花の言の葉は薫香、花の実は愉悦。
無聊を粋に変えるくらい、お前さんの御得意だろう。
[言葉も身も、蝶寄る一因であると、男は内まで値踏みする。
ゆえに、彼を侍らすのは必定と語り、碌でもない遊び人の矛先がちらりと彼を舐めた。>>171]
嫌悪で逃げる素人なら、苛めちゃねぇよ。
アレが啖呵切ってくるなら、興もそれまで。
[彼の言葉に主張の激しい喉仏を上下に揺らし、
この花籠に活けられた全ての花を、上等と前提する。
それは稚児と揶揄う櫻の花にも同じことで、試す素振りで愉しんでいた。]
へぇ、相変わらず花主は目が高ぇな。
誰も彼も招いている訳じゃああるまい。
藤の字が蝶にも花にも甘ぇのはいつものことだが、
お前さんがそこまで世話するなら、さぞや愛い蝶か。
[藤之助に示唆され、ニコラスを見やる視線は露骨に転じ、芝居がかった調子で軽い会釈を向けて見せた。]
(173) 2014/09/13(Sat) 20時半頃