【独】 手妻師 華月斎

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>>-920 朧様

[また、呼ばれる名に肩を震わせた。
見詰める黒檀が細まるのに、ぞわりと背を走るを感じる。]

　――……は、い

[返事をする間に、鈴の音が聴こえた。

触れることへの言葉ないのが、不安か、それとも期待か。
華月のかんばせに浮かぶ微笑は、微かに強張っていた。

その表情のまま、呼び寄せられるがまま、褥へと近づく。
りん――鳴る音の主の紫苑色を苔色は見た。]

(-922) mitsurou 2010/08/11(Wed) 03時頃