22 共犯者
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>>271 これは………。 [渡された原稿の束を手にして、その重さを実感する。]
もしや、これが…… 村長さんが私達に、取材を「依頼した」理由……
[この祭の取材は、新聞社側が申し出たものではなかったという話を支社長から聞いていた。それ故に、彼は村長の様子と、村の様子の間に温度差を感じていたのだった。]
わかりました。 この原稿は、生きて、必ず届けます。
[一礼し、バッグの底に原稿の束を捩込んだ。]
(276) 2010/08/01(Sun) 01時頃
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ところで、お屋敷の入口に、先程見なかった札を見たのですが……あれは一体何なのでしょうか?あれも祭に関係があるのですか?
そして、「生贄」の意味とは……? 村の方にはそれを説明したがらない方もいましたが、その「生贄」という「言葉」は、額面通りに受け取っても構わないのですか?
(280) 2010/08/01(Sun) 01時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 01時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 01時半頃
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>>284 「違い」……?
「生贄」は確かに「人が死ぬ」ことだと……そういうことなのですね。
[村長夫人の様子を見ながら、話の内容を噛み締める。]
では「生贄」になるとは、いったいどういうことなのでしょうか? 誰かに捧げるということなのか、それとも……
(290) 2010/08/01(Sun) 02時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 02時頃
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>>22 いえ…好む、というわけ、では……
[結果的にその言葉を多用していることに気づかされ、少しだけ俯いた。]
森の中に分け入り、夜通し歩く…… 村人同士の殺し合い…… 祈りの場であると同時に、私刑も赦された場でもあるのですね。
[頭の中で整理しながら、村の儀式の詳細をノートに記す。]
「森に還る」。 村に必要な儀礼を犯罪として考えさせない為の、村人同士の配慮と気遣いというわけですね。互いに怨まないようにするための安全弁ともなります。
ところで、「帰らない死者」とは異なる死者が出る祭……とは?
(293) 2010/08/01(Sun) 02時半頃
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「神」……
[イアンの脳裏に浮かぶのは、上弦の月を共に見た、あの黒い影の『獣』の姿。]
神と契約し、庇護される代償として、村人の命を差し出す……。 リンドグヴィスト夫人がおっしゃる通り、「悪魔」や「小人」ではなく「神」としてその対象と契約するというのは、ただ人間が一方的に契約したりそれを破棄できる自由さを持っている訳ではないものだと推測されます。
「神」は「人間」を護るものと考えられており、人々の生活のあらゆる面に浸透している。その身に根付き、死してなお決して離れることはない。己の意識が及ばぬ範囲まで支配するのが「神」というものでしょう。
もしご存知であり、かつ差し支えなければ…… その「信仰の対象」の正体は一体何なのでしょうか……?
(296) 2010/08/01(Sun) 03時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 03時頃
記者 イアンは、「ソフィアのような遺骸」という言葉に、ごくりと息を呑んだ**
2010/08/01(Sun) 03時頃
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−故・村長宅−
あまりに異教的で、あまりにロマンチック……
[言葉を失い、ぽつぽつと呟く。 己の口から何故そのような「正体を知っているのか」という疑問が出たのか。それはイアンが「信仰対象となる主体」の正体をあの夜に見たからであろうということは、彼自身の脳に、容易に浮かんできた。
そして、「それ」が彼の後ろに立っているということも。]
……そうですね。 信仰の対象が言い伝えられていくうちに、それの意味が曖昧になってゆく可能性は十二分にありましょう。
夫人がご指摘の通り、もはや現代では誰もラテン語で会話していないというのに、ラテン語由来の言葉を日常的に使っている。それと同じように、脈々と続く歴史とその謎を、ラテン語というヴェール……或いは箱に無理矢理押し込めていることになりましょう。
伝えられているうちに発生した矛盾や、歴史の中で生じた新たな意味をも、その中に含ませて。
それが、貴女達が言う「生贄」と、私がこれまで考えてきた「生贄」の間に浮かぶ差異であると思います。
そして、それはごく自然なことだと思うのです。
(302) 2010/08/01(Sun) 09時半頃
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ですが貴女達と祖先の方々は、一見ご自分達の概念をキリスト教的な言葉の枠組に押し込めながらも、実際はその言葉の発音なり形式を変容させることにより、その矛盾を解消しようと試みている。
そこに、「額面通りに受け止めてはいけない」という、言外に込められたメッセージを読み取れますし、私はその矛盾やズレを、変容した言葉の形のまま受け止めようと思います。
申し訳ありません。私も話が逸れました。 幾分懐かしい感覚が、私の中に込み上げてまいりましてね。 民俗学は専門ではございませんが……そういうものをかじっていた時期が、私にもございました。
……話を元に戻しましょう。
(303) 2010/08/01(Sun) 09時半頃
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神殺し……主殺し。 村人と神が同じ地に立ち、神の姿を見る……則ち、ヒトが神に文字通り「近づく」儀式。
しかし神は誰かが分からない。 「儀式」の中でのみ、逢うことができない。 「巡礼」……ひょっとしたら殺しを伴うかもしれない儀式の中で。
ですが、それを「蛮行」と呼ぶべきかどうかについて、私には判断する権利がありません。それは村の中にいる当事者だけが判断できることです。
……貴女方がこれから為そうとしていることについては、分かりました。ありがとうございます。
(304) 2010/08/01(Sun) 10時頃
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>>301 神が人を創る……? ソフィア嬢を殺しても……神にはなれない……
[村長夫人の言葉をメモする端に、ハニーブロンドの髪を持つ青年の言葉を記してゆく。]
(村長夫人の言葉は理解できる。 だが、村人達の動揺との温度差は気になったままだ。 ……今、早急な判断をするな。)
神が護るのは……村?
