[行き場所を探すように泳いだ視線>>154が、再び戻されるのに薄く息を吐く。
ここに来て初めて聞いた否定の言葉>>155は、けれど自分を擁護するとも取れるもので、その事実よりも内容に、思わず目を瞬かせた。]
……、僕が?
本気で言ってるのか、…それ。
[鬱々と巡る思考は、予想の外を行く言葉にしばし形を潜める。
話が食い違うのは常からの事だったけれど、今回ばかりはそのままにする訳にもいかずに、揺れる瞼を細めて。]
おまえが居なきゃだめだ、って。
言わなかったか、僕は。
[上辺だけを見て出来た子だと褒めそやす両親とも、僅かに触れただけで扱い辛い部下だと断じる上の人間とも違う。
自分の全てを視て、それを否定した上で、けれどそのまま受け入れることができたのは、――弟を置いて他に居ないのだと。]
――おまえじゃなきゃ、駄目なのに。
[懇願じみた響きを含ませて、一度は諦めかけたものを、弟を。再び縛り付ける為の言葉を吐く。]
(156) g_r_shinosaki 2014/07/10(Thu) 03時半頃