[――狼サンはもう帰ってきているのだろうか。
ふと、雨音の奥に耳を澄ませれば、いち、に、さん、と鳴り響くノックの音>>371。妙な偶然に、少し顔を綻ばせながら返事と共に僅かに扉を開く。
その先に片手を上げる青年の姿を見止めれば、会釈をして。抱えられた赤ずきんに視線を落とす。]
何せ、扮するモノ一つないから。
[差し出された赤ずきんに、一瞬眉を顰めるものの、差し出されるがままに受け取る。冷たいような、温いような、半端な温度が掌の熱を奪う。]
――雨が止むまで、赤ずきんは家の中かな。
[くるりと赤頭巾を丸めては、どこに干すか思案しつつ。どこかへ行く様相の相手のからかいには、]
良い子にしていたら、――ご褒美まで付いて来たよ。
[と微笑み返して。どこかへと向かおうとする背中には手を振って、その姿が夜に消えるのを見送った。
…やがて、扉にかけられた袋>>261に気づけば、不思議そうにそれを手に取る。
中を覗いては、そう重くもない紙の包みに首傾げつつ。添えられたカードに目を通しながら、部屋の奥へと戻るのだった。]
(381) 2014/10/07(Tue) 00時頃