[ヒールの女の性格までは知らないから、水をふっかけたのが高慢ゆえの行動とは思いもしない。
勿論彼女が昨年自分が辞めた大学に通う学生だなんて知る由もない。先程岩瀬に話しかけていたファンの男も同じだ]
――え?
なんだ、そうだったの。
お洒落して花まで持ってるからてっきり。
[幸い話はちゃんと聞いていた。これ以上誤解が増えることはなかったが、周囲の視線には残念ながら気づかなかった。
男と女が会話しているという意識は、青年に欠けている]
それにしてもお見舞いなんて……。
[どんな怪我や病気でも大抵は移植で治ってしまう現代にわざわざ花束を持って見舞いだなんて、どれだけ大変な移植をしたのか、或いは予後が悪いのか、それとも数日の入院でも心配で大袈裟に見舞ってしまう性格なのか……色々考える。
心の病という可能性は、するりと抜け落ちていた]
お大事にね。
(182) 2011/09/26(Mon) 00時半頃