1 とある結社の手記:6
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−集会場・広間−
『アッラーよ。忌むべき悪魔より我を助け給え。 一日が経った。 今のところ、私に疑いの目を向ける者は見当たらないようだ。 私は、この感謝と安堵の思いをアッラーに捧げよう。 しかし、私の憶測通りならば… いずれこの手記も血文字のような内容になるだろう。私は怖い。 その日が、一日でも遠く短い未来であらんことを。それにしても…(中略』
[サイモンの話を聞きながら、平行して手帳にペンを走らせていた。 やがて席を立つローズマリーにふと顔をあげる。微かな香気が鼻腔をくすぐる。 すこし考えるような素振りを見せて、またペンが走り出す。]
(5) 2010/02/19(Fri) 10時頃
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『…これほどまでに能力者が多いとは。 最悪の憶測は、得てして最悪の現実を呼び寄せるものらしい。 たかだか1日の観察では到底見分けが付かなかった。 しかし彼等は間抜けなのか。私の前で能力を明かすなど。失笑を抑えられない。 それとも…これは罠だろうか。
まあいい。それはそうと…』
(*2) 2010/02/19(Fri) 10時半頃
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『中略)ローズマリーはほんとうに佳い女だ。 その魅力は、後宮のどの女にも見劣りはすまい。
いつか、平安の都バグダドへの帰参が叶えば、この手記をカリフに献上しよう。 これを読む貴方の顔が、嫉妬と欲情に歪む様を思い浮かべると 不本意な虜囚となった我が心身が僅かに慰められる。アッラーは偉大なり。』
[手帳に書き付けた内容を読み直して思わず失笑してしまう。それを慌てて咳払いで誤魔化して、手帳を閉じる。そして結社員の話を聞いた皆の表情を探るように、辺りを慎重に見渡した。**]
(6) 2010/02/19(Fri) 10時半頃
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[囁きが聞こえる。 人狼の巣くう村があるという、酒の肴の噂話を聞いたのが十数年前。 やがてこの村に辿り着き、以来遠巻きに見守っていた異国の同族達。]
…恐れるな。恐れは悪魔を呼ぶ。
[諭すような、だが慰めるような囁き。 しかし継いだ言葉は苦々しい。一瞬目が合う。 慎重に、等分に見渡すはずの表情に鋭い光が宿った。]
結社を呼び込んだのは、お前か? この村の民を襲うとはこらえ性のない…。
(*4) 2010/02/19(Fri) 12時半頃
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−厨房−
ハムは入れるなよ。 卵は柔らかめにな。それからパンは表面を少し焼いて…
[メアリーが作る料理に横からあれこれと注文をつける。 注文を付けつつ片端からつまみ食いしていく。材料が見る間に減っていった。]
(20) 2010/02/19(Fri) 12時半頃
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−回想・キッチン−
いいかキャサリン。 食べ物にはな。料理される前の方がずっと美味いものがあるんだ。 特に料理人がある種の人間だとな。
だから今のうちに食べてやるのが食材のため…
[まじめくさって諭すような口調を作り その最中にも食材を征服していると手をはたかれる。 そして持たされた盆に追加される皿。何かを言おうとして、やめる。 その代わりに。]
じゃ、よろしくな。マーゴ。
[とびきりの笑顔で、盆をマーゴに渡し、逃げ去った。**]
(25) 2010/02/19(Fri) 13時半頃
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[襲った事がないと告白する声に、微妙な間を挟んで言葉を返した。]
……そうか。まあいい。 であれば我らは無実の虜囚。目には目を。歯には…歯を。
お前の言うとおり、座して待つ必要などない。 災いを転ぜよ…。お前は人狼なのだ。囁くだけが能ではないと証してみせろ。
[煽るような囁きに熱が纏う。 そして声の色が、唐突に優しさに似たものに変わった。]
カルヴィン。お前の父君には、世話になっている……
[昨日の、彼の肩を叩いた意味が伝わっただろうか。**]
(*9) 2010/02/19(Fri) 16時頃
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…甘えるな。
[その突き放すような台詞とは裏腹に、いつもの愉快げな声で囁く。 少し間が空いた後、さして気負うふうでもない囁きが続いた。]
俺の国では… 人狼は珍しい存在だったが、決して特別な存在ではなかった。 父は人間だったが、数千人の奴隷を恣にしていた。 たまに俺や母が人を食らおうと、何ほどでもなかった。 父と俺が仕えたカリフは、俺に興味を示したが嫌悪はしなかった。
人狼などその程度のものだ。…我々は人狼だ。…だがそれだけだ。
[己の存在を、カルヴィンはどう思っているのか、思い巡らせて後を継ぐ。]
とは言え… お前の父君は、この俺の述懐に酷く御立腹だった。 カルヴィン。お前の父君は誇り高い御方だ。お前は…どうかな。
[そう言って、苦笑気味に笑った。]
(*12) 2010/02/19(Fri) 20時半頃
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−回想・広間−
キャサリン。 君はわかってない。ぜんぜんわかってない。
[同じテーブルに誘われ、それに応じて歩み寄りながら 大げさな身振りで、それとみて冗談とわかる口調で嘆いてみせる。]
いいかいキャサリン。 ここにプレーンなオムレツがある。[そういって手にした皿を掲げる。]
この見た目は美味そうな、もしかしたら本当に美味いかもしれないオムレツに、後ひとつ手を加えただけで、このオムレツは世界一のオムレツにも、豚も食わないオムレツにもなるんだ。君は豚も食わないオムレツにしたいのか?
