1 とある結社の手記:6
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[広間の暖炉の火は、置き火がちろちろと燃えるだけで、 夜半に冷えた空気は上着を着こんでいても、まだ寒い。
肘を身体にひきつけるようにしながら、歩を進めた。]
───サイモぉン?
[けぶるような朝日を雪が反射して、 窓の白い明るさが、室内の暗さを引き立てていた。]
(@0) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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[そのとき、どうして、名前を呼んだのだろう。
一歩一歩近付く毎に、何かを感じ取ったのか、 嫌な予感が少しずつ膨らんでいく気がした。]
…起きてるぅ?
[相手は、ドアの向こうだ。 聞こえているかどうかもわからない、 無駄ともいえる声をかけながら、ドアの前に立つ。]
(@1) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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――――……。ちょっと、
[扉の前まで来ると──僅かに息を飲み、 サイモンの部屋をノックした。]
…サイモン?
[―――――返事は無い。]
(@2) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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──"幸ぃ"、占い師さんがぁ、 このグループには居るよぅだからぁ
ここにいる皆の協力の下で、『人狼探し』を、してちょうだい。
[甘ったるい癖に──どこか平坦な、]
ただぁ──…
…、二人から人間だ、って判定を受けても、 外にだしてあげるわけにはいかないわ。
[結社員の女の声は、冷えた朝の空気の中によく通る。]
(@3) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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───反論は受け付けない。
[皆を集めた場にて、猟銃を持った女は、説明を続けていく。]
(@4) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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ああ。
それと、 もし。
サイモンが殺されても、 まだ── この中に人狼がいるかどうか疑わしい、って 幻想を抱いている子がいるなら、
──どうぞ。
[ふ。と、肺腑に息をためて、結社員の女はゆっくりと周囲を見回し──嫣然と微笑む。]
(@5) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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まだ、彼の部屋に遺体があるわ。 あれが──、人の手になるものかどうか
……直接、確認してくださってもかまわないわ。
[にっこりと圧をもった笑顔を貼り付けて、結社員の女は、 廊下の奥──相棒の男の部屋だった方を指し示した。]
(@6) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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水商売 ローズマリーは、一度、ゆるやかに灰味かかった青碧色の瞳を伏せ
2010/02/21(Sun) 06時半頃
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…コルクボードの方はぁ、以後もあたしが対応するけど、 集会場に常駐するつもりはないから、 質問や要望へのお返事が遅くなっても、恨まないでねぇ?
たとえばぁ、
そこにある、ねぼすけさんのご要望には──、 …お答えできなくなっちゃったみたいなコトもありうるわ。
[コルクボードの上、サイモンの占い先の希望が書き付けてあるメモに、視線を流すと、くすり──皮肉気に笑う。]
(@7) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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──さ。それじゃ、朝一からの説明は、おしまいよぅ。
[顔を上げなおす頃には、昨日とは変わらぬ調子。]
集会場の中で節度を守ってくれるなら、 自由にしてくれてかまわないわ。
以上──、解散。
[そこで説明は終わり──と。かツっと床を踏み、踵を鳴らすと、 質問を受ける間も取らず外へ向けて、歩き出した**。]
(@8) 2010/02/21(Sun) 06時半頃
