[先までの喧騒が嘘のように静まり返った診察室に、溜息の音が大きく響く。
デメテルの頭を撫でるローズマリー>>346を、どこか現実味のない心地でぼんやりと眺めて。屈託なく笑われれば、笑い返すこともできずにただ、再び頭を下げた。]
そうだ、…ノーランさん。
[けれど少女の言葉>>345に、先ほど慌ただしく部屋を出ていった彼のことを思い出す。ああまで真剣に助けを求めてきた彼が、そのままデメテルを追いてひとり出て行った、その事実が解せない。
物言いたげなの配せには少し考え込んで、ゆるゆると首を振った。]
え、いえ、そこまでして頂くわけには…。
…サフィールさん。
ノーランさん――ネルさんが、どこに行くか。心当たりはありますか。
[さすがに状況把握すらできていない女性を巻き込む訳にはいかない。申し出はとてもありがたいけれど、と目を伏せて。彼と親しい彼女ならば知っているのではないかと、少女に向けて囁く。
そこで、ふと顔を上げて。]
…あの、ありがとうございました。
[そういえば礼を言っていなかったと、この場を収めてくれた女性へと小さく礼の言葉を落とした。改めて言うのは、どこか後ろめたくて気恥ずかしかったけれど。]
(350) 2014/06/24(Tue) 02時頃