[ 立ち込めていた霧が、一面の砂煙に変わり、その数瞬後にようやく晴れてくる。
そこには引き裂かれた神社があった。>>259
が、そこに人がいようとも酒呑童子の目はそれを捉えない。狙うこともない。
立ち塞がる“鬼神”の気配を感じ、酒呑童子はさらに暴れようと魔力を溜める。
そして──]
グオオォォッ!?
[ 燃え盛る脚に、水龍が喰らいついた。ツーンと鼻につく嫌な臭いを上げながら、水龍の一部は蒸発し、それでもなお酒呑童子の脚を穿つ。>>263
“鬼”の脚からは流れ出る血もなく、黒く澱んだ塊が塵となって飛んでいく。
ぐらり、と酒呑童子が傾いた。
一瞬の静寂ののち、再び激しい音を立てて片脚をほとんど失った“鬼”が倒れ込む。
これ以上ないほど壊れた境内が、さらに被害を増す。
酒呑童子は派手に倒れて動かないが、その体から燃え移った炎が、辺りの木々を燃やし始めるだろうか。*]
(269) 2016/06/21(Tue) 22時頃