[羽ばたきを止めないルーツの動きに、ディーンは右腕を真っ直ぐに伸ばす。
くん、と一度身体を後方に引いてから、今度こそ本当にルーツはディーンの腕を離れた。
居間の端から端までを羽ばたき、壁際が近づけば身体を傾け、室内をぐるりと旋回する。
自在に飛ぶルーツの動きを、ディーンはしばし視線で追う。彼がどこに落ち着くかは分からないが、この部屋を出なければ問題はないだろう。]
――……何を、取り返せばいい。
[>>347怖くて触れることも出来ない。保護者らしく、危難から遠ざけようとすることも出来ない。
久しく会ったばかりのベネットに分かるはずもない問い掛けをしてから、ディーンは重々しく息を吐いた。
右手で鬱血痕のある左腕を撫でる。]
……すまない。忘れてくれ。
[そう告げて、ディーンはようやくラルフの淹れてくれたお茶に手を付けた。]
(359) 2014/11/16(Sun) 22時半頃