25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[届いたのは生殖管理センターからの密書
……知己からの手紙としか取れないそれには
暗号で、この祭りが繁殖の場であると
確定できたとの知らせ。
青年はそれを受け取れば……大儀名聞は揃ったと
……あの人を殺した獣を狩るための……
常の笑顔とは違う暗い笑顔を作る]
…あぁ、そうか。
[思い出したのは血塗られた記憶。
あの椿の花は主の下へたどり着けるはずもないのだと。
何故ならば…
白い指はそっと、帯の上からするりと己の腹をさすった。]
[そして、使用人を装った密偵は、別に封書を差し出してくる。]
ごくろう……
[人気のないところで、それを開け、中を確かめる。
それは、この花祭がクロであることを告げたものと、今回の仕事の相棒の名があった。]
ふん…そういうことか。
化けたものだ。
[そして、見終わると、耳裏に貼り付けておいた管理センターから支給された通信装置を起動させる。]
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[広間の客席の末席へと陣取れば、舞台にて歌う雛鳥の声。 庭で戯れに歌っていたものよりも、僅かに艶めいた声に思わず目を見張る。]
のう、旦那。 幾人かは酷い雑草が混ざっているようだが、あの子は…よいね。
[寄ってきた肉風船の主催に酒を注がれつつ、言う声は他の花にも聞こえるか。]
(9) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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雑草はどうせ、腹の足しにでもするつもりなのでしょう?
[勝手知ったる慣れたる事と、醜い主催に囁いて。]
あぁ、噂のみ聞く空蝉の君も、ただの空っぽであるのならあなたの脂肪に変えてしまいましょうかね。
[広がるそのにおいは、密やかにけれど確実に
じわりじわりと白を朱に染めていく]
――…愚かなこと。
私を宴に呼んでおきながら、愉しめと。
[硬質な少年の声でなく
艶を帯びた、色香含むこえ。
パチリと
脳裏で響く音に僅か意識を向けた]
さて
[それから聞こえるもうひとつ]
――…其は誰が事ぞ?
[年経ても衰えず、更に容姿が艶を増すのは。
花上がりの分際でここまでの地位に登りつめたは。
こうして祭に花を添えながら、子を欲しいと乞う貴人達のために胎を貸していたからゆえか。
一人食い、一人産むそのたびに、色香を艶を増していく。
それはまるで、遠い昔に死に絶えた男の対たる生き物に近づいていくかの如しこと。]
|
お前は本当に、よく躾けられているね。
[雛鳥を褒めて見せるのは、他の花への挑発か。 宴が進み興が乗れば、己の琵琶と合わせたいとも思う。]
(16) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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[主を持たない花は、主のかわりに上司を得る。
チャールズの死の現場、無残に食い荒らされた身体
それを目撃した青年、センターの人々、
隠蔽される事実、
復讐を糧にその事実へ必死で追いすがった。]
[その結果が、現在である]
……刷衛殿……?刀を取りにいけず申し訳ない
寝すぎて時間を失した。
それに昼間は運んでもらったそうで……
重ね重ね申し訳ない。
[包帯は便利だ。その下に通信器具を取り付ければ
気付けるものはいないだろう。]
…食うには頃合いの柔らかさではあろうがね。
[隠した扇の裏側、呟く声は微か]
種をつけぬ花など、肥やしにしかならぬ事。
[く、と喉奥で哂うは声なき声。]
新しく、面白いものが来るというのは、そなたの事か?
[噂は半分が真実
半分は彼らが見た幻
身に宿る其れを
少年自身自覚の無いまま飼っている。
多彩な芸は全て種付ける相手を引き寄せるが為
花は
ときに牙を剥き、生を喰らう]
なるほど、寝すぎか。
まぁ、いい。
しかし、この場がクロとはな。
とりあえず、今は気になる件がある。
[そして、明の件を打ち明ける。
主を探す花がいると、しかし、その主は、居所がしれぬ。管理センターのデータの場所も不在だということ。]
考えたくはないが、
その主が巻き込まれた可能性はある。
[しかし、明自身がもうこの世のものではないことには気づいてはいない。]
――さて?
[吐息混じる短な応え。
暗く翳りを帯びた冬色の瞳を細め、薄く哂う]
まこと申し訳ない。
……ただ、これで私が太刀を求める理由も
さらにお解かりになったでしょう
獣が牙をむくならば切り伏せるまで。
[人狼病発症者はまるで人ではないといわんばかりに]
……アケノシン……の主ですか……
確かにこの豚狼の屋敷に
あのような儚げな花を
活けたまま放置は無用心すぎますね……
[同じく儚げな花が
既にこの世のモノではないとは知らず]
ともあれ、今日の宴がすみ次第そちらの部屋へ向かいます
|
[傾ける杯は、甘い柘榴を漬けた酒。]
張り切って歌いすぎては、喉が渇いてしまうよ?
