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[ 瞼閉ざした娘の表情から、ジャアクフロストと名乗った悪魔に目を移す。まるでやんちゃな子供だと、小さく声を立てて笑う。]
クスクス、本当に威勢がいいことね。
それがあなた達の取り柄でもあるのだけど。
――でも、あまり悪さをしては駄目よ? そう、例えば、召喚主が倒れてもCOMPに帰らずに出歩くような事なんかは。
[ 同類かとの問いかけに、柔らかな笑みは瞳を細める。]
私は、妖精でも邪鬼でもないけれど。
まゆに害を為すようだったら、“夜の魔女”の名にかけて。
ばらばらにして常夜の淵に沈めてしまうわよ。
[ この手の悪魔に脅しは効かない――だからこれは、私自身への誓言みたいなものだ。それが証拠に、振り返って火炎魔法を放つジャアクフロストに、今の言葉が届いた様子もなかった。]
――彼は良いけど、建物までは焼かないようにね。
[ 神父の遺体を燃やし尽くす焔に、短い一言と黙祷を向けたのみで、私は廊下を後にした。]
(143) 2016/06/16(Thu) 23時半頃