202 月刊少女忍崎くん
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いつの間にか私のこと色々と知られてたの。
[ こっそりしてたのに把握されていた、という意味なのだが。 変な誤解を与えそうな台詞である ]
お化け屋敷、人気あるみたい。 リピーターも何組か居るんだって。
[ 合間で小耳に挟んだ話を、嬉々として語る。 そういえば氷見山のクラスの企画はどんなのだっけ、と軽く説明を受けて、用があるらしい榊原に連れ出される彼を見送った ]
(42) 2014/11/15(Sat) 16時半頃
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[ 真弓に写真の進捗を尋ねられれば>>2:177、そういえば新聞部企画だっけと思いつつ ]
うん、けっこう撮れてるよー。 こんなに近くで撮れたのは初めてだなぁ。
[ なんて、嬉々として軽く内容を見せながら。 その大半、というよりほぼ全部が氷見山だ ]
真弓ちゃんはどうだった?いい感じ?
[ と、話に(主に聞き出しに)花を咲かせていた ]
(43) 2014/11/15(Sat) 16時半頃
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[ 榊原がクラスに見つかって、連行されるその背に頑張ってねーと色々な意味での声をかけ。 戻ってきた氷見山に向き直って、笑顔で行きましょうかと頷く** ]
(44) 2014/11/15(Sat) 16時半頃
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─人楼高校、校庭手前→玄関前─
[近くのベンチでたこ焼きに焼きそば、 ラムネを難なく美味しく召し上がり終える。 この量を食べれるのに、身長が伸びなかったのは おそらく両親の遺伝だ。 鷹野家は名字のいかつさの割には家族全員揃って小柄だった。
忍崎が食べているところなども許可を撮って いくつか写真に収め、まどかは資料撮影をまた再開している。 今は校庭前から変わって玄関近くで、 玄関前の文化祭の看板を撮っていた。]
(45) 2014/11/15(Sat) 16時半頃
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[ついでに自分用のデータも確認して。 忍崎が大半を占める画面と睨めっこして、 ふと画面の端の写真枚数を見た。 こちらも結構な枚数がたまってきている。 少し整理が必要かな、まどかは少し考えたような顔をする。
校舎外で撮れそうなものはそこそこ撮れた気もする。 それなら校舎に戻るついでにと、忍崎へ写真部の展示の方へ 寄っていいかとお願いした。]
(46) 2014/11/15(Sat) 16時半頃
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─人楼高校、写真部展示教室─
[写真部の展示は、書道部の展示教室の近くで行われている。 屋台の並ぶと比べると、やはり展示教室近辺は人が少ない。
教室に入り、展示当番の子へと声をかけて展示風景を見る。 ぽつぽつと中に居る人がちょうど自分の作品を眺め終えたところのようだった。
声をかけるのは少し気恥ずかしくて、 自分の作品を見直すふりをして客を見る。 おそらく外部の人であろう、大人だった。
まどかも写真の公募などには出しているが、 実際に作品を客に見せるのは、いつだって少し緊張するものだ。 まどかは緊張と嬉しさの混じったような顔で、次の作品を見ていく 大人の背中を追う。]
(47) 2014/11/15(Sat) 17時頃
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[…写真部の撮影対象は人によって様々だ。 花園が運動部を多く撮っていたりすれば、動物を撮る子もいる。
まどかといえばこの一年程は、 忍崎を撮ることがメインになっている。
あまりに忍崎を撮っているので、 写真の確認をする為に忍崎の顔写真を広げた 自分のスペースを見た部員に、真剣な顔で 「ストーカーは犯罪だよ」で説得された程だ。
許可も撮っているので心外だ、と抗議した時の 「それ展示に出す気じゃないよね…?」と言った部長の顔が あまりにも怖かったのを覚えている。
そんな背景もあり。今回まどかが出したのは風景写真だった。
「鷹野まどか」と撮影者名が書かれた 小さなキャプションの上に街並みの写真が映っている]
(48) 2014/11/15(Sat) 17時頃
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─人楼高校、写真部展示教室─
[やきそばにラムネにたこ焼きに、と、食べ盛りの男子高校生は買ったものを全て綺麗に胃に収め、ついでにたこやきをほうばっているカメラ目線の写真を撮影したのち、移動した先は写真部の展示教室だった。
受付の当番をしている生徒に軽く頭を下げて教室に入る。
鷹野の写真を見知っている写真部の生徒は、忍崎の顔に、 「あ。」と驚いた顔をしたが、背の高さゆえに驚かれることは昔からよくあることだったため、忍崎は特に気に留めることもなく写真の展示された壁の方へと視線を向けた。]
(49) 2014/11/15(Sat) 18時頃
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[展示教室はまばらに人が入っていた。 どことなく落ち着いた空間に行くと 自然、口数は少なくなる。]
…。
[壁とボードに張り出された写真を、 一枚一枚眺めていく。
人物をうつしたものや、動物や草花をとったものもある。
清楚な小ぶりのミニバラが大写しになった写真の前では、 これは氷見山先輩が得意そうだな……と、 いつも人物の背景に花を咲かせてもらっている ひとつ上の先輩の顔が浮かんだ。