[そう言って、また嘆く素振り。]
さあ、想像してるんだ。 このプレーン・オムレツが…もしもピッパの手に掛かったとしたら![嘆く真似]
[そう叫んでオムレツを食べ始めた。 随分と昔、ピッパの作った料理を実験台に食べさせられて以来の、嫌がらせだった。今の腕前は、どうだろうか。]
(63) 2010/02/19(Fri) 20時半頃
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1人は偽物か。
[カルヴィンの無邪気そうな囁きに、まるで被せるように嬉しそうな囁き声。 いずれ彼の真摯な思索に答えるつもりでも、それでも目前のニュースに声は弾む]
俺が人狼なら…ふふふ。 人狼に都合の良い占い師とやらが居てくれれば、どれだけ有り難いことか。 そうだな…その手があったな…。
(*15) 2010/02/19(Fri) 21時半頃
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これ幸いに、黙してオムレツを食べ終わる。
この集会場に集められ、突き付けられた現実とは裏腹に 何処か空虚に賑やかな会話の輪から心を離して、独り物思いに沈む。]
『サイラス…俺よりも3年後にこの村へやって来た男。 とかく閉鎖的な村の生活で、信頼や信用は、普段考えているよりずっと重要な問題だ。占い師と名乗り出た彼は、はたして信用を増したのか。それとも信頼を減じたのか。そしてウェーズリー…』
[ふと香気にくすぐられて顔を上げ、コルクボードに目をやる。]
(80) 2010/02/19(Fri) 21時半頃
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言っただろう。 我々は人狼だ。だがそれだけだ。…人間以上でも、以下でもないのだ。
だからこそ…垣根など低いものだ。
[そう囁いた後、カルヴィンの疑問に心が引っかかる。]
味方。と確信するには尚早か。お前は…どう思う?
(*18) 2010/02/19(Fri) 22時頃
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さて… ピッパが長年の修行の成果を見せてくれるらしい。 みんな。今日のディナーはピッパが作るんだってさ!
[むやみなプレッシャーをピッパに与えようと、ことさら大きな声で喧伝しながら コルクボードの近くへ。前に居たキャサリンの車椅子越しにその文字を読む。]
ほう…。似たもの同士は近寄って微笑むこともできないんだと。
[背中を屈めて、真上からキャサリンを覗き込んで笑った。]
(92) 2010/02/19(Fri) 22時頃
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そうだな…。
奴等の意図が知れれば、この上ないが…。 俺とカルヴィン…この人数を言い当てたのはサイモンと、ウェーズリー… サイラスは……
[カルヴィンの返答を当然のように受け入れながら、 囁きの口調は、独り言のような色彩を帯び始める。]
(*20) 2010/02/19(Fri) 22時頃
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似たもの同士なんて、つまらないと思わないか? 想像も付かない毎日がやってくるような…そんな日々もいいと思わないか?
[微笑むキャサリンにそう笑いかけて いきなり車椅子の柄を押して、踊るように回転させた。 そうやって、空虚な喧噪を演出する自らに、内心苦笑を浮かべながら、 だが、それはひどく真剣にふざける様だった。]
(113) 2010/02/19(Fri) 22時半頃
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どうだい? 世界はもっと広がりそうだろう?
[止めて。そう叫ぶキャサリンの声を、 笑って無視するように幾回転かした後、息を弾ませて笑いかける。]
こんな集会場…崖から転がり落ちればいい。
[さりげない口調で笑いかける表情に、忌々しげな表情が微かに滲んだ。]
(130) 2010/02/19(Fri) 23時頃
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キャサリン… 心躍るような日々は幻想じゃない。 君が幸せを諦めたら…きっと誰かが幸せを諦める。[囁くような声を耳元に]
おっと…。 ドナルドを跳ね損ねた。惜しいな…
[そう笑ってキャサリンのそばを離れ。 にやにやと笑いながらドナルドに近づき。 ふと、彼の左側面に身体を滑り込ませ、足を払った。]
(150) 2010/02/19(Fri) 23時頃
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−回想・広間−
いやいやドナルドさん。 あなたのお御足があまりに長かったので。つい。 醜男のしがない嫉妬とご容赦くだされ。
[さして体格の変わらないドナルドに胸ぐらを掴まれながら、相変わらずにやにやと笑ってわざとらしい台詞を口に乗せる。意味などないといことが伝わっただろう。やがて解放されれば、ドナルドの後を追うように、自らも広間を後にした。]
(249) 2010/02/20(Sat) 12時頃
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ほう…。 だが残念ながら、俺はサイラスに疑われたことが一度も無いな。 飽きるほど会っているはずだが…。
[集会場の階段をのぼりながら、広間に居るカルヴィンの声を聞いた。 困惑と愉悦の混じり合った忍び笑いが囁きに漏れる。]
まあいい。 あの二人の真贋はもう少し様子を見よう。それよりも… それよりも…居るだろう。本物の、俺達の敵が。
(*23) 2010/02/20(Sat) 12時半頃
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お前は豚を食べるとき、悲しむのか?