[こちらを見て健気に歌う雛鳥を手招いて、褒美に果汁でも与えようか。]
(28) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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なるほど、太刀が必要な理由ね。
なれば、やはり選んでもらわなくてはならないな。
[宴が終われば訪ねる旨は了解する。]
精々色っぽく来て貰おうか。
ふふ、冗談だ。
[そんなからかいの言葉も添えつつ。**]
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色の白いは、それだけで珍しい…とは些か時代遅れかと。
[邦夜と視線を交わしつつ、口をつくのはやはり苦言か。]
こんど学院に小言を言いに行かねばなりませんね。 せめてまともに挨拶のできるくらいではないと、外へ出すのは師匠の恥ですよ、と。
(34) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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ええ、飛び切り切れ味の良いものを
選ばせていただきます。
[続いた言葉には小さく哂う]
そちらこそ、艶やかにお待ち頂ければ
太刀の分抱いて心地よく致しましょうか?
[口調こそ畏まったものだが、こうなれば花と主ではなく
仕事仲間。冗談に返す冗談も大概だった*]
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お前の歌は心地よいが、張り切りすぎて喉から血を吐くのは見たくはないよ。
[行儀良く杯を受け取る様子に目を細めて。]
皆であわせるのも、良い趣向だと思うよ。 手習いをなぞる以上の技量が必要になるものだが。
[先に立って声を掛けるイアンの様子は、昔と同じように思えて。 それゆえにその視界を塞ぐ白い布が喪章に見えて痛々しく思う。]
(37) 2010/08/03(Tue) 02時頃
|
|
芸を見せる気がないのなら、酌をして回るくらい気は使えぬの?
[そろそろと逃げようとする短い秋色の髪の姿に、かける声は小姑のようか。]
噂の君だとちやほやされようと、お前はいまだ咲きもせぬ花だ。 誰も買い手がつかねば、安宿で誰にでも股を開くようになるか、内臓を売られて捨てられるだけですよ。
(42) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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───……。
[聞こえる言葉達に、僅か眉をひそめた。
本郷の家は、家系として狼憑きの血筋である。
親から子へ、子から孫へ。孕み、孕ませ、其の血の恩恵によって
裏社会でも表社会においても高権力者の立場を一層濃くしてきた家だ。
ただ、次の当主の性は、判明しない。
酷く不安定なのか、誰もまだ
答えを、知らない]
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[聞こえてきた笛の音に、瞠目する。 音が似るは同じ笛だからというだけでもない。 ならばこの笛の主が、彼の人の夢を継いだ子なのだろうか。
先代ほどの艶はなくとも、その音色の真摯さは耳に心地よいものだ。]
(47) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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それは、失礼。 手負いでは仕方がありませんね。
[溜息一つ。 酒が入ると些か口煩くなるのは玉に瑕か。]
ですが不注意も、お前の実力のうちと見られますよ。 ようやく見せた芸がそのそそっかしいドジではあまりに笑えぬ。 お気をつけなさいな。
[ふと、気を利かせた下男が愛用の琵琶を持ってくるところか。]
(54) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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ほう?
[若桜の様子に、すいと目を細めて。]
彼が怪我をして役に立てないのなら、お前が彼の分まで皆を楽しませてごらんよ。 見たところ、大事な友達…
いや、コレは恋人同士かい?
(55) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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[歩むたびに響く痛みは、少しずつ少年を染めていく。
じくじくと響く痛み、滲む朱
与える悦びを、知っている。
交える悦びを、知っている。
黒い塊にしか見えぬ彼を
翳った暗い瞳はしっかりと映している]
――私がこの身を使ったなら
海に巣食う魔物の唄でも
安宿では味わえぬ舌技でも披露してやれるがの。
ふふ……ふ
[たとえ少年に自覚は無くとも
生まれながらに、立派な男娼であった。
この時代で望まれぬ子が何処から出てくるのか
――…元を辿れば少年の血族に行き当たる。
血を受け継いだ親に放り込まれた花の為の学園は、良い餌場。
記憶の無いまま、幾度ひとを魅了してきたか
そうして作られた噂の真相を、少年自身知りはしないけれど]
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[貪欲に競い合うくらいが好ましいと思うは、己の通ってきた道ゆえか。 煽る事で実力を引き出せれば、それはそれで面白い。
後に続くものは、正攻法で先達を食い殺すくらいでなければ。]
(63) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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