動物好きでもあったはずだから、 猫や犬の写真も展示されているここは、 つれてくれば案外と喜んでもらえるかもしれない。]
(50) 2014/11/15(Sat) 18時頃
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[その写真達の中でも、風景写真の前で足を止める時間は長い。 もはや職業病ともいえる。背景に鷹野がアシスタントに入ってくれるようになっていくらか緩和したとはいえ、見ないで描くと、パースが惨憺たる有様を呈するので、いまだに資料写真は手放せない。]
────。
[学校近くを取ったと見える、「いいな」と思った風景写真の一枚を、じ。と睨むように見据えていると、背後からひそひそと 「……敵情視察?」「撮影者になにか恨みでも」と、声がした。 幸か不幸か、集中している忍崎の耳には届かない大きさだったけれども。]
(51) 2014/11/15(Sat) 18時頃
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…ん
[>>48 ──変わりに目に入ったのは、 キャプション上の名前だ。]
(52) 2014/11/15(Sat) 18時頃
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(…… ああ、)
[鷹野の名前を見てから、写真へと視線を戻す。
──ああ。 と、今度は資料としてではなく、 別の、もっと個人的な感慨から、 忍崎は、もう一度その風景を見直した。]
(53) 2014/11/15(Sat) 18時頃
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[…人楼高校の通学路になっている道のひとつに、 通学中の難所としても有名なきつい坂道がある。
まどかの撮った写真は、それを下から撮った写真だ。
そこそこに人通りも多い坂なのだが、時間帯にしては珍しく坂の途中に人は誰もいない。 知る人にはそれが一層不思議な空間として見せていた。
誰もいない、見上げるようなきつい上り坂の直線の先に、 夏に撮ったのだろう。濃い青の空に大きく育った 夏らしい入道雲が映っている。]
(54) 2014/11/15(Sat) 18時頃
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[…この坂を上った先で。 彼とまどかは、初めて話した。]
(55) 2014/11/15(Sat) 18時頃
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―回想:一年前 通学路途中の坂道―
[…朝焼けが、まだ人通りの少ない 心臓破りの坂を薄く染めていく。 息を切らせながら、まどかはその坂道を昇っていた。
この坂を昇った先には公園がある。 大して遊具に恵まれているわけでもない、 ほぼ空き地といってもいいような小さな公園からは、 この街がよく見渡せられる。 そこから撮る、街の全景写真。それが目当てだった。]
(ぅぐうううう、はやくしないと昇り切っちゃう…)
[既に何度か早起きに失敗していて、 今日こそはと朝も早いうちに飛び出した。 起きれたはいいものの、坂に難儀して間に合いませんでした、 というのはどうしても避けたい。 運動が苦手なまどかは必死に坂を登る]
(56) 2014/11/15(Sat) 18時頃
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[今回の文化祭で駿が一番楽しみにしていたもの。 それは文芸部が発行している部誌、"珠玉"。]
(+0) 2014/11/15(Sat) 19時半頃
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[忍崎のマンションで 駿は"珠玉"と出会った。]
(+1) 2014/11/15(Sat) 19時半頃
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[中学で陸上部に入ったのに、特に理由はない。 なんとなく惹かれた。そんなものだったと思う。 だが、走れば走るほど陸上というものが 自分の一部となり、切り離せなくなった。]
(+2) 2014/11/15(Sat) 19時半頃
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[駿が専門としている長距離には スピードで魅せ 一瞬で決着がつく短距離のような華やかさはない。 自分の心音を、前を後ろを隣を走るランナーの 息遣いを感じ取り、地を蹴る。 他者のいい流れを封じて自分の身体を風にのせ、前に。 一番、前に。その繰り返しだ。
それが苦しくて、でも楽しかった。]
(+3) 2014/11/15(Sat) 19時半頃
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『お前も、好きだなー。』
[と同じ陸上部員の奴にも言われたくらい ただただ、日々走った。
長距離と短距離、種目は違えど同じように たんたんと練習をこなす忍崎も きっと陸上に対する気持ちは同じだと思っていた。]
(+4) 2014/11/15(Sat) 19時半頃
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[だから高校生になってしばらくして ようやく入部ができるようになった頃。] もう入部届け書いただろ?出しに行こう。 [と声をかけに行った忍崎に断られた時は驚いた。]
(+5) 2014/11/15(Sat) 19時半頃
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陸上、嫌いになったのか?