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―深夜―
………………。
[自室のベッドの上に蹲る。
未だ少年は眠らないままでいる。
そこから凍える冬の景色を見上げるのは、
仄かに赤みがかった丸い瞳。
空は、何処にいても、繋がっていると―――……]
……父さん。
[白い小さな指先が包み込むのは、手紙の束。
父との唯一のつながりを示すもの]
[少年からの手紙は、いつも沢山。
封筒に収まりきらないほどの、長い文章。
父からの手紙は、いつも簡素。
封筒に1枚だけの便箋に綴られた、短い文章。
それでも良かった。
父との繋がりが残されているだけで、救われた。
まだ、頑張れば、彼の元に戻れるのだと。
――――年を経るに連れて、
次第に手紙の届く頻度が減っても。それでも、……]
[かたり。
耳に届く物音は、
結社員の男が集会所に戻ってきた証だろう]
…………。
[彼に人狼だと言われれば――、
自分もヤニクも、きっと殺されてしまう。
だから]
[少年はそっと机の上に手紙を置きなおすと、立ち上がる]
―サイモンの部屋―
[夜の闇に紛れて廊下を歩く姿に、音は無く。
するりと目的の部屋に入り込む。
彼は、気づいただろうか。
それとも、気づかなかっただろうか]
サイモンさん。
[少年は結社員の男を見つめながら、薄っすらと微笑んだ]
さようなら。
[おそらく、
サイモンが少年の別れの言葉を聞くことは無かった。
月の出ている白雪の上でならば毛並みが栄えるような、
一匹の小さな銀狼。
それは最初に微笑んだのとほぼ同時に、
彼の胸を一切の躊躇無く貫いた。
舞い散る赤色は、色さえ違えば、雪のよう]
…さようなら。
[既に事切れた男へと、
《人狼》は微笑みながら別れの言葉を]
[その場にヤニクはいただろうか。
彼は少年の姿を見て、何か言っただろうか。
いずれにせよ、
赤く染まった掌を見つめる小さな人狼の瞳の中に、
何らかの感情の色を見つけることは難しかっただろう。
其処にあるのは、無。
プラスもマイナスも無い、空洞のような感情]
…………。
[ヤニクがいたならば彼の方へと顔を向けて、
ことりと首を傾ける。
暫くしてから、ゼロの上に微かに笑みを上乗せして]
いただきましょうか。
[酷く、あっさりとした言葉。
少年はその日初めて、《人間》を口にした**]
[まさか、新しい占い師の人が来たなんてことは……]
[夜は全然平気だったのに、虚弱な体は自らが殺めた死体に、
まるで拒絶反応を起こすようだった。
いや、昨日あまり眠らなかった所為もあるのだろう。
きっと、そうに違いない。
そう自分に言い聞かせつつ、静かに目を閉じる。
―――…もう少しだけ、眠ろう]
[目覚めれば、きっと。
*逃げられない現実が、横たわっているのだから*]
−深夜・サイモンの部屋−
[口元にはいつもの笑みがあった。
だが眼光は、まるでサイモンを突き刺すような鋭さだった。
彼と目が合う。彼が心に悪魔を呼び込んだことを知る。それで十分だった。
自らは姿すら変えようとしなかった。
恐怖で身体を動かせないでいるサイモンに、カルヴィンが襲いかかる。
その一部始終を観ながら何も言わない。ただ、食事を始めた彼の毛並みを一度だけ撫でてやる。それで十分だと思った。そして静かに部屋へと戻った。]
…カルヴィン。
お前は、友人を食う事が出来そうか?
[素っ気ない。それだけに深刻な思いを隠した問いかけを、囁いた。
敢えて昨夜の事に触れない。そんな暇はない。そう言いたげだった。]
―――友達を、食べる…?
[ぼんやりとした意識の中、
耳に届いてくるのは同属の囁き]
僕は……。
[ぎゅっと自分の手を握り締めた]
………、僕は人狼ですから。
そのときは俺が殺してやる。
サイラス…。随分と効率の良い占いをしてくれたものだ。
厄介だな。
[忌々しげな響き。]
結局は…
ここに居る奴等全員を喰うか…殺す以外にないのかもしれない。
だが結社員も居る。あまり派手な動きは出来ないが…。
[カルヴィンの応えに、自身の困惑の一部を独語するように語った。]
……………。
[此処にいる者を全員食べるか。…殺すか。
そうでもしないと、生き延びれないのか。
そうすることで、生き延びれるのか。
視線は一度ぐるりと、広間全体を見渡す。
ずっと一緒に暮らしてきた、村の人たちだった。
あぁ。なのに、どうして―――]
…ヤニクさんは、そうする心算、なんですよね。
[生きて、ここから、出ると]
――――…まぁ、《人狼》なら。
人狼であるというだけで、
きっと、近づきたくない対象なんでしょうね…。
[淡々とした呟きに、微かに滲むのは寂しさか]
お前は違うとでも言うのか。
[不愉快そうな声を隠そうともしない。]
サイラスは命拾いをしたな…。
いや…。ウェーズリーが何を言い出すかにもよるが。
忌々しい…。
あの猟銃に敵うならば、今すぐにでもこの広間を血で染めてやるものを。
[そこに独語のようなカルヴィンの呟きが聞こえる。]
お前の父君ならば…誇りを持てとお怒りになるだろうな。
[偲び笑うような、からかうような笑い声が続いた。]
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