[哀れな奇病を境に弟への執着が増したのは事実だけれど、それ以前から兆しはあった。
自分でも忘れられるほど浅い感情ではない、けれど。]
やめられる、だろ。…今なら。
[自分が縛り付けて、弟はそれを厭いながらも受け入れて、更に自分がつけ込んで。
ずっと前から繰り返されてきたそんなループは、今ならば、弟にならば。
抜け出すことは、容易だったはずだというのに。]
本当に、…どうしようもなく。
可哀想だよ、おまえは。
[他意もなく、純粋な憐れみの言葉を吐いて、弟と同じく包帯の巻かれた自分の喉を押さえる。
廊下からの淡い光が遮断されて薄暗くなった室内を、今度こそ一歩、踏み出した。
存外近くに立っていた弟へ近付きながら。
ここへ来てからは拒絶の言葉をひとつも聞いていないことに思い至って、震える息を吐く。]
(149) g_r_shinosaki 2014/07/10(Thu) 01時半頃