[ディーンとて良い大人というにはまだまだ幼いが、>>162少年はそんな自分よりももっと幼い。窓枠に足を掛ける無作法は、本当は叱らなければならないのだろう。
しかしディーンは彼の保護者では無いのだから、そんな義務は無い。それに何故か、彼を叱る気にはならないのだ。
それどころか――そう、何でも許してしまいたくなる無邪気さが彼にはあった。]
……ああ、構わないよ。
代わりに、君が月で暮らしていた時のことを教えてくれ。
とても面白そうだから。
[ディーンは軽く手を上げて、彼を睨んでいる店員を呼びよせ、メニューを持ってくるように頼んだ。
賞を取った記念の日だ。誰かに奢るぐらい、なんてことはない。
ディーンは風に巻き上げられ、テーブルに散らばっている紙を集める。その最中、思いがけない彼の言葉に驚いて、瞬いた]
――……そ、う かな。
……そんなことを言われたのは、初めてだ。
(167) nico 2014/11/28(Fri) 00時頃