【憑】 厭世家 サイモン

くしゅっ

[寒さに身震いをして目が覚めた。夜が深くなるにつれて寒さが鋭さを増していく。体を起こして携帯を見る。夜の仕事にはまだちょっと早いけど食事をとればちょうどいい時間かもしれない。シャワーを浴びておっさんに汚された体を洗いたかったけど綺麗に洗い落としてまた汚されに行くなんてのもイヤだ。クローゼットからマフラーを取り出し、帰ってきた状態にマフラーを足した状態で再びでていく]

・・・・くしゅん

[風邪でも引いたか。外の寒さはやはり部屋とは比べ物にならない寒さで、身を縮める。店の食事を取るのもいいけど、時間はまだある。気分をあげるためにも、少し歩いて気分を変える。
すれ違う街の人たちは幸せに満ち溢れた表情をしている。この国はとても平和。平和なのに、満たされることはない。
時間も時間なので閉店間近のパン屋の前を通りかかる。売れ残ったパンを安値で買えるし、テラスもあってパンをそのまま食べられるからそこで食事としよう、と目的の地へと足を進める]

(325) master 2011/11/29(Tue) 19時頃