[此方の笑みに返すような、妹王女の微笑み>>200。
は、と、 笑みは消えて、目を見開く。
どこかで、 みたような、 記憶。]
……、 ……
[柔らかな色の金髪と、大きな瞳が特徴的だった、あの少女の名前は何といったか。
広大な庭の隅で、咲いている花をただ見ていただけの自分に声をかけ、手を引いてくれた少女。
庭に植わっていた木を、易々と昇って見せた、笑顔の可愛らしい子。
くるくるとよく動く、大きな瞳。その色は、―――淡緑。]
……すみませ、ん ……少し、席を外しても、?
[動揺を隠すように、口元を掌で押さえる。
先程勧められた紅茶の事も忘れてしまったように。
妹王女の答えも聞かずに、さっと立ち上がれば、青い上着を翻して、応接間から出ていくだろう。
外から聞こえる雨の音、それは遠い日の雨音と重なって聞こえた。]
(205) 2012/01/12(Thu) 00時頃