[ピピっと鳴る体温計が示す数字は微熱。これなら明日は学校に行けるだろう、でも油断しないように。と釘をさして、体温計を持って戻っていく寮母さんに改めて礼を告げた。
それから、汗を吸ったスウェットからジャージに着替え、ビニール袋をぶら下げて談話室へ向かおうと。
共用部の談話室へ向かうには、下駄箱のそばも通る。その時、ふと見えた明るい色の髪は、もしかして――>>139]
利木伊?
[自分への見舞いの品はこうして確かに受け取ったので、誰かに用事なら邪魔はしないでおこうと思ったが、せめて直接礼は告げたくて]
あの、えと。ありがとな。これ。――すげー嬉しい。
[ビニール袋に入った見舞いの品を示しては、少しだけ言いためらってから彼女に言葉を向ける。見舞いなんてされたことがないから、どう紡げばいいかわからない。だけど素直に、嬉しさを伝えた。へへ、と鼻をこすって]
バカは風邪ひかないって、迷信だったんだなー。
(149) 2015/04/20(Mon) 18時頃