[ハニーブロンドの青年が呟いた言葉を、小さな声で呟いた。]
(305) 2010/08/01(Sun) 10時頃
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>>306 それは……私が無知であるが故に、その矛盾にすら気づけなかった。それだけのことです。
[村の中で、「生贄」になることを怯えていたミッシェルのことについては、口を閉ざしておくことにした。それを言っては、巡り廻って彼女が「祭」の「ドサクサ」に紛れて、村人に罰せられてしまうかもしれないと考えたからだ。]
私があなた方を裁いていた、と少しでも思われたのなら、申し訳ありません。「祭」のルーツを知った今になって、とても恥ずかしく思います。
そして……私もこの村の「伝承」に寄り添って、その意味を記してゆこうと思います。**
(308) 2010/08/01(Sun) 10時半頃
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>>307 村を護る為に神を創った。 神を殺すことは村を無くしてしまうこと。 貴方がそう感じられるのも、無理はない気がします。
私がこうやって「祭」のルーツと理由に近づいていけるのは、紛れもなく私が「部外者」だからです。故郷が無くなることの恐ろしさは、想像したくないでしょうし……
[彼は祭が怖いのか、或いは他のものが怖いのか。 今はそれを問わずにおくことにして、村人達の話をじっと聞くことにした**]
(309) 2010/08/01(Sun) 10時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 10時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 12時半頃
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−広場−
[夜の空を見上げる。 「エデンの園」に集められた人々の気配を背中で感じながら、青年記者はひとり物思いに耽っていた。最初に唇から零れたのは、ひとりの女性の名。そして…]
(この森に入ってしまったら、私は二度と君に会えなくなる気がするんだ。それでも私は行かなくてはならない。そんな気がするんだ。)
[視線を自分の頭の高さに戻し、溜息をついた。]
「巡礼者」は12人。彼等は森に入ったら最後、帰れなくなる可能性もあるという。
見ることはできるだろうか。近づくことはできるだろうか。それでも……
[電話越しに聞いた村長の生前の声と、森の中で見た『存在』の声が、イアンの頭の中で交互に再生される。]
……私は行かなくてはならない。「見に来てくれ」とおっしゃった村長との契約を守るために。
[イアンは祭の列についていくことを決意した**]
(349) 2010/08/01(Sun) 17時頃
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>>359 いえ……参加はしないですよ。ホリー。 あくまで私は取材をするだけなのです。
[いつも鉄仮面のように無邪気な笑みを浮かべる少女に、少しだけ強張った笑顔を見せた。]
それに、もし私が参加したいと言ったとしても、村の方々に受け入れられることはないでしょう。それが村に代々伝わる「伝承」というものです。
……お分かり戴けますか?
私には、「見守る」ことしかできないのです。
(387) 2010/08/01(Sun) 21時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 21時頃
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>>392 [ミッシェルの言葉に、視線を伏せて黙りこんだ。]
(彼女は怖いのだろう……それは分かる。 けれども、私がそれを代わることはできない。)
[そして再び視線を上げて、]
祭の詳細については、村長夫人から伺って来ました。そして、死者が出ない祭もあったと、そう聞きました。
だから……人死にが出ないことを祈ることしか……私にはできません。そして、それは嘘偽りの無い、私の本音なのですよ。
(396) 2010/08/01(Sun) 21時頃
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[聖ヨハネ像の前にゆっくりと歩み寄り、像の顔と月を見上げる。]
この村の部外者に言われるのはお嫌かもしれませんけれど……私もこの村の祭を見つめることになった以上、もはや「無関係」ではないのかもしれません。
[胸の中に渦巻く澱みの正体が分からない。分からないけれど、とても不快な類のものであることは確かだ。]
伝承と倫理感の狭間で、私は何をすれば良いのでしょう。
……私には、分からない……
(405) 2010/08/01(Sun) 21時半頃
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>>403 そう……ですか。 ありがとうございます、ミッシェルさん。
少しだけ、救われたような気がします。
[その笑顔は、どことなく強張っていた。]
(408) 2010/08/01(Sun) 21時半頃
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>>414 え……?
[松明の灯に照らされるイアンの顔が、一瞬だけ引きつった。]
いえ…… 私は「御使い様」というものを見たことはありません。
直接伺って、その「御使い様」が一体何をお望みなのかを聞ければ良いのですけれども……やっぱり、そういうわけにはいきませんよね。
[鐘の音を聞き、青年記者は息を吐いた**]
(422) 2010/08/01(Sun) 21時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/01(Sun) 22時頃
記者 イアンは、墓荒らし へクターの声を聞き、反射的に振り向いた。
2010/08/01(Sun) 23時頃
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何ですか……ヘクター!?
[それ以上の言葉を出そうとしたが、手を伸ばしただけで動けなくなる。自分がどうしようもなく部外者であると知っているが故に。]
(このままでは、祭で人死にが……!)
(469) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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本当の……祭。 祭を守る、って……?
[強烈に喉が渇く。 今、目の前で銃を構えている男が居る。 その相手は、亡き村長の手稿を自分に託した寡婦。]
止める……べきなのか? それともこれが……「祭」の姿……?
(477) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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>>485 ………っ!
[奥歯を噛み締め、己の前髪を右手で掴んでぐしゃりと乱した。]
そう……ですね。 本当に、その通り……です。
私にできることは……「見守る」ことだけ、ですね。
(487) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/02(Mon) 00時頃
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[目を見開き、銃声を上げた男の方を見る。>>490]
ヘクター……
[掛ける言葉が見あたらず、己のシャツの胸元をぎゅっと掴んだ。]
(491) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/02(Mon) 00時頃
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