[それでも、ころころと鈴音の笑い声は変わらないままで。
ガウンの下から表れた彼の素肌に触れることが叶ったなら、そこから流れる曲線を描いてその胸元を辿って。
それに合わせるように身体を抱き込まれたなら。]
──あッ……!
[小さな鳴き声を上げつつも、その腕の力に甘えることなく自ら擦り寄るように身体を彼に預けた。
叶うなら、再度唇を強請るよう、顎を上向かせて彼の顔を見上げて。
その瞳に宿るのは純粋な欲望の熱と、繰り返しの中にあって燻り続ける野望の熱。
退屈を紛らわす快感と、交わる体液で己の血が濃くなればという算段と──。
後者は悟られぬようにとは思っているが、もしかしたら、いつか彼に話したことがあるかも知れない。
もっとも、彼も己も、それを忘れているのだろうけれど。
もしも、彼が焦らす素振りを見せるなら、自分から噛み付くつもりで。*]**
(288) 2014/12/24(Wed) 01時半頃