……成る程。そういう理由なら、同意はしよう。
神話や、伝説。もっと言えば伝承や、或いは童話、歌の中まで。
人の想像の中に存在する世界は、如何してこうも魅力的に映るのか。
["時計ウサギ"の弾む声>>153を聞いたのなら、分からぬ程度にだけ肩を竦め。その声とは裏腹にピクリとも動かぬ表情には僅かに怪訝そうに眉を寄せつつも、敢えてそれを言及したりはせずに。
男とて、その世界に魅入られた者の一人。
幻想の中に存在する生物をこの世に呼び出す事に、今迄の人生の大半を掛けて来たのだから。
だから、こうしてその世界を味わっている事の楽しさ、喜びは心から理解出来るとも。
――此処が、"ただの自分の夢の中"でないよなら。
そう、此処はあくまで、"ただの自分の夢の中"。
この世界の全てが、部屋も、廊下も、この目の前の"時計ウサギ"だって。自分の記憶が作り出した、唯の幻想に過ぎないのだと。
少なくとも、男はそう信じて疑っていない。]
(171) 2015/06/18(Thu) 22時半頃