[ことさらに素っ気ない声。 むしろ、それに続いた言葉の調子に答えはあったかもしれない。]
サイモンには死んで貰う。 これ以上、奴を野放しには出来ない。
もうじき夜が来る。丁度良い…。 カルヴィン。俺にとってもひさびさの獲物だがお前に譲ってやる。 どんな気分か知りたいか。…すぐに解るさ。
(*26) 2010/02/20(Sat) 17時半頃
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あまりピッパの料理に手を付けるなよ。 せっかくサイモンが帰ってきたとき、腹痛で動けないでは困るからな。
[そして、失笑のような笑い声が囁きに漏れた。]
(*27) 2010/02/20(Sat) 17時半頃
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−個室−
[外は暗くなり始めていた。 サイラスからくすねた酒がグラスを満たしていた。 手にした干し肉は、ディナーの前の腹ごしらえだった。]
どうせ食えるものが少ないからな。
[干し肉の一片を囓り取りながら、1人呟く。]
占われた方が得策なのか…そうとも言えないのか…。 そもそも占い師が信用できなければ…その結果もどう見られるか…。 まだ…… …関わらない方が良いかも知れない。
(255) 2010/02/20(Sat) 18時頃
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−広間−
さて! ピッパの修行の成果を見せて貰おうか。 お前も、もう25歳だったよな。これでダメなら…
いやいや!そんなはずはないよなぁ。ないよなぁ。
[白々しいとはこんな事を言うのだろうか。 腹ごしらえの済んだ身で広場に姿を見せた。芝居じみた身振りで、大げさに言葉を広間に行き渡らせる。そして気取ったような素振りで食事用の席に着いた。]
(259) 2010/02/20(Sat) 19時頃
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それがどうした。
[重々しい声の後に抑えきれない笑いの衝動が続く。だが。]
さあ、お前も席に着け。 食事は人を観察する絶好の機会だ。…気を抜くな。
(*30) 2010/02/20(Sat) 19時半頃
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さすらい人 ヤニクは、わざとらしく前掛けを広げて、膝に乗せた。
2010/02/20(Sat) 19時半頃
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カルヴィン。 育ち盛りは人一倍食べないとな。 食えば身体はいくらでも強くなる。まずは食べることだ。 足らないなら何時でも言えよ? 俺の分をいくらでも分けてやるからな。
[席に着いたカルヴィンにそう話しかけて、人の悪そうな笑みを浮かべた。]
(266) 2010/02/20(Sat) 20時頃
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そう…。 …まずは食べることだ。
[低い、笑いを押し殺した囁き声。]
(*32) 2010/02/20(Sat) 20時頃
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どうした。 表情が硬いなカルヴィン。そんな事じゃピッパに失礼だな。
[そう言い諭す台詞とは裏腹に、明らかに面白そうな表情を隠せない。 そして席を立ち、部屋を出てきたキャサリンを認め、その柄を持って席までエスコートした。紳士的に。その先に起きる悲劇など、微塵も感じさせないように。
そしてローズマリーの姿にに目をやり、その手にしたものに目を細める。]
(271) 2010/02/20(Sat) 21時頃
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[なるべく小さく。できるだけ小さく、そのグラタンを自分の皿に取り分ける。 似たようなタイミングで取り分けたカルヴィンが、それを無言で口に運ぶ姿を、しばし唖然と見た。疑心暗鬼に、自らもそれを口に運ぶ。……]
……おい。 カルヴィン。無茶はよせ。
(277) 2010/02/20(Sat) 21時頃
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よせ…。カルヴィン。
[悲愴な響きが、囁きの乗る。]
(*35) 2010/02/20(Sat) 21時頃
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おい! ピッパ…このスープ…スプーンが立つじゃないか!
[ねっとりとしたスープに、スプーンが直立に突き刺さっている。 その光景を皆に披露しながら、わざとらしく頭を抱えて見せた。]
遅すぎたんだ…。
(286) 2010/02/20(Sat) 21時頃
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