だけは止めてくれ 巳がかなり意識しておる故に』
[巳は礼儀を尽くし、恩あるものには恩にて返す事を矜持としている。
集う前に貰った兎餅。礼を言えておらぬ事を気にして居るらしい。
取り込もうとしたがどうしてどうして。
巳の意思が強いのか、どう足掻いても其の矜持を呑み込むことが出来ず。
卯に呪いを掛けてしまえば、吾の手元を離れ、己の悪事に気付き、己に呪いを掛けるやもしれぬ。
其だけはさけねばならぬ。故の頼みである。]
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-集会所・座敷→廊下-
[その場の皆が、信じようと信じまいと。 一度に全員は無理だが、時間を置いて一人ずつなら出来ること、先刻、意識的にでは無かったが午を視たことを伝えれば、精一杯の感情に少し席を外したいと申し出る。]
..............けて。
[ぽつり。 静かな廊下に零す本音。
一人になれば、弱い心が溢れて。 そんな時、気付いたら目の前。 名を呼ぶ申に顔をあげる。>>60]
(68) 2015/02/15(Sun) 19時頃
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..........でも、未だ泣いてないよ?
[子は弱々しく笑う。]
(69) 2015/02/15(Sun) 19時頃
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『やはり憑いておったか!!』
[申告してきた清々しい、厭らしい気に顔を憎しで歪める。
だが、それも僅かな刻。やがてくつり……と笑いだした。]
『……だがまあ良い 探す手間が省けたと云うもの
炙らずとも出てくるとは……くくく、愚かな娘よ』
[見つけ出される前に、落としてしまえ。
そうは思ったが、すぐにその考えを改める。]
『吾等に与する者であるならば、そう易々と落とせぬか……
同輩よ 彼の者は如何んとするや?』
[落とした者であるならば、本にそうであるか吾には判るのだが。落とした後で気付いても、それは最早意味無きこと。]
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......おかしいね...、やっぱり―――――、..っ
[長く作れない笑顔に俯けば、ふっと身体が温もりに包まれる。>>71 その習性を知る由もない子は赤に染まった瞳を見開いて。 けれど、その温もりに堰を切ったように大粒の涙が溢れ零れた。]
私...怖いよ..... 誰も疑いたくないのに.......
[座敷でした力のことを話す。 一人で泣くなと言われれば、ごめん、とその身体に手を回して、またひとつ。 大粒の涙を床に弾かせた。]
(74) 2015/02/15(Sun) 20時頃
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...ぇ
[しばらくそうしていれば、次に申は身体を離し、子の手を取る。>>72>>73]
本当に? 猿くんも同じ....、なの?
[少し青ざめているような気はするが、眩しい程に嬉しそうな笑顔。 告げられる言葉は子の孤独に冷え切った心を溶かして。]
二人で.......
[胸に刻むように繰り返す。]
(75) 2015/02/15(Sun) 20時頃
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[二人で探せば――――。]
うん。
[大丈夫、きっと。*]
(76) 2015/02/15(Sun) 20時半頃
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ショコラは、ようやく、作り笑顔じゃない笑みをタルトに向けたのだった。**
2015/02/15(Sun) 20時半頃
『何を心配することがある?』
『――のぅ、同輩よ。』
『永い時を経て、忘れたか?』
[忘れたか?]
『我らの「罪」を。』
『神が定めた、「罪」を。』
[罪の重さでいうならば、黒亥の方が重く。]
『………なに。亥は既に我のもの。』
『安心すると良い。』
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