[とショックを受けつつも 食い下がる自分を仕事部屋であるマンションに連行し 少女漫画家であることを話してくれた時も、驚いた。
そして驚く駿の手に、締め切りが近いと 有無を言わさないようにカッターを握らされた時も。 当然NOと言えずに動かした自身の手がトーンというらしい シールのようなものを綺麗に切り取った時も。
驚きの連続の末、忍崎の手伝いをするようになった。]
(+6) 2014/11/15(Sat) 19時半頃
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[そうして陸上部の練習がない時には 手伝いでなくとも、たびたび上り込むようになっていた駿が 彼の部屋でふと見つけたのが"珠玉"である。
その日も何故か白銀に追いかけられていて ストレスを部活で発散させようと放課後が待ち遠しかった。 だが、生憎の天気模様で部活が休みになったので なんとはなしに忍崎の部屋に寄ったのだった。 はやくこんな色の下で走りたい。 そう思って綺麗な空色の表紙に手をのばし、 家主の断りなくぱらり、と開いた事はよく覚えている。]
(+7) 2014/11/15(Sat) 20時頃
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[ぱらぱらとめくった駿の目にその作品が止まったのは 難解な漢字や表現が紙面を踊る他の作品とは趣向が異なり ひらがなが多い童話だったから。ただそれだけであった。
が読み進めるうちに、駿でも理解できる簡素な表現であるのに どこかじんわりと暖かく描かれる情景。 感情豊かに生き生きと動く登場人物たち。 ちょっぴり切なくてちょっぴり不思議でとても優しい物語。
そんな"星"を集める子どもたちの話に夢中になった。
読み終える頃には感じていたストレスも 走り終えた後の様にどこかに吹き飛んでいたのである。]
(+8) 2014/11/15(Sat) 20時頃
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[作者の名前はすぐに確認し、覚えた。 "早乙女スピカ"先生。 名前と作風からしておそらく女性だろうか。
忍崎にも作品を読んで聞かせてこの素晴らしさを伝えたが、 何故か女子に怖いと大評判の真顔で 何やら唸っていたように駿には見えた。]
(+9) 2014/11/15(Sat) 20時頃
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[忍崎やその他クラスメイトなどから 聞いた"珠玉"の入手方法は非常に難易度が高かった。 基本的に、1年に1回の文化祭での 定期発行を除けば、発行は不定期。 作者たちのやる気次第、部誌が発行できるほどの作品が 集まり次第に発行するのだという。 発行部数もページ数や 前回の配布状況に左右されるらしくまちまち。
配布場所――これが一番厄介で、 図書室の本棚の間や美術室の隅。 人目につかないところに 『ご自由に』という張り紙だけ貼られて置いてあるのだという。]
(+10) 2014/11/15(Sat) 20時頃
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何でこんな手に入れにくいんだ? 読んでほしくて書いてるんじゃないのか?
[とあまりの難易度に思わず呟いた駿に]
『自分の書いた物語を読んでほしい。 でも感想は怖いし恥ずかしい! って複雑な作家心なんじゃないか。』
[なんて言ったのは誰だったか。
作家とは顕示欲が強い生き物だと思っていたので目から鱗。 なるほど、と納得して日々"珠玉"入手を試みたが 未だ自力で手に入れることはできていないのである。]
(+11) 2014/11/15(Sat) 20時頃
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[何故か、毎号手に入れている忍崎のおかげで "早乙女スピカ"先生の作品はすべて 読むことはできているのが幸いである。
それにしてもどうして毎号手にできているのだろう。 日々ネタ探しの為に学校の至る所に 出没したりしているからだろうか。
忍崎に直接聞いても、 何やら慌てた様子を見せて教えてはくれなかった。
彼の文芸部に対する態度は度々首を傾げるものもあったが 忍崎のおかげで"早乙女"先生と出会え、 心穏やかな時間を貰えているのである。 些細なことは気にしないことにしている。]
(+12) 2014/11/15(Sat) 20時頃
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[そして本日、文化祭。 1年でこの日だけはどこで 何部発行しているか判明している"珠玉"。
それを手に入れようと密かに気合を入れていたのだが 運動部である駿に与えられたお化け屋敷の出番は多かった。 もちろん文化祭の主役、 文化部の忙しさを見ればNOと言えるわけがない。
朝一番からお化け役をこなしていたが 正直いつ売り切れになるかと気もそぞろだったのである。
気になりつつも、代役をしてもらってる身で まさか自分の用事を済ませることもできない。 今現在も未だ部誌は手にできておらず。 ――その結果、つい色々配慮を欠いてしまった伝言>>2:*3になってしまったのは、そう。しょうがないのだ。*]
(+13) 2014/11/15(Sat) 20時頃
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/* 長いわ!!!!!!!!!(せるふつっこみ
(-7) 2014/11/15(Sat) 20時頃
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